甲子園の2試合で打率・700、2本塁打。絶好調の5番打者が打席に立った。3点を追う四回無死一塁、「絶対につないでやる」と初球の直球を振り抜いたが、あえなく二ゴロ併殺打。起死回生の一打を狙った八回表の打席も、遊ゴロ併殺打に終わり、この試合で“絶好調男”の快音は聞かれなかった。
最後の夏、万全の状態で臨みたかったが、6月中旬の練習試合で左手甲を骨折するけがを負ってしまう。このせいで県大会での成績もチーム打率・350の中で打率・211に低迷してしまった。それでもクリーンアップの一角を任され続けたのは、厚い信頼を寄せられていたからだ。
「自分の役目を果たせなかったが、多くの人の支えがあって、ここまで来ることができた。感謝の気持ちでいっぱいです」。まっすぐな瞳でこう語った。
(産経新聞埼玉版)