被災地からエール、ボランティア先の石巻「今度は応援で恩返し」

 2年連続の夢の舞台へ--。第84回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)の出場校を決める選考委員会が27日、毎日新聞大阪本社であり、浦和学院高校(さいたま市緑区)が2年連続8回目となるセンバツの切符をつかんだ。大会は3月15日に組み合わせ抽選会を行い、同21日に兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で開幕する。

 午後3時10分、大会本部からの電話が、校長室で待機する小沢友紀雄校長の元に入った。小沢校長は「ありがたく受けさせていただきます」と答え、集まった約30人の報道陣に「出場決定の通知がありました」と満面の笑みを浮かべた。

 小沢校長は、グラウンドで整列して待つ選手たちのもとへ。「いろいろな人たちの応援があると意識して頑張ってほしい」と伝え、森士(おさむ)監督と固く握手すると、詰めかけた保護者や教職員らから一斉に拍手がわいた。

 高間薫・県高野連理事長が「甲子園も一つの勉強の場として実力を発揮できるように準備をしてください。高野連加盟校が応援してくれると思います」と激励したのに続き、森監督が「見ている人に感じ取っていただけるような、ひたむきな姿を前面に出して戦うことが大事」と話しかけると、選手たちは「はい」と声をそろえ、必勝を誓った。

 「全員がリーダーで、全員がキャプテン」という浦和学院の野球部。昨年センバツを経験した笹川晃平外野手(2年)はこの日、森監督から主将指名を受けた。笹川主将は「日本一をとるため、みんなで盛り上げていきたい」と語った。

 昨年、センバツのマウンドを経験した佐藤拓也選手(同)は「精神・技術面を向上させ絶対日本一をとる」と意気込みを語った。「今年は1年生投手が多いので自分が育てていい球を引き出す」と話したのは林崎龍也捕手(同)。緑川皐太朗内野手(同)は「選ばれた実感がわきうれしい。目の前の相手に勝つことだけを考え頑張りたい」と笑顔を見せた。

 甲子園初出場となる1年生の喜びも格別だ。木暮騎士(ないと)選手は「つらいことから逃げないでやってきた。うれしい。日本一になる」と目を潤ませた。

◇ソングリーダー部員27人エール、グラウンド訪れ

 甲子園のスタンドで応援を盛り上げるソングリーダー部「SPLASH(スプラッシュ)」の部員27人がグラウンドを訪れ、「一生懸命応援するので頑張ってください」と野球部にエールを送った。

 「アルプススタンドで踊るのが夢でした」と目を輝かすのは部長で2年の杉本優さん。昨年は震災直後の大会だったため応援を自粛したが「今年は私たちがスタンドを元気にしたい」。副部長の沼本和(あえ)さんは「野球部は私たちが登校すると朝練を終えていて、下校時はまだ練習中。その成果を出せるよう大声で応援します」と意気込んでいた。

◇被災地からエール、ボランティア先の宮城・石巻「今度は応援で恩返し」

 野球部がゴミ拾いなどのボランティアで訪れた東日本大震災の被災地・宮城県石巻市からも祝福のメッセージが寄せられた。

 選手たちは昨年12月21~24日と今年1月6~10日の2班に分かれて石巻市を訪問。同市立北上中学校の校舎に宿泊し、津波で流された周辺の宅地跡でゴミ拾いをした。同中学校の畠山卓也校長は「被災前にここで生活していた人々のことを思いながらゴミを一つ一つ拾ってくれた野球部の真摯(しんし)な姿に感謝している」と振り返った。そして「野球ができる喜びをかみしめ、甲子園でもボランティアの時に見せてくれた真摯なプレーで活躍してほしい。職員、生徒一同心より応援している」とエールを送った。

 一方、震災直後から行き来して一緒に練習するなどの交流を続けている同市鹿妻(かづま)地区の少年野球チーム「鹿妻・子鹿クラブスポーツ少年団」の小学生たちからも祝福の声が上がった。

 佐藤菜々実主将(5年)は「浦学旋風を巻き起こして頂点目指して頑張ってください」と応援。青山愛理副主将(同)は「嬉(うれ)しくてみんなではしゃいでいます。お兄ちゃんたちには震災で立ち直るためいっぱい応援してもらいました。今度は私たちが応援して恩返ししたい」と喜んだ。阿部鳳稀(ふうき)内野手(同)は「僕も高校生になったら浦学に入って甲子園に行けるように頑張る」と誓っていた。

