【写真】森監督(左)から指導を受ける浦和学院の選手たち=28日午後、兵庫県西宮市の鳴尾浜臨海公園野球場(埼玉新聞)
浦和学院は29日、2年連続のベスト8入りを懸けて「東北絆枠」の山形中央と3回戦を争う(11時30分)。チームは前日の28日、兵庫県西宮市の鳴尾浜臨海公園野球場などで約3時間調整した。
シートノックで基本を確認した後のシート打撃ではエース小島が控え組相手に投じ、レギュラー組が守備位置に付いた。続いて攻守を入れ替え、スタメン陣がカウント1-1から山形中央を想定し右、左それぞれの投手と対戦した。森監督は、踏み込んで中堅にはじき返すことと、カウントに応じた打撃や走塁を攻撃側に求めていた。最後はフリー打撃、バント練習で締めくくった。
森監督にとっても、自身の甲子園20勝が懸かる一戦になるが「そういう意識は全くない。勝つことを求めながら、真剣勝負を楽しめるか。それに集中するだけ。目の前のことを全力でやる」と力を込め、いつも通りの自然体で臨む構えだ。
◇エースの小島、自信たっぷり
小雨が降る中、シート打撃で控え組相手に登板したエース小島は「調整は順調ですよ」と自信たっぷりの顔つきだった。
山形中央の印象については「バントとかで揺さぶってくるので、しっかり対応したい。コースを突いて打たせて取れればいい」と青写真を描く。
2年生ながら初戦は甲子園初先発で初完封と周囲をうならせたが、決しておごらない。「(初戦で)経験した分、テンポよくリズムよく、初回から全力で飛ばしていく」。再び快投を見せてくれそうな立ち振る舞いだ。
◇初のスタメンへ渡邊が気合十分
右翼手渡邊がシート打撃でレギュラー組に交じり、甲子園初出場で初スタメンの可能性が高まってきた。
昨春、夏の甲子園と投手としてメンバー入りしたが登板機会はなく、この春は大会前から持ち味の打撃を生かすために、外野手に専念している。
そして巡ってきそうなチャンス。「緊張すると思うけど、やってきたことを一生懸命やるだけ。自分の頭の中で投手の軌道を描いて、狙った球を一発で仕留める。必ずチームに貢献します」。悔しさをぶつける時だ。
◇攻守でミス禁物
山形中央は、そう簡単に倒せる相手ではない。
27日の岩国商との試合をナインらは実際に観戦した。森監督は「絆枠にふさわしい、まとまりのあるチーム。特長のある選手がそれぞれの味を出し、隙のない高校野球らしいチーム」と評する。
岩国商に毎回安打となる13安打を浴びながらも3人の継投で2失点に抑えた粘りや、今大会限定の「東北絆枠」ということで特別な思いもあるだろう。そして何よりも、甲子園初勝利から中1日と波に乗っている。
実力で上回る浦和学院は、その勢いをまともに受けてしまうと危険だ。
特に攻撃ではセーフティーバントや重盗など、積極的に足を絡めて崩してくる。二塁手贄は「基本に忠実に、一つずつアウトを取りたい」と肝に銘じ、遊撃手竹村も「落ち着いて対応し、ミスをなくす」と、初戦同様に投手を堅守でもり立て、攻撃にリズムをもたらすつもりでいる。
打線にはバントミスが多かった初戦の反省を生かし、確実性が求められる。その上で、主将の山根は「自分たちから仕掛けて、瞬間瞬間のチャンスをつかみ取る」。ここから決勝までは6日間で4試合と総力戦。まずは浦和学院らしい全員野球で2年連続のベスト8を手繰り寄せる。
(埼玉新聞)