7月9日に開幕する第98回全国高校野球選手権埼玉大会の組み合わせ抽選会が24日、さいたま市大宮区の市民会館おおみやで行われ、出場158チームの対戦相手が決まった。昨秋、今春の県大会王者で3年ぶりの頂点を狙うAシード浦和学院は初戦の2回戦で鴻巣の挑戦を受ける。
昨夏覇者で選抜大会にも出場し、春季県大会準優勝のAシード花咲徳栄は桶川西と対戦。1984年以来、32年ぶりの甲子園出場を狙うBシード上尾は朝霞と、同じくBシード山村学園は川越東とそれぞれ顔を合わせる。昨夏準優勝校のノーシード白岡は本庄東と1回戦を争う。
選手宣誓は第98回大会にちなんで、98番の抽選くじを引き当てた草加の須賀智也主将が務める。第94回大会から参加が認められた連合チームは上尾橘、上尾鷹の台、大宮商、岩槻北陵の1チームが出場。今大会も昨夏に続き、熱中症対策のためにグラウンド整備を三、六回終了時に行う。
開会式は午前11時、開幕試合は午後1時半にプレーボール。順調に日程を消化すれば、決勝は26日の午前10時から県営大宮球場で実施され、優勝校が全国高校選手権(8月7~21日・甲子園)の出場権を獲得する。入場料は一般500円、中高生200円(開会式は無料)。引率された少年野球・中学生チーム(引率者・保護者有料)、障害者(障害者手帳の提示)と介添え者1人、小学生以下は無料。
夢舞台へ 覇を競う 158チーム対戦カード決定
第98回全国高校野球選手権埼玉大会の組み合わせ抽選会が24日、さいたま市大宮区の市民会館おおみやで行われ、出場158チームの対戦カードが別表の通りに決定した。昨秋、今春の県大会王者で3年ぶりの頂点を狙う浦和学院は初戦の2回戦で鴻巣と対戦することになった。
浦和学院と春季県大会準優勝の花咲徳栄がAシード、同4強の上尾と山村学園がBシードで、抽選により山村学園が浦和学院ゾーン、上尾が花咲徳栄ゾーンに収まった。続いて県大会16強以上のC、Dシード勢、その後にノーシード校が予備抽選順にくじを引いた。
シード勢は2回戦から登場。今春の選抜大会にも出場した花咲徳栄は桶川西の挑戦を受け、32年ぶりの甲子園出場を狙う上尾は朝霞と、春季県大会で初の4強入りを果たした山村学園は川越東と顔を合わせる。開会式直後の開幕戦では越谷総合と新座柳瀬が激突する。
選手宣誓は第98回大会にちなんで、98番の抽選くじを引き当てた草加の須賀智也主将が務める。
大会は7月9日に県営大宮球場で開幕。順調に日程を消化すると決勝は26日に同球場で実施し、優勝校が全国高校選手権(8月7~21日・甲子園)の出場権を獲得する。
2校突出も波乱の予感 大会展望
第98回大会の組み合わせが決定した。総合力では秋春王者の浦和学院、昨夏覇者の花咲徳栄の2校がリードしているが、昨夏も秋春未勝利のノーシード白岡が躍進するなど夏の大会は波乱が付き物。32年ぶりの甲子園出場へ勢いづく上尾、初のBシードを獲得した山村学園ゾーンにも実力校がひしめく。組み合わせから大会を展望する。
浦和学院-聖望学園ゾーン「層厚い浦学が本命」
力投派のエース右腕榊原がけん引する浦和学院が4強入りの大本命。春は打線に本来の迫力を欠いたが、層の厚さでは周囲を寄せ付けない。武蔵越生、所沢商、市川越と序盤から地力のある対戦相手が予想され、気の抜けない戦いが続く。
対抗の聖望学園は捕手大野を中心とした攻撃力が売りで、西武台・左腕唐沢、ふじみ野・右腕遠藤ら好投手がどこまで食い下がれるか。まとまりのある正智深谷、早大本庄も上位候補。昌平-本庄第一は1回戦屈指の楽しみなカードだ。
春日部東-山村学園ゾーン「実力伯仲の激戦区」
実力が伯仲する最激戦区。Bシード山村学園は初戦から星野、島田と右の2枚看板が強力な川越東と激突。勝者が埼玉栄と3回戦を争う構図になりそう。埼玉栄は大型1年生右腕米倉の鮮烈デビューに期待だ。春日部工-春日部の“ダービー”も激戦が予想される。
春日部東、大宮東、川越工のシード勢に加え、右腕金子が復帰した松山も昨夏の24年ぶり4強に続いて視界良好。昨秋4強の狭山ヶ丘は右腕藤野に加えて2年生左腕安田が一本立ちし、連戦の不安が解消されている。
