【写真】浦和学院の笹川晃平選手=甲子園球場(産経新聞埼玉版)
5-2で迎えた九回、無死一、二塁の好機で主砲に打席が回ってきた。序盤に感じていた緊張は消えていた。外角低めのスライダーを中前にはじき返し、4点差に。チームはこの後、さらに4点を奪った。「相手を突き放すリズムが作れたことはうれしい」と、4番打者は笑顔を見せた。
「先輩の借りを何としても返したい」。選抜大会出場が決まったときから、その願いを強く持ち続けていた。昨年の大会は初戦敗退だった。思い出すのは、最後の打者となってしまった昨夏の県大会準決勝。春夏連続出場を狙ったが、花咲徳栄に敗れた。
「後は頼むぞ」-。新チームに甲子園での勝利の望みを託した先輩の思いに、「このままでは終われない」と痛感した。以来、練習はもちろんのこと、寮生活での掃除や洗濯に至るまで手を抜かない。
遠投120メートルの強肩に加えて俊足。走攻守の三拍子そろった4番打者は、副主将としてナインを引っ張る存在でもある。10-2の大勝にも「目標は初戦勝利ではなく日本一。一つ一つ全力を尽くすだけ」と、すぐに真剣な表情で次戦を見据えていた。
(産経新聞埼玉版)