第43回明治神宮野球大会第3日は12日、神宮球場で高校と大学の準々決勝4試合を行い、高校の部では浦和学院が春江工(北信越)に6-8で逆転負けし、2年ぶりのベスト4進出を逃した。
浦和学院は一回に4安打で3点、二回にもスクイズなどで2点を追加したがその裏、先発涌本が4安打で一挙5点を奪われ同点とされると、三回には2番手渡邊のボーク、スクイズで2点を勝ち越された。打線は四回に高田の三塁打で1点を返したが、五回以降はわずか1安打に抑えられた。
◇敗戦糧に聖地で大輪を
【写真】2回裏春江工2死に塁、適時二塁打を浴びた涌本(中央)のもとに集まる浦和学院ナイン(埼玉新聞)
完勝ペースとなるはずだった試合を落とした。浦和学院は二回までに5点先行しながら、投手陣が踏ん張れず逆転負け。攻守で信じられないようなミスの頻発に、森監督は「『チーム全員で戦う』目標には程遠い内容だった。これが現状の力」と敗戦を受け入れた。
一回に4安打で3点、二回にも贄のスクイズなどで2点を追加。瞬く間に5点を奪い、この上ないスタートを切った。
だがここからが、らしくない展開だった。二回裏、エース小島と並ぶ安定感を誇る先発涌本が突如崩れた。4安打に2度の暴投が絡み一挙5失点し同点。「腕が振れていなかった。自分が試合を壊してしまった」と反省する。
直後の三回の攻撃では、服部が見逃し三振後、一塁走者渡邊が捕手からのけん制で刺殺。その裏には2番手渡邊のボークで勝ち越され、1死満塁から代わった伊藤は初球にスクイズを決められ決勝点を奪われた。四回まで9安打6得点の打線も五回以降はわずか1安打。不調の投手陣をカバーできなかった。
関東3連覇の看板を引っ提げ、優勝候補として臨んだ今大会は不完全燃焼な形で幕を閉じた。竹村は「今のままでは甲子園で恥をかくだけ。一から出直してきます」と誓う。これまでも一つの敗戦を肥やしに大輪の花を咲かせてきたナイン。春の聖地に見違えるようにたくましくなって戻ってきてくれるはずだ。
◇気迫でけん引 2安打2打点 高田
【写真】4回表浦和学院2死二塁、高田が右中間を破る適時三塁打を放つ(埼玉新聞)
チームを気迫で引っ張る主将の高田が、2安打2打点と気を吐いた。
一回、2死二塁から詰まりながらも中前に落とす先制打を放つと、5-7と逆転された四回2死二塁では「1点ずつ取り返すつもりだった」と右中間を深々と破る三塁打で1点差に詰め寄った。
だが三回からは関東大会準々決勝以来のマスクをかぶったものの投手陣をリードし切れず。試合後、大粒の涙を流しながら「自分が投手のいいところを引き出さないといけなかった」。チームの柱として、この悔しさを来春へとつなげる覚悟だ。
(埼玉新聞)
◇浦和学院、逆転負け
浦和学院は逆転負けだった。2回までに5点を先行したが、投手陣が持ちこたえられなかった。
森士監督(48)は「油断したとは思わないが、追い付かれて選手が慌ててしまった。チーム全員で戦うという目標には程遠い内容だった」とショックを隠せない様子。主将の高田涼太(2年)は「いい形で先行したが、(先発の)涌本が悪すぎた」と話した。
(日刊スポーツ)
◇浦和学院高、5点リードから逆転負け
二回までに5点をリードした浦和学院だったが、先発の涌本が乱調。二回に甘い球をとらえられて4安打を浴び、暴投なども出て一気に同点に追いつかれた。三回から、投手を交代したが、2点を勝ち越され、追いつけずに試合終了。涌本は「ブルペンから緊張していて、修正できなかった」と下を向いた。森監督は「選手がやるべきことをやっていない。運良く勝ってこられたが、ボロが出た」と厳しい表情だった。
(産経新聞)
◇一からやり直す 浦和学院・竹村春樹選手(2年)
試合終了後、額から流れる汗とともに、涙がほおをつたった。
「点を取られた後に取り返せない情けなさ、悔しさでいっぱいです」
1番打者として先発出場。初回、左前打で出塁し、先制の足掛かりをつくる。後続も次々と安打を重ね、二回までに5点を挙げた。試合は完全に浦学ペースだった。
ところが、投手陣が踏ん張りきれない。二回に5点、三回に2点を奪われ逆転された。「焦りが出て気持ちが空回りしてしまった」。三回以降は1点を挙げるのが精いっぱいで、ベスト4入りを逃した。「相手投手が厳しいコースに(球を)集めていた。自分たちのバッティングが甘かった」とうなだれた。
チームは秋の関東大会で史上初の3連覇を果たした。しかし自らを含め、選手たちは勝つことの難しさを痛感した。「一人一人がもっとパワーをつけないといけない。一からやり直しです」。この悔しさを胸に、さらに高みを目指す。
◇浦和学院・森士監督
ここまで運良く勝つことができたが最後にボロが出た。勝つためにやるべきことを各選手が徹底できていないのが分かった。地力があれば勝てた試合だったので心残りだが、これが現状の力だ。
◇浦和学院・高田涼太主将
リードしたにもかかわらず逆転され、力が足りなかった。追いつかれても焦りはなかったが、相手投手は投球パターンを変えてきて、それに自分たちが対応できなかった。
(毎日新聞埼玉版)
■準々決勝(11月12日)
浦和学院
320100000=6
05200010x=8
春江工
【浦】涌本、渡邊、伊藤、小島-西川、高田
【春】坪田-栗原
▽三塁打 高田(浦)
▽二塁打 斎藤、山根(浦)西、梅村(春)
【浦和学院】
⑥ 竹 村5-1-0
④ 贄 3-2-1
⑧ 山 根5-1-1
⑤2高 田4-2-2
③5木 暮3-1-0
⑨ 斎 藤4-2-2
②3西 川2-0-0
① 涌 本1-0-0
H1渡 邊1-1-0
1 伊 藤1-0-0
1 小 島0-0-0
⑦ 服 部2-0-0
H 佐 藤1-0-0
7 久 保0-0-0
(打数-安打-打点)
▽投手成績
涌本 2回 42球、被安打4、0奪三振、与四死球2、5失点、自責点5
渡邊 0回1/3 11球、被安打3、0奪三振、与四死球1、2失点、自責点2
伊藤 2回 30球、被安打2、0奪三振、与四死球1、0失点、自責点0
小島 3回2/3 58球、被安打3、2奪三振、与四死球3、1失点、自責点1
安 打:浦10、春12
失 策:浦0、春1
三 振:浦2、春2
四死球:浦5、春7
犠 打:浦3、春7
盗 塁:浦0、春0
併 殺:浦0、春2
残 塁:浦7、春10
浦和学院は二回までに奪った5点を守り切れず春江工に逆転負け。
浦和学院は5点リードの二回、先発涌本が4安打に暴投が絡み同点とされると、三回には2番手渡邊のボークとスクイズで勝ち越しを許した。打線は一回に4安打で3点、二回にも贄のスクイズなどで2点を追加したが、五回以降は1安打と振るわず、投手陣の不調をカバーできなかった。