23日に開幕する春季埼玉県高校野球大会の組み合わせ抽選会が20日、上尾市のスポーツ総合センターで行われ、出場45チームの対戦相手が決定した。昨秋の県大会王者でAシードの花咲徳栄は、初戦の2回戦で川越東と顔を合わせることになった。
同準優勝のAシード市川越は本庄第一とぶつかり、同4強でBシードの山村学園は鷲宮と、同じくBシードの上尾は早大本庄と初戦を争う。このほか同8強のCシード勢は、6連覇を狙う浦和学院が不動岡と、栄北は大宮東と、朝霞は西武文理と、埼玉栄は熊谷工とそれぞれ対戦する。
大会は県営大宮など4球場で実施される。順調に日程を消化すれば、決勝は5月4日に県営大宮で行われる。上位2校が関東大会(5月19~23日・千葉)に出場する。ベスト16が今夏の第100回全国選手権南埼玉大会・北埼玉大会のシード権を獲得する。
今大会から県大会では初となるタイブレーク制度を導入する。延長十三回からタイブレークで決着がつくまで実施。ただし、決勝戦は適用せずに延長十五回で打ち切り、翌日以降に再試合を行う。再試合ではタイブレーク制度を採用する。
大会は全試合が有料で一般500円、中高生200円。引率された少年野球・中学生チーム(引率者・保護者有料)、障害者(障害者手帳の提示)と介添者1人、小学生以下は無料。
徳栄軸にシード勢混戦
昨秋王者で投打に整っている花咲徳栄が優勝争いの本命。同準優勝の市川越、Bシードの山村学園と上尾、6連覇を目指す浦和学院らCシード勢が追い掛ける展開だ。だが、シード8校は今年初の公式戦で序盤から波乱が起こる可能性も含む。
秋春連覇を狙う花咲徳栄は安定感のあるエース中田、最速146キロの野村、岩崎の右3枚に左の和田を加えた投手陣が充実している。打線は昨夏も4番を打った野村を軸に3番韮沢、5番羽佐田に勝負強さがあり、打線のつながりは随一。伝統の堅守も健在で、不安要素は見当たらない。
市川越は右腕太賀、左腕和田の2枚看板が軸。小菅、羽田の二遊間と主将の中堅手岡本がセンターラインを固め、守り勝つスタイルが生命線。初戦で当たる本庄第一はエース右腕白山が力強く、投手戦になりそうだ。
浦和学院は左腕佐野、右腕渡邉とプロ注目の両輪が故障で投げられない分、好打者・蛭間を中心とした強力打線で投手陣を援護したい。順当に勝ち進めば、昨秋の準々決勝で完封負けした市川越と準々決勝で再戦の可能性もあり、雪辱を果たす絶好の機会となる。
昨秋34年ぶりに4強入りした上尾は、制球力が売りのエース右腕木村と2年生左腕寺山らがリズムをつくって流れを呼び込みたい。昨夏、秋と2季連続4強の山村学園はエース左腕和田、左下手投げの大木、右の橋本の技巧派投手陣と野邨、深田、木内を中軸にした打線で攻守にバランスがいい。
地区大会から勝ち上がった春日部共栄、聖望学園の実力校はともに不気味な存在。好右腕米倉擁する埼玉栄、エース左腕高木が投打の鍵を握る栄北、上手投げと横手投げを使い分ける軟投派右腕の倉田が面白い朝霞なども上位をうかがう。
両腕不在で総力戦 浦和学院
6連覇が懸かるCシード浦和学院は左腕佐野と右腕渡邉をけがで欠き、投手陣は苦しい状況だ。だからこそ主将の蛭間は「秋はピッチャーに頼ってばかりだった。春は2人に頼らず全員で戦う」と全員野球を強調した。
投手を6人、登録メンバーに入れた森監督は「全員に期待している」と総力を挙げて戦い抜くつもり。さらに指揮官は「誰かに頼ることなく、みんなで頑張る。それでどのくらい戦えるか。選手たちを信じている」とチーム全体の奮起に期待を込めた。
