◇悔しさバネに、投打磨き
昨秋は投打で壁にぶつかった。新チームの柱となるはずだったが、背番号は1年の秋からつけていた「1」ではなく「8」に変更。後輩の山口瑠偉や涌本亮太、渡辺剛らがめきめきと頭角を現す一方、自身は「投球に迷いがあって思い切り腕が振れなかった」。本来の力を発揮できず、公式戦12試合中、5試合(先発3試合)の登板にとどまった。
「投手としてもっと活躍したかった」という悔しさが一段上を狙うモチベーションになった。「春はエースナンバーをとる」と意気込み、カーブやカットボール、ツーシームなど多彩な変化球を磨き、身上の制球力を高めることに力を注いだ。軸がぶれないよう体の中心部を鍛え、朝も晩も徹底的に走り込んだ。直球の最速は2キロ速い138キロに。「球速が上がった。楽しみ」と自信をのぞかせ、森士監督も「投げたいという気持ちが出ている」とうなずく。
打力アップの努力も怠らなかった。昨秋は打率4割7分8厘、4本塁打、16打点の好成績を残したが、明治神宮大会初戦の愛工大名電戦では左腕の浜田に3三振を喫し、チームも1-8で大敗。全国大会で苦手の左投手を攻略できず、力不足を痛感した。そこでバットを振り込む際は常に左投手をイメージし、「気持ちで引かないようにした」という。
理想は「投打でチームに貢献すること」。壁を乗り越え、甲子園初戦5連敗中のチームの不名誉な記録に終止符を打つつもりだ。
(毎日新聞)