上尾-春日部共栄ゾーン「勢い乗りたい上尾」
山下、阿部、渡部とタイプの異なる右腕3人が継投する上尾を中心に展開しそう。今井新監督率いる朝霞との初戦で勢いに乗りたい。比較的組み合わせに恵まれた感もあるが、南稜、坂戸西と油断は禁物。昨夏準優勝の白岡は本庄東との1回戦から正念場だ。
エース右腕大道の向上が著しい春日部共栄は新人戦で敗れている叡明との対戦が予想される4回戦が最初のヤマ場。叡明は下級生に粒がそろう。Dシード越ヶ谷、ノーシードながら接戦に強い鷲宮が意地を見せたい。
西武文理-花咲徳栄ゾーン「投手充実の徳栄軸」
最速145キロのプロ注目左腕高橋昂を擁する花咲徳栄のベスト4進出が濃厚。網脇、清水の両2年生右腕も充実し、不安材料はけが人が相次いだ野手陣か。桶川は春季県大会の浦和学院戦で好投した2年生右腕小向に期待。昨夏16強の川越西もしぶとく戦い抜きたい。
小鹿野-滑川総合、入間向陽-市浦和と好カードもめじろ押し。西武文理は初戦の東農大三、市川口、武南と難敵が続くだけに、勝ち上がれば伸びしろも大きい。シード大宮西は堅守を生かした接戦に勝機がある。
浦和学院、3年ぶりのV渇望
3年ぶりの栄冠と3季ぶりの甲子園出場を狙う秋春王者のAシード浦和学院は、準決勝で白岡に敗れた昨夏の雪辱に燃えている。春の戦いで1年生左腕佐野ら新戦力が台頭し、激しさを増すチーム内競争の中で戦力の底上げに励んでいる。
主将の諏訪は「夏は悔しさしか残っていない。白岡戦は自分たちのヒット一本と、白岡のヒット一本では歓声や球場の盛り上がりに差があった。そこで弱気になってしまったことが情けない」と敗戦を振り返る。
春の関東大会では日本航空(山梨)との初戦で4-0から逆転負けを喫し、「周りや場の雰囲気に流されてしまう自分たちの甘さが出た」と改めて精神面の課題を自覚。「普段の生活からメリハリを意識し、言葉にしてきた」と引き締めを図っている。
昨春の選抜大会を経験している諏訪は「勝つしかない。それだけです。どんな形でもいいから勝ちたい」と力を込める。捨て身の相手にも臆することなく立ち向かっていければ、勝利への渇きを満たす瞬間が待っているはずだ。
花咲徳栄、狙うは「3季連続」
3季連続の甲子園へ向け着々と準備を整える花咲徳栄。初戦となる2回戦で桶川西とぶつかることが決まった。主将の岡崎は「全力で向かっていくことに変わりはないが、相手が決まったことでより気持ちも高まる。目標が明確になった」と実感を込める。
春を終えてエース左腕高橋昂の状態が上向きだ。球速や切れ、制球も申し分なく仕上がっている。春の県大会で好投した網脇、清水の両2年生右腕も控え万全だ。岡崎はエース高橋昂について「前よりもいい感じ。夏に最高のパフォーマンスをしてくれると思う」と拳を握る。
県外の強豪校との練習試合を重ね、したたかな攻撃にも磨きがかかった。「打つだけではなく走塁を見直した」と岡崎。足を絡めた攻撃で中軸を狙う岡崎、春にけがから復帰した主砲隈本の勝負強さに得点源としての期待がかかる。
秋、春の県大会では王座を浦和学院に譲った。それだけに岡崎は「浦学は倒さなければならない壁。けがなくベストメンバーで夏を迎えたい」と表情を引き締めた。
上尾、特別な夏 高まる士気
32年ぶりの快挙へ期待が膨らむBシード上尾は初戦で朝霞と対戦。主将の増田は「苦しい場面に耐え切れる精神力をつけるためにやってきた」と闘志をにじませる。
選抜大会では21世紀枠の関東・東京地区代表として最終候補に推され、例年以上に士気も高まった。増田は「先輩方や自分たちの姿勢が評価された。スタンドも含めて他のチームとは違うところを見せたい」と、特別な夏を前に気合十分だ。
もう一人の主将として増田を支えてきた大橋も「全員で戦うことがテーマ。自分たちは周りの方々のおかげで野球ができている。プレーでしか返せないものがある」と恩返しを約束した。
山村学園、集大成 平常心で臨む
