◇浦和学院「夏は必ず」 優勝旗を返還
第86回選抜高校野球大会が21日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で開幕し、開会式では、前回大会で初の栄冠に輝いた浦和学院を代表して、小島和哉主将が優勝旗を、木村聡一郎副主将が優勝杯をそれぞれ返還した。
先頭で登場した小島と木村は、前回覇者にふさわしい堂々とした行進を披露。式では国旗、大会旗に続き、浦和学院の校旗が同校の校歌の演奏に合わせて掲揚された。優勝旗、優勝杯を順に返還し、大役を見事に務め上げた。
浦和学院は4年連続の選抜大会出場を目指していたが、昨秋は県大会3回戦で本庄第一に延長戦で敗れ、全員で優勝旗を返しに行くという目標は達成できなかった。それだけに小島は「行進させてもらえて、『夏は必ず甲子園に行ってやろう』という気持ちがより強くなった」と決意を込め、木村も「夏はここで絶対にプレーしたい」と誓いを新たにした。
◇聖地で覚悟新た「夏はみんなで」
先頭での行進に、優勝旗、優勝杯返還。前日は雨天でスタンドでのリハーサルとなり、ほぼぶっつけ本番状態だったが、そんな不安をみじんも感じさせないぐらい、小島と木村は堂々と大役を務め上げた。
開会式後、「優勝旗はめちゃくちゃ重かった。試合より緊張しました」と笑顔を見せた小島。だが、その表情はどこか複雑そうにも映った。
名誉であることに変わりはないが、一方で全員で戻って来られなかった屈辱感もあるだろう。
昨年の歓喜の瞬間、ナインが人さし指を突き上げて喜び合ったマウンド上を通り、優勝旗を返還したエースは「懐かしさもあったけど、やっぱりここで投げられない悔しさの方が強い。(旗を)渡しても取り返すことができないので」。
4年連続の選抜出場を逃した浦和学院にとって久々の長い冬となった。だがその分、じっくりと腰を据え、例年以上に走攻守で”やり込み”をできたことは、夏を考えればきっとプラスになる。
先日は関西などに遠征し、前回大会の決勝で戦った済美(愛媛)ら強豪と練習試合を行った。安打は出るが
、自分たちの凡ミスでチャンスをつぶすことも度々あるという。
チームとしては発展途上だが、小島は「きょうで吹っ切れた。夏はここで、もう一度みんなと行進したい。成長した姿は甲子園でしか見せることはできない」と精悍(せいかん)な顔つき。
前回大会はボールボーイを務めていた三塁手の木村も「小島だけに頼らず、野手からも点の取れるチームをつくる」と誓う。
新たな覚悟が芽生えた浦和学院ナイン。最後の夏へ気持ちは一直線だ。
(埼玉新聞)