堅守健在 不安なし 花咲徳栄
7年ぶりに春の王座を奪還し、夏につなげたいAシード花咲徳栄。昨夏の全国選手権を制したチームと比べると現時点で戦力ダウンは否めないが粒はそろっている。村上部長は「昨年も春は千丸と西川ぐらいだった。大会中にほかの選手が出てきた」と昨年同様に新戦力の登場を期待する。
投打のインパクトは薄れたものの、脈々と受け継がれているのが守備力だ。「今年はまずは守り」と力説する主将の野村。堅守を土台に、他の部分の強さを勝ちながら身に付けていくつもりだ。
あえて不安要素を挙げるなら、冬を越えて初の公式戦だということ。村上部長は「やってみないと分からない」と心配な様子だが、野村は「公式戦を意識しながら練習してきた。初戦を大事に、まずは勝ち切ること」と最後まで力強かった。
打線に明るい兆し 市川越
Aシードの市川越は、太賀、和田の投手力で勝ってきた秋から、打力向上という面で明るい兆しを見せている。キーマンになりそうなのは、思い切りのいい打撃が光る羽田と調子が上がってきた主将の岡本。岡本は「ワンチャンスで一本、勝負強く」と、好機を逃して畳み掛けられた秋の教訓を生かすつもりだ。
初戦の難敵・本庄第一に勝って勢いに乗りたい。岡本は「目の前の1勝を大事にしたい」と力を込め、「何とか夏のシードを取りにいきたい」と目標を見据えた。
投手力前面 守りで勝負 上尾
初戦の2回戦で早大本庄と顔を合わせるBシード上尾は、投手陣が頼もしい。引っ張るのはエース右腕木村。昨秋3回戦で春日部共栄に6安打1失点、準々決勝で朝霞に3安打1失点で完投し、34年ぶり4強入りの原動力となった。右腕川田、寺山、松山の左右の両2年生も準備は万端だ。
主将の日下は「打力はあるわけではない。やるべきことをやってロースコアで守り切る」と力を込めた。片野コーチは「シードをもらったけど、挑戦者として先を見据えず戦う」と目の前の一戦に全力を尽くすつもりだ。
投打に充実「まず初戦」 山村学園
投打のバランスが取れているBシード山村学園は一戦必勝で挑む。
投手陣は昨年1年生ながら活躍したエース左腕和田、左下手投げの大木、2年生右腕橋本の技巧派3人。攻撃では野邨、深田、木内の中軸3人がけん引する。冬場には徹底的に体づくりをして、スタミナは十分。主将の野邨は抽選会を終えて「先を見ても仕方ない。まずは初戦」と意気込みを語った。
昨夏の大敗糧にチームが急成長 21年ぶりの入間向陽
21年ぶりに県大会に進出した入間向陽は昨夏1回戦で春日部共栄に0-17と完敗した悔しさから急成長を遂げた。特に長打力を高め、昨年は練習試合を含め5、6本だった本塁打は今年はすでに約20本。19日の代表決定戦でも山口が本塁打を放ち城北埼玉に4-2で競り勝った。新良主将は「目標はチーム最高の16強を超えること。でもまずは1勝」と足元を見つめた。
少人数を逆手に個々の打撃強化 大宮武蔵野・岩槻北陵連合
昨秋から連合チームとなった大宮武蔵野・岩槻北陵は1回戦で埼玉平成と対戦する。少人数を逆手に取り、一人一人が他チームの倍以上時間を割いた打撃が強み。大宮武蔵野の主将で、エースで4番の江戸は「集中力を切らすとチームはついてこない。自信を持ってプレーする」と頼もしい。岩槻北陵の主将中島は「強いチーム相手に活躍したい」と目を輝かせた。
(埼玉新聞)