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東の横綱・浦和学院、勝利導く不屈の結束 センバツきょう開幕

 第85回選抜高校野球大会は22日、甲子園球場で開幕する。3年連続9度目出場の浦和学院は伝統校の土佐(高知)と、3年ぶり3度目の花咲徳栄は東海大会覇者・県岐阜商と初戦を争う。埼玉から2校が選出されたのは2003年の両校以来、10年ぶり3度目の快挙。目指すのは1968年、第40回大会の大宮工以来、45年ぶりの栄冠だ。県大会、関東大会に続き、埼玉が誇る両雄が三度、決勝で激突なるか。全身にため込んできたパワーをさあ、解き放て。

◇はい上がった強さ

 埼玉県勢初となる3年連続のセンバツ出場だ。しかも3年とも、関東王者の称号を引っ提げて乗り込む。見事という言葉以外は見当たらない。

 しかし今チームのここまでの軌跡は、まさに“奇跡”だった。

 秋の県大会準々決勝の上尾戦では2-6の九回に5点を奪い、サヨナラ勝ち。同決勝では花咲徳栄に2-8と歴史的大敗を喫したが、再戦となった関東大会決勝では延長十回、3-2とサヨナラでリベンジ。何度打ちのめされようがはい上がり、鍛え上げられた個の力が一つのチームとして結束する。ここ一番で勝負強さを発揮できるのは、理想とする野球に近づいてきた証なのだろう。

 浦和学院に付きまとってきた負の歴史も、もはや遠い過去の話である。

 前回の選抜大会で2004年以来の白星を挙げると、10年ぶりのベスト8進出。夏の甲子園でも26年ぶりの16強に駒を進めた。春2勝、夏2勝、年間で4勝を挙げたのは監督就任21年目だった森監督にとっても初。もう甲子園で勝てないなんて言わせない。呪縛から解放された“東の横綱”が、一気に頂点まで突き抜けてみせる。

◇浦和学院、つかめ頂点!

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【写真】走者付きノックに励む捕手高田(左下)ら浦和学院ナイン(埼玉新聞)

 安定感抜群の左腕小島が大黒柱。生命線である直球の伸び、キレがさらに増した。右だけでなく左打者の内角にも臆することなく投げ込める制球力も見逃せない利点だ。唯一の不安は立ち上がり。初回を無難にしのげれば、波に乗っていける。

▽投手「大黒柱は左腕小島」

 185センチの大型右腕・山口は緩急が使えるようになり、いい頃の出来に戻ってきた。打たせて取る投球を心掛け、四死球から崩れることだけは避けたい。角度のある直球が武器の185センチ右腕伊藤、変化球が多彩な右腕涌本も出番に備える。

▽攻撃「上位の出塁率が鍵」

 チーム打率は3割2分台。どこからでも点を奪うのが理想だが、甲子園経験者で固める上位打線で稼ぐのが現実的。下位には奮起を期待したい。

 長打力のある山根、高田、木暮のクリーンアップはチャンスに滅法強いだけに、前を担う竹村、贄がいかに出塁できるかにかかっている。調子にムラがある斎藤、西川の6、7番は確実性を求めたい。小島、服部も低く速い打球を徹底し、好機を演出したい。

 代打には左の渡邊、右の前田ら、代走には久保が準備を怠らない。

▽守備「新3年生が堅守軸」

 レギュラー唯一の新2年生・左腕小島の周りを新3年生が固める布陣。確実に打球を処理し、もり立てたいところだ。

 捕手西川、贄、竹村の二遊間、中堅手山根のセンターラインはしっかりしている。西川とはタイプの異なる三塁手高田が、捕手を務める可能性も十分あり、その時は西川が一塁、木暮が三塁に回る。森監督の起用法にも注目したい。

 昨秋の県大会では、1試合で4失策し自滅した試合も見受けられた。基本に忠実な捕球、送球が何よりも求められる。

◇悲願へ18度目の挑戦 森士監督

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 森監督、48歳。百戦錬磨の指揮官ですら「もう2度と甲子園に出られないのではないか」と毎回不安に駆られるという。

