「ありがとう」を一球に:’11センバツ/中「勝ちたい」思い再確認

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【写真】腰にタイヤをつけながら一球を追うナインら=浦和学院グラウンドで(毎日新聞埼玉版)

 「1年生エース、力尽く」

 佐藤拓也投手の寮の部屋に、昨年11月17日付の新聞記事が張ってある。全国10地区の優勝校が集まった昨秋の神宮大会準決勝で、日大三(東京)に2-5で敗れた翌日、自ら張った。「ゲッツー(併殺)取って、ほっとした直後にホームランを打たれた。ほっとした自分が悔しい」。自分の「甘さ」を忘れないように、寝る前にじっくり記事を読み返す。

 佐藤投手は、昨秋の県大会地区予選から神宮大会までの11試合に先発。うち7試合を完投した。

 佐藤投手中心のチームに見えるが、森士監督は「野手が投手を育てるチーム」と評する。試合中、野手が「気にするな」「ここが踏ん張りどころだぞ」と佐藤投手に声をかける。佐藤投手は言う。

 「背中から声が聞こえるんです。だからミスしても思い切り投げられるんです」

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 小泉誠選手(2年)はスコアラー(記録員)を務める。

 昨年10月、小泉選手は森光司捕手(同)を呼び止めると、「なんで自分から逃げるんだ。つらいのはお前だけじゃない」と声を荒らげた。

 森捕手は関東大会(10月末~11月)の直前、疲労から右ひじと左腰を痛めていた。打てない日が続き、練習試合で後逸したボールを真剣に追わなかった時、小泉選手から叱咤(しった)された。「自分のことしか考えていなかった」。森捕手は悔し涙を流した。

 試合をベンチから見る立場の小泉選手が「自分の仕事」と決めていることがある。レギュラー選手らにこう伝えることだ。「みんなの支えがあって試合に出られる。試合に出ることを当たり前だと思わないでほしい」

 「互いに助け合うチーム」。昨夏の41連戦を経て選手らはこう口をそろえる。しかし、昨秋の県大会で優勝した直後、チーム内に自分たちを「強い」と思い込んで、一球を一生懸命追わないなどの手を抜いたプレーがあったという。

 今栄尚人外野手(2年)は、選手一人一人に「このままで勝てると思うか」と携帯のメールで尋ねた。ベンチで泣きながら「悔いが残らないのか」と伝えた。話し合い、「勝ちたい」という思いを全員で再度確認した。

 関東大会の準決勝。対横浜戦で一回に2点を先制されたが、日高史也内野手(2年)の2点本塁打で同点。続く、対東海大相模戦も、3度同点に追いつかれたが、九回に日高内野手がサヨナラ打を放った。

 佐藤投手は言う。「いつも野手に助けてもらっているんです」。勝ちたい思いでつながった仲間に感謝しながら、一球を追う。

(毎日新聞埼玉版)



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