【写真】2回戦突破に向けバント練習する(手前から)山根、笹川、西岡ら浦和学院の選手たち=26日、伊丹スポーツセンター(埼玉新聞)
第84回選抜高校野球大会で初戦を突破した浦和学院は27日、兵庫県西宮市の甲子園球場での第2試合で、10年ぶりの8強入りを懸け、三重と2回戦を争う(11時30分)。チームは前日の26日、同県伊丹市内などで最終調整した。
開幕日の21日の1回戦で、浦和学院は敦賀気比(福井)に10-2で快勝。打線は11安打し、エース佐藤も安定した投球で完投した。三重は過去に優勝経験がある強敵。1回戦では昨秋の中国王者・鳥取城北に競り勝った。
浦和学院・森監督は「5点差以内の勝負になる」と接戦を予想し、気を引き締めた。
◇10年ぶり8強狙う
【写真】バント練習に登板し、実戦に近い調整で三重戦に備える浦和学院のエース佐藤(埼玉新聞)
三重との2回戦を翌日に控えたチームは26日、甲子園球場での観戦後、伊丹スポーツセンターなどで約4時間の最終調整を行った。
投手の犠打処理やけん制球、挟殺練習などを行う3カ所フォーメーションを実施。シートノックでは森監督自らノックバットを握り、「攻めて守れ」と積極性を求めるげきが飛んでいた。
締めくくりに行ったシート打撃では、相手の右腕エース三浦を想定。主に右投手が打撃投手を務め、レギュラー、控えに分かれて打ち込んだ。また走者を一、二塁に置いて、状況判断の練習も並行して力を注いだ。
10年ぶりの8強が懸かる試合へ、森監督は「お互い2戦目だから、1戦目より力は出せる。立ち上がりから集中したい」と拳を握った。
◇好調持続も警戒緩めず
2回戦のマウンドもエースにお任せだ。先発が濃厚な佐藤はブルペンで42球の最終調整。「バランス、指先の感覚も悪くない。準備できている」と、低めに力強い球をばんばん投げ込んだ。初戦の勝利で手応えを得て、好調なのは明らか。森監督らに球数を控えるように止められるほどだった。
三重の打線については「長打を打てる打者が何人かいる。甘いコースに入ったら打たれる」と警戒を緩めないが、「低めに投げて、内角に投げ切っていけば抑えられる」と自信をのぞかせた。
◇得意の右打ちでスタメンアピール
背番号17の西岡が2回戦のスタメンをアピールしている。投手起用の関係で、外野の先発は右翼手の笹川以外は流動的。「出るチャンスがあれば全力でやりたい」と貢献するために必死だ。1回戦は九回に中堅手で出場。初の甲子園に「特に緊張はなかった」という。
三重の投手に対しては「外はセンター、内はファウルって感じで、腰が引かないようにしっかり踏み込む」とイメージ。右打者には外中心に攻めてくると予想される中、「その方が得意」と、右打ちで攻略する構えだ。
◇心は熱く、頭は冷静に
「絶対にロースコアになる。5点以内の勝負だろう」と森監督。接戦を制し、10年ぶりのベスト8入りができるか否かは、三重の右腕三浦の変化球の見極めにかかっている。
三浦は直球も140キロを超えて厄介だが、特に決め球のスライダーの切れは鋭く、自信を持つ。この日の打撃練習では、右投手にスライダーを多めに投げさせ、入念に軌道をチェック。森監督はシート打撃の際に「引っ掛けちゃ駄目。腰を据えて、腰の上で上体を回せ」と身振り手振りを交え、指導した。
攻守の要・捕手林崎は攻略のポイントに“積極性”を挙げた。「いい投手だからこそ、初回から振っていって、タイミングを合わせていきたい」と1回戦同様、甘い球を仕留めて、開始から畳み掛けるつもりだ。
ただ、対策は万全だが相手を過剰に意識しすぎると、逆に自らを失いかねない。主将の明石は、「自分たちの野球をすれば勝てる」と言葉に実感を込める。ハートは熱く、頭は冷静に。ナインが平常心を貫き、8強を手繰り寄せる。
(埼玉新聞)