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森ウラガク20年目の挑戦(3)

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【写真】夕食後の自主練習で投球フォームをチェックし合う(左から)中山、浅田、佐藤=浦和学院高校グラウンド(埼玉新聞)

◇エースの好投が刺激 仲間でありライバル

 昨秋のチームの快進撃はこの右腕を抜きにしては語れない。佐藤拓也。県大会から明治神宮大会まで公式戦全11試合に先発し、ほぼ一人で投げ抜いた1年生エースだ。

 入学当初の昨春の関東大会で公式戦を経験したが、投手としては秋の県大会が初先発だった。背番号「7」を付けた右腕は、全6試合に登板し、自責点2で防御率0・47。準々決勝では聖望学園を五回参考ながら無安打無得点、決勝は春日部共栄をわずか96球で2安打完封した。関東大会でも防御率1・33の好成績を残し、「秋は自分でも出来過ぎ。びっくりするぐらいうまくいった」と正直だ。

 とはいえ、まだルーキー。周囲の支えがなければどう転んでもおかしくなかった。森監督は「夏ごろから投手は佐藤を中心に回ると思っていた。でも、打線が打ってくれたから、彼も投球スタイルを確立できた」と野手陣の後押しを評価する。

 特に2年生はマウンドで孤軍奮闘する後輩を黙って見ているはずがなかった。関東大会準決勝の横浜戦、5番日高は試合前に約束していた。「俺が打ってやるから何点取られてもいいよ」

 その言葉通り二回に同点2ランを放ち、試合の流れを取り戻すと、佐藤も復調して快勝。試合後、「助かりました」と感謝する1年生に、日高は「いつでも打ってやるよ」と笑顔で答えた。

 佐藤の活躍を見て、控えの2年生投手も奮起した。関東大会で初めて背番号をもらった左腕・浅田と、1年春の関東大会以来、公式戦登板がなかった左腕・中山は練習中から佐藤に「絶対に負けないぞ」と言い続けた。

 浅田は「そう言ったからにはやらないと。だからあえて言う」。中山は「2年生同士で佐藤に勝つんだ、と言い合っている」と対抗心を燃やす。

 佐藤は「先輩はみんないい人で恨んだりしない。言ってくれるから自分も思い切ってできる」と健全な競争ができている。

 関東大会で背番号「1」を譲った左腕・松浦は「佐藤は引かずに攻める。見習う部分がある」と認め、「自分は挑戦者」と再浮上を狙う。上下関係のない仲間意識、ライバル意識がエースを育て、チームの連帯を生んでいる。

(埼玉新聞)

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