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森ウラガク20年目の挑戦(2)

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【写真】中村コーチ(手前)の打撃指導に聞き入る浦和学院の選手たち=浦和学院高校グラウンド(埼玉新聞)

◇フルスイング打線 意識徹底し強打開花

 「おい、左膝が割れるのが早いぞ」

 「引っ張るな。基本はセンター返しだよ」

 「よーっしゃ、今のはいい打球だ」

 フリー打撃の間、バッティングケージの後ろから大きな声がグラウンドに響く。声の主は昨年2月から主に打撃の指導を担当する中村要コーチ(37)だ。

 チームの合言葉は「フルスイング」。昨秋の南部地区予選から県大会準決勝まで5試合連続コールド勝ち。県大会初戦から関東大会決勝まで8試合連続2桁安打を記録し、チーム打率は3割4分4厘、7本塁打と、とにかく打ちまくった。

 森監督のチームづくりのパターンは大きく分けて二つある。投手が野手を育てるか。野手が投手を育てるか。新チームは公式戦を経験した投手がわずか1人、しかもたった1試合だっただけに、後者の選択肢しかなかった。

 では、野手の特長は何か。指揮官が出した結論は「あくまで秋の時点では例年よりバットが振れている。それを前面に押し出した方がいい」。

 中村コーチは社会人の日本通運(さいたま市)で4番を担い、都市対抗野球では準優勝を経験。プロ野球のドラフト候補にも挙がった選手だった。「監督の思いを選手に伝えるのが僕の仕事」と認識。毎日のように「(バットにボールを)当てに行くな。結果を恐れずフルスイングしに行け」と、徹底的に選手に意識付けした。

 また、ピンポイントの指摘で各自の課題に向き合わせた。昨秋に3本塁打ずつを放った長距離砲の4番沼田、5番日高には「大きく構えて手先でこちょこちょするな」。

 打率5割超の成績を残した6番石橋には「立ち遅れている。打席ですぐ構えに入れ」。チーム一の15打点の1番佐藤には「今のままで大丈夫」とフォームをいじらなかった。全員に一日最低1000スイングのノルマも課した。

 「良くなるまで付きっ切りで見てくれた」と日高。石橋は「一日一回、何か教えてもらえる。飛距離も伸びた」と誰もが効果を実感する。森監督は「今まで社会人レベルのコーチはいなかった。ケージの後ろで常に見てくれている。功績は大きい」と称賛。大きな後ろ盾を得たチームは期待に応え、強打で相手チームを打ち負かした。

(埼玉新聞)

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