<関東出場校予想>浦和学院、東海大相模、横浜、水城、前橋育英
<東京出場校予想>日大三、國學院久我山
◇浦学が15年ぶりに関東V達成 前橋育英に朗報舞い込むか?
浦和学院(埼玉)が前評判どおりの力を発揮し、15年ぶり2回目の関東王者についた。準優勝は、夏の甲子園で決勝に進んだ東海大相模(神奈川)、ベスト4には、水城(茨城)、横浜(神奈川)が食い込んだ。
例年の傾向で見れば、以上4チームがセンバツ確定。東京の優勝・日大三とあわせて、計5チームは、選抜の知らせを待つのみ。残り1枠が、昨年に続き東京にいくか、関東にくるか。候補校にとっては、発表日まで落ち着かない日々が続きそうだ。
◇フルスイングを貫いた浦学 投打の中心は1番・エース
開催県1位のため、準々決勝から登場する「スーパーシード」で臨んだ浦和学院。3試合すべてで2桁安打をマークし、計22得点を奪った。
新チームのテーマは「フルスイング」。上位から下位まで、迷うことなく、バットを振る。
それまでの浦和学院はどちらかといえば、守備中心のチームで、攻撃は小技をからめて、着実に点を取るスタイルだった。そのスタイルに変化をもたらせたのが、春にコーチに就任した中村要氏だ。立正大、日本通運でプレーし、都市対抗や日本選手権で活躍した実績を持つ。
「ひとりひとり、細かいところまで、つきっきりで見てくれる。チーム全体のバッティングがよくなりました」と、関東大会で2本塁打、決勝ではサヨナラ打を放った日高史也(2年)。
フルスイングなら、アウトでもOK。甘い球は見逃さない。この夏から、その姿勢で取り組んできたという。
打線は、足のある佐藤拓也(1年)、遠藤生(2年)を1、2番に置き、3番にはミート力の高い小林賢剛(2年)、4番以降は一発のある沼田洸太郎(2年)、日高、石橋司(1年)が並ぶ。
エースは1年生の佐藤。本人が「ストレートの最速は135か136キロぐらい」と語るとおり、決して速くはない。それでも、緩いカーブをうまく使いながら、緩急を生かしたピッチングを見せる。
決勝で戦った、東海大相模の門馬敬治監督は「あのカーブが佐藤くんの生命線。カーブをどう狙うかが、ポイントでした」と話していた。
近年の浦和学院は、甲子園で勝てていない。春夏あわせて、4度の初戦敗退が続くが、今年はどうか。関東大会を見るかぎりは、全国でも戦える力を持っている。
◇MY MVP 投手 佐藤拓也(浦和学院)
取材陣に、「1番、ピッチャーの理由は?」と聞かれると、浦和学院の森士部長は「毎試合聞かれているんですけどね・・・」と、苦笑いを浮かべた。
今年のエースは1年生の佐藤拓也。171センチ、71キロの小柄だが、打席に立てば1番打者。まるでマンガの世界だ。「あの子は中学の時から1番でピッチャー。だから、そのリズムが慣れているんです」
茨城・鹿島中時代から有名で、中学2年、3年と、続けて関東大会に出場。キャッチャーの父親が東洋大の野球部出身で、森監督を知る仲だったことから、進学先に浦和学院を選んだ。
高校に入り、1年春の関東大会ではショートでスタメン出場。この秋から、本格的にピッチャーに専念した。ストレートは130キロ台前半が多いが、腕を振ってインコースにグイグイと攻めてくる。加えて、緩急の使い方が絶妙だ。緩いカーブを随所に配し、さらにゴロが欲しいときはツーシーム、勝負所ではフォークを投じる。中学時代にいくつかの大会で優勝を経験しているだけあって、抑えるツボを極めている。
ミートセンスに優れた「打」は、3試合で11打数5安打7打点。決勝ではライトフェンス直撃打を放った。50メートル6秒フラットの足を持ち、野手としてのレベルも高い。
ピッチャーか野手か。どちらも楽しみな逸材だが、本人曰く「ピッチャーをやりたい」。森監督も、「美馬くん(学/楽天ドラフト2位指名)のように、体が小さくても、ピッチャーとしてプロに行ける可能性がある子です」と、高い期待を寄せる。
(「ホームラン」2011年1月号より抜粋)
ホームラン 2011年 01月号 [雑誌] (2010/12/01発売) 廣済堂出版 |