【写真】「日本一」と目標を書いた色紙を持ち、甲子園での活躍を誓う浦和学院の選手たち=25日午後、さいたま市緑区の浦和学院高校(埼玉新聞)
第85回選抜高校野球大会(3月22日から13日間・甲子園)の出場校を決める選考委員会が25日、大阪市内で行われ、昨秋の関東大会で決勝を戦った浦和学院と花咲徳栄の出場が決まった。浦和学院は3年連続9度目。選抜大会への3年連続出場は県勢史上初で、3季連続の甲子園は2度目。花咲徳栄は3年ぶり3度目。埼玉から2校が選出されたのは2003年の両校以来、10年ぶり3度目の快挙になる。
日本高校野球連盟から浦和学院に午後3時10分、続いて同3時13分には花咲徳栄に、いずれも電話で吉報が届いた。両校は校舎に垂れ幕が掲げられるなどの祝賀ムードに包まれ、出場決定の報告を受けたナインらは喜びを爆発。報道陣の写真撮影に威勢良く応えていた。
浦和学院の山根主将は、3年連続の出場とあって「素直にうれしい。もう一度、基本を見直して自分たちの野球を築き上げていきたい。目標は日本一です」と落ち着いた表情で意気込みを示した。花咲徳栄の主将根建も、喜びは控えめに「今までお世話になった人たちのために、一戦でも多く試合をして日本一を目指す。最後まで攻め抜くトクハル野球をしたい」と、力強く抱負を語った。
浦和学院、花咲徳栄は埼玉の高校野球界をけん引する私学の強豪校。昨秋の県大会決勝では、花咲徳栄が一回に4点を先制すると、圧倒的な力の差を示し、8-2で快勝。両校とも勝ち進んで迎えた関東大会の決勝では、八回に追い付いた浦和学院が延長十回、3-2でサヨナラ勝ち。リベンジを達成し、史上初の3連覇に輝いた。
浦和学院の森監督は、花咲徳栄を「非常に力のあるチーム」と評し、「お互いに高め合って、最後は頂点を争って戦いたい」と聖地での再戦を思い描き、花咲徳栄の岩井監督も「勝っても負けても学ぶことが多かった。当然ながらライバル。埼玉で一番強いチーム」と敬意を表する。
決着をつける舞台は甲子園の決勝―。721万県民の夢と期待を両校は背負う。約2カ月後の本番に備え、冬の間に培ってきた個々の力を結集し、チーム力に変えていく。
選抜大会の組み合わせ抽選は3月15日に行われ、出場36校の対戦相手が決定する。
◇「日本一しかない」
【写真】選抜大会に3年連続出場を決め、帽子を投げて喜ぶ浦和学院の選手たち=25日午後、さいたま市緑区の浦和学院高校(埼玉新聞)
史上初の関東3連覇、そして埼玉県勢として3年連続の選抜出場も初。さまざまな冠を引っ提げて迎える9度目の“春”だが、森監督は「チームは毎年違うし、歴史というより目の前の一戦に集中することを求めたい」と、いつもと変わらぬ落ち着いた表情だった。
昨秋は県大会の準々決勝で九回に4点差をひっくり返し、サヨナラ勝ちしたこともあれば、神宮大会の準々決勝では5点差を追い付かれて逆転負けを喫した試合も。勝負強さともろさ。この両面が顔を出しただけに「まだまだ力が安定してない」と森監督。全てで確率を上げていくことが今後の大事なテーマとなりそうだ。
ただ裏を返せば、大きく飛躍できる可能性を秘めているということでもある。
春、夏合わせ甲子園で4勝を積み重ねた昨年から、もう一つ壁を越えるために、竹村は「日本一になるんだというモチベーションを最大限まで引き上げる」。主将の山根も「目標は日本一しかない。1勝というものに全員が束になって戦っていきたい」と、技術うんぬんよりも現在、課題とされている仲間意識の向上を鍵とした。
◇リベンジへ準備は着々 エースの左腕小島
チームの命運を託されるエース左腕小島。出場決定を受け、「選ばれてうれしいのひと言です」と笑顔が広がった。
昨夏は1年生ながら天理との3回戦で2番手としてマウンドに上がったが3イニングで3失点。それだけに「経験はしているけど、苦い思い出」と、足元を見つめる。
体重を増やすため、夜食では1キロの米をたいらげ、トレーニングでも足に重りを付けるなどして、リベンジのマウンドへ準備を着々と整える。
「堂々とした投球をしたいです」。そう語る表情には頼もしさが増してきた。
◇両校が決勝で対戦を 上田清司知事の話
浦和学院高校は3年連続9回目、花咲徳栄高校は3年ぶり3回目となる選抜高校野球大会への出場おめでとうございます。
埼玉県から2校が出場するのは10年ぶりです。代表として、自信と誇りを持って正々堂々と全力を尽くしてください。両校が決勝戦で対戦できますよう、721万県民とともに皆さんの活躍を期待しています。
◇全力プレーで頂点へ 清水勇人さいたま市長の話
出場おめでとうございます。昨年はベスト8。チーム一丸となり「今年こそは」と意気込んでいるのではないでしょうか。まずは初戦から決勝戦を戦うつもりで力の全てをぶつけ、持ち前の最後まで諦めない全力プレーで一気に頂点へ駆け上がってください。ご健闘をお祈りいたします。
◇紫紺の優勝旗を 大塚英男・県高野連会長の話
甲子園出場おめでとうございます。埼玉県から2校出場するのは10年ぶりの快挙です。激戦区埼玉、強豪そろう関東の代表として、両校ともに厳しい練習の中で培った力を遺憾なく発揮してください。紫紺の優勝旗を持ち帰られることを心より祈っています。
◇決勝対決を祈願 高間薫・県高野連理事長
浦和学院、花咲徳栄の皆さん、選抜出場決定おめでとうございます。埼玉県からの2校出場は大変喜ばしいことで、また本県のレベルの高さを示せたと思います。甲子園での決勝で両校が対戦できることを祈願しています。
(埼玉新聞)