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甲子園懸けあす開幕 第94回全国高校野球埼玉大会展望

 第94回全国高校野球選手権埼玉大会は11日、県営大宮球場で開幕する。部員不足による連合2チームを含む、157チームが参加。28日の決勝まで、一枚の甲子園行きの切符を懸けて熱戦を繰り広げる。優勝争いの筆頭は春の選抜大会8強のCシード浦和学院。追うのは春季関東大会4強のAシード埼玉栄、同県8強のCシード春日部共栄、昨秋準優勝で連覇を狙うノーシード花咲徳栄。春に躍進したAシード南稜、春日部東、川口の両Bシードら公立勢にも期待。ただ昨秋と今春の4強の顔触れが全く異なるだけに、思わぬ伏兵が“波乱の夏”を演出する可能性もあり得る。激戦の行方を展望した。

◇南稜-浦和学院ゾーン 「浦学筆頭、追う徳栄・南稜」

 昨秋の県大会決勝を争った浦和学院と花咲徳栄に、南稜が絡む展開が予想される。

 盤石布陣の浦和学院。特に佐藤、山口の両右腕、故障から復帰した右の涌本、左横渡邊剛を擁する投手陣の層の厚さは群を抜いている。打線も佐藤、笹川、山根の主軸らどこからでも大量点を奪える破壊力。準々決勝までに敵は見当たらない。

 花咲徳栄は捕手若月、山本、楠本の二遊間ら2年生中心の若いチームで伸びしろは十分。加藤、藤原の主軸、速球が武器のエース右腕高橋航など主力の3年生が引っ張りたい。順当ならば南稜と顔を合わせる5回戦は見もの。

 南稜は高瀬、佐野の両右腕を軸に堅守は健在。攻撃でも機動力に加えて高橋が5番、センス抜群の竹原を1番に固定できたことで打線のつながりを増した。ただ、初戦で対戦する栄東は好右腕久保山を擁し、侮れない。

 投打にまとまる所沢北、滑川総合のDシード勢は接戦に持ち込み強豪私立に一泡吹かせたい。昨秋8強の本庄東と熊谷西の1回戦は網倉、間中の好左腕対決。与野・田中、越谷北・小松の両右腕は長身から投げ下ろす速球が自慢だ。大宮西の左腕草薙は変化球が多彩。坂戸西-川越初雁、深谷商-北本は好カード。

◇所沢商-川口ゾーン 「川口、所商、松山ら混戦」

 上位シードの川口、所沢商や松山、昌平のDシード勢が中心。ただ、大宮東などノーシード校との力の差はなく、どのチームにも4強入りのチャンスはある。

 川口は絶対的エース右腕高窪の出来が勝敗を分ける。1番三浦や丸山、関本、小林の中軸が序盤の好機に一本出し、高窪を援護したい。ただ初戦からいきなりのヤマ場。右腕高木が引っ張る武蔵越生は昨秋16強の好チームだ。抜けても4回戦で対戦しそうな大宮東は福田悠、松本ら強力打線が売り。主戦の渡辺も直球にキレがある。

 これらと5回戦で顔を合わせそうな松山のエース岡本は140キロに迫る直球が魅力の今大会注目右腕。勝負強い清水、金子章、斎藤の一打で試合を優位に進めたい。だが機動力のある八潮南との初戦を皮切りに、3回戦は堅守の正智深谷、4回戦は強打の早大本庄との対戦が見込まれ、油断できない。

 所沢商はスタメンのほぼ全員が2年生。遊撃手で1番の土屋を攻守の要に、投手陣も左腕渡会を中心に駒をそろえる。5回戦までは順当か。昌平は今春活躍した右腕斉藤を軸に、経験豊富な左腕広橋が復調したのは好材料だ。3回戦では攻守に堅実な鷲宮、越谷南-川越工の勝者と4回戦で対戦しそうだ。

◇春日部東-春日部共栄ゾーン 「春東、共栄に迫る無印勢」

 投打に充実の春日部共栄が一歩リード。春日部東が追うが、上尾や本庄一など、ノーシードに実力校がひしめき、最も興味深いゾーンとなった。

 春日部共栄は準優勝した昨年よりも総合力は上。投手は青木、西沢ら右左2枚ずつそろえ盤石だ。打線も1番伊川から下位までムラがない。小林永、鎌田、板倉の3~5番は特に強力。川越東、桶川などがいるがベスト16までは問題なさそう。

 初シードの白岡は大黒柱右腕島田を中心とした堅守が武器。3回戦で対戦しそうな上尾は大南、小山、遠藤の上位打線が活発でエース右腕菊池も粘り強い。浦和実は早川、鈴木の昨年の左右2本柱が残る。いずれかが春日部共栄への挑戦権を得る可能性が高い。

 春日部東は激戦必至。今春に再試合を2度制した勝負強さが最大の持ち味だ。丹羽、田中の右横2枚、左腕熊谷の投手陣は力強い。打線は徳村が4番に入り、厚みを増した。

 だが3回戦では攻守でしぶとい朝霞との対戦が濃厚。5回戦では木下、龍造寺バッテリーがけん引するDシード立教新座、本格派右腕萩原らを擁し夏にはめっぽう強い本庄一、エース川崎、主砲太田がけん引する熊谷商、投打で戦力が充実している市川越が待ち構え、一筋縄とはいかない。

◇成徳大深谷-埼玉栄ゾーン 「埼玉栄軸、聖望など地力」

 走攻守で安定感のある埼玉栄を筆頭に、成徳大深谷らシード勢、ノーシードながら昨秋4強の聖望学園が地力を備える。初戦から好カードが多く、波に乗ったチームが勝ち進む可能性もある。

 埼玉栄は制球力抜群の左腕本間、右腕佐藤大から2年生右腕芝崎への継投が必勝パターン。バックも堅守でもり立てる。打線は俊足ぞろいでどこからでも得点が可能。高橋、坂本は長打力を秘める。

 しかし3回戦から厄介な相手が続く。蕨は攻守でテンポが速くペースにはまると危険。4回戦の富士見は左腕小川、1番谷口ら投打に高レベル。

 5回戦で当たりそうな聖望学園は2年生右腕川畑をはじめ、打線も田浦、田中、巻口ら長打が見込める。右腕林がけん引する久喜北陽との1回戦は注目。昨年初の8強に進んだDシード秀明英光は前チームからの主力、捕手永田と左翼手真壁が攻守の要だ。西武文理の2年生遠藤は左の好投手。

 成徳大深谷は左腕酒井を軸に投手陣が多彩。相手打線によって先発を使い分けられるのは強みだ。4回戦の栄北を越えれば16強までは堅そう。3番多賀を柱に強打が看板のDシード狭山ヶ丘は初戦の2回戦で、捕手横溝が若いチームを束ねる市川口と激突。1点を争う好試合が期待できる。

(埼玉新聞)

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