 普段は気さくに、時には冗談を交えながら何でも話してくれるが、常勝を義務付けられたチームを率いるプレッシャーは相当なはずだ。

 それでも監督生活22年目の今年、これで春、夏合わせて18度目の甲子園出場。つまり強豪がひしめく埼玉にあって、だいたい1年に1度はチームを最高峰の舞台に押し上げていることになる。

 浦和学院が初の選抜大会出場を決めた1992年の第64回大会。当時、大会最年少指揮官だった27歳の青年監督は、いきなりチームをベスト4にまで導いた。

 21年の時を経て、今大会出場チームの監督の中で最多出場を誇る。今でも選手と、心と心でぶつかり、野球への情熱は衰えるどころか、さらに高まっているように感じる。「多く出させてもらっている分、利点を出さないとね」。その瞬間、目がキラリと光った。

◇紫紺の大優勝旗を 上田清司知事

 対戦相手が21世紀枠の土佐と決まり、一段と闘志がわいてきたことと思います。甲子園では、浦和学院らしい勝負強さを発揮し、紫紺の大優勝旗を目指して頑張ってください。皆さんの健闘を県民の皆さまとともに、心からお祈りいたします。

◇力を発揮して 清水勇人さいたま市長

 昨秋の県大会、関東大会の戦いを通じ、心身ともに大きく成長された皆さんです。持てる力を存分に発揮され、優勝旗をさいたま市に持ち帰ってくれることを、124万さいたま市民とともに祈っております。

◇45年ぶり優勝を 大塚英男県高野連会長

 甲子園出場おめでとうございます。激戦区埼玉、強豪そろう関東の代表として、両校ともに激しい練習の中で培ってきた力を遺憾なく発揮してください。第40回大会で優勝した大宮工高校以来、45年ぶりに紫紺の優勝旗を持ち帰られることを心より祈っています。

◇浦和学院ナインのひと言

①小島和哉投手
「自分1人で投げ切ることが目標だが、まずはチームが勝つために、全力で自己責任を果たす」

②西川元気捕手
「自分のワンプレー、1打席でチームを勝利に導き、一戦必勝で日本一」

③木暮騎士一塁手
「甲子園で野球が出来る喜びを感じて、感謝の気持ちを持ってプレーし、一戦必勝で日本一」

④贄隼斗二塁手
「甲子園という舞台で野球ができることに感謝の気持ちを持ち、今まで支えてくれた人たちに恩返しをする。見ている人に全力プレーで感動を与える」

⑤高田涼太三塁手
「感謝の気持ちを持ち、多くの人に感動を与えられるプレーをする。そして、勝負の世界では“一戦必勝”、目標は日本一」

⑥竹村春樹遊撃手
「個人の力を集結させ、日本一を取る!」

⑦服部将光左翼手
「出られることが当たり前ではなく、支えてくださっている全ての人に感謝して、目の前の試合に一戦必勝で戦う」

⑧山根佑太中堅手
「最後の最後まで全力プレーで“勝つ”ことだけを考えて戦う」

⑨斎藤良介右翼手
「全力プレーで一戦必勝し日本一を狙います」

⑩山口瑠偉投手
「今まで迷惑を掛けた分、3年生を負けさせてしまった夏の借りを返す」

⑪涌本亮太投手
「去年の先輩方がベスト8の成績を残しているので、自分たちの代でその記録を超える」

⑫田畑瑛仁捕手
「甲子園球場という夢舞台でプレーできる事を意気に感じ、全国制覇を成し遂げる」

⑬伊藤祐貴投手
「野球が出来ることに感謝をして全力でプレーします」

⑭川井俊希遊撃手
「今までやってきたことを全て出す!!」

⑮久保和希中堅手
「とにかくチームのために、1つでも多くプレーを決めたい」

⑯渡邊剛右翼手
「野球が出来ることに全て感謝をし、感動を与えるプレーをする。目の前の相手を1つずつ、先を見ず一戦必勝で戦い、日本一を取る!」

⑰前田優作左翼手
「今までの10年間の野球人生、たくさんの人に支えられ生きてきました。支えてくれた人たちに自分の姿で感動を与え、もらったエネルギーを倍にして、甲子園という最高の舞台で倍返しします」

⑱酒井恭遊撃手
「絶対に日本一になって、森先生はじめ今までお世話になった人に恩返しをする」

(埼玉新聞)

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