初のBシードで臨む山村学園が初戦の2回戦で、昨年Aシード川越東の挑戦を受けることが決まった。屈指の好カードにも主将の山本は「やることは一緒。目の前の相手を倒していくだけ」と平常心で臨む。
フォームを改造し、球質が向上したエース佐々木の出来が鍵を握る。切れ目がなく、つなぐ意識の高い打線が好左腕を援護したい。「守って守って、チャンスで一本」とこれまでの積み上げを発揮すれば初の悲願に近づけるはずだ。
春4強の成績にも「たるんだ様子は全くない」とおごることなく集大成の夏に向かう。山本は「目標は甲子園」と短い言葉に思いを込めた。
選手宣誓 草加・須賀主将「思いを代弁」堂々と
選手宣誓の「98番」が読み上げられると、舌を出してにやりと笑った。草加の須賀主将が選手宣誓を引き当てると会場は大きな拍手に包まれた。「正直びっくりしている。せっかくのチャンスなので堂々とやり遂げたい」と力を込める。
抽選会前には部員に「宣誓を引いてくる」と宣言した。人前に出ることは苦手ではなく、3年生を送る会では後輩とともに漫才を披露したこともある強心臓の持ち主だ。「さすがにここまでの大舞台での経験はないが、ハイテンションで乗り切りたい」とイメージを膨らませる。
宣誓文の内容については「『仲間』がいたからここまでやれてきた」と自らの思いを込めるつもり。「埼玉の高校球児代表として、みんなが思っていることを代弁したい」と目を輝かせた。
激戦の火ぶた切る開幕戦 越谷総合×新座柳瀬
激戦区・埼玉の球児たちが繰り広げる熱き戦いは、越谷総合と新座柳瀬の対戦で幕を開ける。
「先のことを考えずに一試合一試合に集中したい」とは越谷総合の星野主将。スローガンに掲げる全力疾走で、「見ている人に頑張っているなと思ってもらえる野球をしたい」と目を輝かせる。
練習試合で7連勝中と好調の新座柳瀬を攻守でけん引する加藤主将は、「まずはしっかりと試合を楽しむこと。練習試合で自信をつけたので、試合にぶつけたい」と初戦を見据えていた。
昨夏大会準Vの白岡、感謝を胸に躍進誓う
昨夏、破竹の勢いで準優勝した白岡。今春は地区大会で敗れ、県大会出場を逃すなど苦戦している。1回戦で本庄東との対戦が決まった。主将の福島は「プレッシャーもあるが、去年と変わらず一戦必勝で戦う」と意気込みを語った。
昨年の大躍進を受け、駅にいても地元の人から「頑張ってと声を掛けられることが増えた」と福島。「応援されていると感じた1年間だった」と振り返る。感謝の思いを胸に秘め「また徳栄とやりたい」と今度こそ一泡吹かせるつもりだ。
4年ぶり出場 自由の森、主将が部員集め尽力
休部状態から4年ぶりの出場を果たした自由の森。部員集めに尽力し、2年生で主将を務める村島は「やっと報われたという思い」と感無量の様子。新1年生が入学した4月下旬にチームとしてめどが立ち、25日には初めての練習試合に挑む。
学校に残されていた道具も充実しており、選手たち自ら練習法を模索しながら放課後のグラウンドで練習に励んでいる。「今の時点では甲子園は夢物語にもならない。自分たちが流れをつくっていけたら」と新たな歴史の礎となるつもりだ。
(埼玉新聞)
浦和学院ブロック 聖望ら実力校ひしめく
春季県大会を制した浦和学院筆頭に、同8強の聖望学園や好投手擁するふじみ野、西武台など実力校がひしめく。
浦和学院は最速140キロのエース榊原と、攻守に安定する主将諏訪が軸。機動力のある山本や幸喜、フルスイングが持ち味の1年生蛭間など打線も力強い。忠実に守りきれば3年ぶりの夏の甲子園が見えてくる。
打撃強化に励んできた聖望学園は、長打力のある大野や広角に打てる平柳、下位打線の軸の渡部らの打棒で勝ちにいく。中川や1年生坂本の両右腕や、投手陣も安定してきた。
ふじみ野は、スライダーやカーブなど変化球を多投する右腕遠藤が柱。春の県大会では花咲徳栄をあと一歩まで追い詰めた。打線が援護できれば躍進もある。
制球力が強みの左腕唐沢を擁する西武台は守りが堅い。他に正智深谷、昌平なども勝ち進める力がある。
(朝日新聞埼玉版)