第84回選抜高校野球大会9日目の30日、関東代表の浦和学院は第1試合で大阪桐蔭(大阪)と対戦。浦和学院は1点リードで迎えた九回に逆転を許し、平成4年以来のベスト4進出はならなかった。最後までもつれる緊迫した好ゲームに、スタンドからは温かい拍手と声援が送られた。
先発のマウンドに立ったのは甲子園初登板の山口だった。憧れの舞台に立てなかった1、2回戦の悔しさをピッチングにぶつけた。「全力でいけるところまで行こう」と5回を無失点。先発の役割を十分に果たした。スタンドから「出番があれば一生懸命投げてほしい」と祈るような思いで見つめる妹の日菜子さん(11)の期待にも応えた。
スコアボードに大阪桐蔭のエース、藤浪の名前がない。「引きずり出してやろう」。4番の笹川は燃えていた。初回、先発・沢田の立ち上がりを攻め、1死一、三塁から先制の中前打を放つ。「やっときたか」。六回から2番手で登板した藤浪との初対決は七回。先頭打者で151キロのストレートを中前に弾き返した。存在感を示した2安打1打点。だが、この結果にも、主砲は「勝利に導かないと4番の仕事じゃない」とぶぜんとした表情で話した。
レフト山根が中学時代に所属した「ヤングひろしま」の選手約20人が広島から応援に駆けつけた。しかし、1点リードの九回、ほぼ手中にしたはずの勝利がすり抜けていった。山根は「これが甲子園。勝負の厳しさも分かってもらえたはず」とかみしめるように話した。後輩たちは「先輩を誇りに思う」と、その姿を目に焼き付けていた。
浦和学院・森士監督「本当に残念。勝負どころのワンプレーで、集中力と本来の力を発揮することができなかった。だが、選手は最後まで諦めず、よくやってくれた。収穫も多かった」
浦和学院・明石飛真主将「野球の怖さを知らされた。(九回)1死後からの積極性などは相手の方が上で、逆転された。夏に帰ってこられるよう、一つ一つのプレーの精度を上げたい」
(産経新聞埼玉版)