◇祝福垂れ幕、生徒ら歓声

 出場決定の知らせが届いた同校の校舎に、出場を祝う垂れ幕がひるがえった。毎日新聞社が同校に贈った。

 午後3時半すぎ、決定を伝える校内放送が流れるのと同時に幕が掲げられると、見守っていた生徒や保護者らから拍手が沸いた。林崎龍也捕手(2年)の母美紀さん(38)は「出場が決まりほっとした。夢をかなえた子供たちはすごいと思う。力を合わせて一つずつ勝ち上がって全国制覇を成し遂げてほしい」と話した。

◇大宮駅などで本紙号外配布

 浦和学院の2年連続センバツ出場決定を伝える本紙号外約4000部が27日夕、JR大宮駅と浦和駅、東川口駅で配布された。

 大宮駅西口で号外を受け取った深谷市の無職男性(60)は「昨年11月の神宮大会も神宮球場まで浦学を応援しに行った。打撃も投手陣もいいチーム」と話し、「選手同士絆を結びまずは初戦を勝ってほしい」と紙面に見入った。さいたま市北区の男子中学生(14)は「2年連続出場すごいですね。ぜひ勝って埼玉県を盛り上げてください」とナインの活躍に期待を寄せた

◇浦和学院紹介 部活動、全国レベル

 学校法人明星学園が1978年に設立した男女共学の私立高。所在地はさいたま市緑区代山。生徒数は2208人(男1256、女952)。英語や国際教育に力を入れるグローバル(国際)コースや特進コース、看護・医療系の大学などへの進学を目指す保健医療コースなどがある。部活動はハンドボール部や吹奏楽部、パワーリフティング部など全国屈指の実力を誇る。

 野球部は開校2カ月後に創部。今回を含め甲子園は春8回、夏10回の計18回(森士監督の下では16回)出場している。86年夏と92年春の2回、ベスト4に進出。プロ野球選手に南貴樹(ソフトバンク)、須永英輝(巨人)、今成亮太(日ハム)らを輩出している。

◇練習成果発揮を--小沢友紀雄校長

 ありがとうございます。すごくうれしい。今年のセンバツは東日本大震災から1年目にあたる。生徒たちは被災地でのボランティアを経験し、何かを感じていると思う。それを踏まえて甲子園で頑張ることが生徒たちの課題だと思います。日ごろから十二分に練習していることを発揮し、ぜひ全国制覇をしてほしい。

◇トップ目指したい--森士監督

 選んでいただいたことに感謝して、県民や応援してくれる皆さんのために一戦必勝、勇気がわくような戦い方で勝ち進みたい。このチームは伸びしろはあるが、現時点では走攻守すべての面で総合力を上げないと全国には通用しない。目の前のやるべきことを全力でやり遂げて、最後にトップを目指したい。

◇上田清司知事

 浦和学院高校野球部の皆さん、2年連続8回目の選抜高校野球大会出場おめでとうございます。強豪ぞろいの激戦区を勝ち抜き、県勢として初めて関東大会連覇を成し遂げた実力を全国に示し、紫紺の優勝旗をここ埼玉に持ち帰ってください。720万県民の皆様とともに健闘を心からお祈りしています。

◇清水勇人・さいたま市長

 2年連続8回目の出場おめでとうございます。強豪がひしめいた昨秋の関東大会で優勝を勝ち取った皆さんなら全国制覇も夢ではありません。自信と誇りを持って試合に臨み、日ごろ、共に汗を流した仲間との絆と力を存分に発揮し、持ち前の全員野球で栄冠を目指して頑張ってください。

◇前島富雄・県教育長

 浦和学院高校野球部の皆さん、第84回選抜高校野球大会出場おめでとうございます。本大会においては、盤石の試合運びで制した関東大会のように、全国の強豪を相手に戦い抜いてください。甲子園という大舞台での皆さんの活躍と紫紺の優勝旗の獲得を心から祈念しております。

◇青木勇藤・県高野連会長

 甲子園出場おめでとうございます。昨秋の県大会を3連覇し、さらに強豪ひしめく関東大会を連覇してきた卓抜たる実力とチームワークを存分に発揮し、「浦和学院ここに有り」との雄姿を全国に見せつけてほしいと思います。ぜひとも紫紺の優勝旗を埼玉にもたらしてくれることを祈っております。

◇緑川美博・野球部父母会会長

 関係者、応援していただいている皆さまに感謝の気持ちでいっぱい。昨年に続きセンバツ出場の切符を手に入れることができ感無量です。選手たちには野球ができる環境に感謝し、憧れの甲子園で全力でプレーしてもらいたい。悲願の全国制覇を目指し先輩たちの思いを胸に戦ってほしい。

(毎日新聞埼玉版)



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