◇ここ一番で輝く足 安室健太中堅手
【写真】積極的な走塁で甲子園のダイヤモンドを駆け回る安室健太(埼玉新聞)
ベンチ入り最後の枠を勝ち取った安室。「メンバーとして戦えることはうれしい」と屈託のない笑顔を見せた。
「走塁と打撃で貢献したい」と誓うが、最も期待が高いのは走塁だ。
一塁コーチャーとして味方に指示を送るだけが仕事ではない。「けん制とかを見て、いつでも代走でいけるように」と投手の癖にも目を光らせ、準備を怠らない。
メンバー外の時から意識高く、“足”を磨き続けた。走者付きノックでは「失敗してもいいぐらいの気持ち。その方が反省が次につながる」。ミスを恐れない積極姿勢は実を結んだ。50メートル走は6秒3と、特別速くはないがコーナーワークを駆使し最短距離を疾走する。
昨秋の南部地区予選1回戦以来の出場機会は、しびれる場面で必ず巡ってくるはず。「1点を奪う走塁が求められる。絶対に本塁を取る」。166センチとメンバー一の小兵だが、聖地では大仕事をやってのけるつもりだ。
◇仲間に誓う全力投球 野村亮太投手
【写真】打撃投手で培った制球力と修正能力が武器の野村亮太(埼玉新聞)
「背番号10、野村」。13日のメンバー発表で自分の名前が呼ばれると、少し驚いた表情で森監督とがっちり握手を交わした。「うれしいけど一番びっくり」。初のメンバー入りに目を丸くする。
真面目を絵に描いたような性格。山口、涌本、渡邊剛ら同世代で活躍する投手との実力差を埋めようと「練習は人一倍やった」。悔しさを一本一回に込めながら、黙々とトレーニングを積んだ。
率先して行った打撃投手の効果も絶大。直球や変化球を四隅に投げ切れる制球はもちろん、基礎となる投球フォーム固めにもつながった。「力まない投げ方が分かり、試合中でも修正できるようになった」。逆境をプラスに変えられる気持ちの強さがあってこそ、技術も高められるのだ。
本来なら10番は明治神宮大会で好投した涌本が付けるはずだったが、肘の故障で間に合わず。その右腕は目に悔し涙をためながら、「自分の分も野村には頑張ってほしい」と精いっぱいのエール。思いを受け取った左腕は「甲子園では涌本の分まで思い切り投げたい」と全力投球を約束した。
同学年で同じ名前の両投手。右の“亮太”から左の“亮太”へ、友情のたすきが渡った。
(埼玉新聞)