【写真】前人未到の関東大会3連覇を果たし、ナインに胴上げされる浦和学院の森監督=2012年11月1日、群馬県上毛新聞敷島球場(埼玉新聞)
関東大会が開幕すると選手たちは見違えるようなプレーを見せた。
緊張の1回戦、1年生左腕の小島が、銚子商(千葉)打線を5安打完封すると、準々決勝の前橋育英(群馬)戦は、五回表に1-2と逆転された直後の攻撃で3点を奪い返し5-3で粘り勝ち。しっかりと4強入りを果たし、選抜大会出場を確実にした。
次の目標は史上初の3連覇。宇都宮商(栃木)との準決勝は、先発全員14安打で7-3と快勝すると、決勝は花咲徳栄との再戦となった。
県大会決勝で完敗して以来、徹底した鍛錬で浦和学院本来の強さを取り戻した。その成果をリベンジという結果で示したかった。竹村は「借りを返すいい機会。何が何でも勝つ」と意気込んだ。
だが、花咲徳栄は決勝まで1度のリードも許すことなく、盤石の勝ちっぷり。接戦必至の予想通り、試合は五回まで0-0とお互いに一歩も譲らぬ展開となった。
六回に2点を先制されたが、焦って崩れた県大会決勝と同じ轍(てつ)は踏まなかった。じっくりとチャンスを待ち、七回に西川の内野安打で1点を返すと、八回には相手エース関口の乱調に付け込んで同点に追い付いた。
迎えた延長十回、2死二、三塁の好機を築くと、西川が直球を左前へはじき返した。2死走者なしからのサヨナラ劇は、浦和学院のすごみを十分印象付けた。
県大会決勝の戦いぶりを考えれば、3連覇実現は困難と思われた。だが、チームは悔しさを糧に成長した。エース小島は「自分たちの弱さを知ったからこそ、達成できたと思う」と胸を張る。快挙の裏には、ピンチを持ち前の負けん気でチャンスに変える、そんな“浦学”らしさが凝縮されていた。
その後の明治神宮大会は、1回戦の高知戦は4-3で競り勝ったが、春江工(福井)との準々決勝では二回までに5点リードしながら、その後7失点し逆転負け。森監督も「苦しくなった時に踏ん張れない弱さを、まだ克服できていない」と、課題を挙げる。
25日、チームは順当に3年連続の選抜大会出場を決めた。夏を合わせて3度目の甲子園となる主将の山根は、「もう一度、基本から見直し、自分たちの野球を築き上げないと勝てない。負ける悔しさは、もう味わいたくない」。負けから学んでつかんだ春。この主将の言葉と思いを全員が共有し、悲願達成への道を切り開く。
(埼玉新聞)