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浦和学院、初の決勝 きょう済美(愛媛)と激突

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【写真】初の決勝進出を決め、胸を張って校歌を歌う浦和学院の選手たち=2日午後、甲子園球場(埼玉新聞)

 第85回選抜高校野球大会第12日は2日、兵庫県西宮市の甲子園球場で準決勝を行い、浦和学院は敦賀気比(福井)を5-1で下し、創部35年目で春夏を通じ初の決勝進出を決めた。県勢の決勝進出は2008年の聖望学園以来、5年ぶり4度目。初優勝を懸け3日の決勝で済美(愛媛)と対戦する。県勢として1968年の第40回大会を制した大宮工以来、45年ぶり2度目の全国制覇を目指す。

 浦和学院は一回、4試合連続先発のエース小島がつかまり、2死一塁から敦賀気比の4番喜多に先制の二塁打を浴びた。今大会初めて先手を取られる展開となった。

 しかし、直後の攻撃で2死一塁から、4番高田が初球のスライダーを捉え、バックスクリーン左に飛び込む大会第17号の2ランを放ってすかさず逆転した。大会3本塁打は個人タイ記録、3試合連続は史上2人目の快挙。

 小島はこれで落ち着きを取り戻し、二回以降はスコアボードにゼロを並べた。三回1死二塁、四回2死一、三塁のピンチも強気の直球で打ち取った。打線は五回、1死一、三塁から3番山根の左前適時打で待望の追加点。さらに2死二、三塁で5番木暮が左翼線に2点二塁打を放ち、5-1と突き放した。

 小島が9回5安打1失点で完投。打線は3試合連続二桁安打の11安打を放ち、エースを援護した。投打がかみ合った試合で初めて準決勝を突破。初の決勝進出に、森士監督は「決勝の舞台に立てることに感謝して、選手たちには伸び伸びとやってもらいたい」と話した。

 決勝は午後0時半、プレーボール。

◇見えた紫紺の大旗 快進撃スタンド熱狂

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【写真】勝利の瞬間、抱き合って喜びを爆発させるアルプス席=2日午後、甲子園球場(埼玉新聞)

 夢にまで見た決勝戦だ―。2日、第85回選抜高校野球大会で、21年ぶりに準決勝に進んだ浦和学院は敦賀気比(福井)に5-1で快勝。1978年の創部以来、春夏通じて初めて甲子園での決勝進出を決めた。生徒ら600人近くが集まった三塁側スタンドは、ナインの活躍に熱狂。一戦ごとにたくましくなる選手たちを大声援で後押しした。

 午前9時半の開門後、続々とスタンド入りする応援団。アルプス席はあっという間にチームカラーの真っ赤に染まり、決戦の時を静かに待った。

 初戦の2回戦こそ苦戦したが、3回戦、準々決勝と打線が爆発し大勝しての4強入り。普段は縁の下の力持ちとして選手を支える野球部マネジャーで2年枻川彩さん(16)は、「選手がどんどん成長している」と実感。同じマネジャーで2年吉岡夏希さん(同)は「最後まで諦めない試合をしてほしい」と願いを込めた。

 試合は一回表に1点を先制されたが、直後の攻撃で4番打者の高田涼太三塁手が3試合連続本塁打となる逆転2ランを左中間スタンドにたたき込んだ。どよめくスタンドに父親の昭人さん(48)は、「よく打った。みんなの気持ちが乗り移ったような打球でしたね」と顔がほころぶ。

 その後は一進一退の攻防。守備ではエース小島和哉投手が三、四、五回と毎回走者を得点圏に許すピンチを迎え、「小島、頑張れ」「気持ちで負けるな」と声援が飛ぶ。その声に支えられ、小島投手は無失点に切り抜けた。

 五回には打線がつながり、山根佑太中堅手が左前タイムリー、木暮騎士一塁手が左翼線へ痛烈な2点適時二塁打を放ち3点を追加。リードを4点に広げた。木暮一塁手の母親美季さん(47)は、「チームに貢献してくれればと思っていた。いいところで打てて良かった」と安堵の表情を浮かべる。

 5-1で迎えた九回。あとアウト三つで念願の決勝進出。スタンドは「そのとき」に備え、固唾(かたず)を飲んで見守る。一死一塁で、最後の打者が二ゴロでアウトとなり、一塁走者も守備妨害でアウト。浦和学院が初めての決勝進出を決めた。その瞬間、スタンドは何が起きたのか分からず静まり返ったが、勝利を確認すると「やったー」の大合唱。隣の人と抱き合い、勝利を喜んだ。

 紫紺の大旗をその手にするまで、あと1勝。10歳の時から浦和学院野球部のファンになり、自身も浦和学院に進学した、さいたま市浦和区の大学4年桂嶋唯衣さん(21)は「夢にまで見た決勝戦。一戦必勝の気持ちで、全国制覇してほしい」とナインにエールを送った。

◇小島1失点完投 成長示した投球術

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【写真】敦賀気比打線を1点に抑え完投した浦和学院のエース小島(埼玉新聞)

 175センチの左腕が、昨年のリベンジに燃える敦賀気比打線を巧みな投球で封じてみせた。4試合連続で先発した浦和学院の小島が5安打1失点の完投勝利で、大先輩が21年前に果たせなかった準決勝を突破した。初の決勝進出について、2年生エースは開口一番「夢みたいです」と、マウンドでは見せないような16歳らしい表情で笑った。

 初めて先制された。一回、簡単に2死を取った後、3番山田に右前に落ちる安打。続く4番喜多を2球で追い込みながら3ボールとし、左翼線二塁打で1点を奪われた。それでも続く2死二塁のピンチを切り抜け「取られても1点で切り抜ければ大丈夫だと思った」と最少失点にとどめた。

 すると打線が直後に4番高田の2ランで逆転。三塁を守る先輩からは「ここからが勝負だぞ。点を取ってやるからな」と常に声を掛けられていたと言い「うれしかった。何かやってくれると思っていた」と感謝した。

 その後は援護に応え、落ち着いた投球術を見せた。生命線の内角直球を生かすため、90キロ台のカーブを普段より多投し、右打者には110キロ程度のチェンジアップが効果的だった。「相手は内に張っていたので変化球を見せて打たせるようにした。緩急で差をつけようと思った」と甲子園通算5試合目のマウンドで成長ぶりを見せた。

 昨年の大会で敗れたことで雪辱を期していた敦賀気比相手にも、当時まだ中学生だった背番号1は「自分はまだ入部していない。意識せず、いつも通り初戦の気持ちで臨む」と平常心だった。

 勝利の後でも「立ち上がりに点を取られたのが課題」と自己を冷静に見つめ、次への反省を口にする。「チームが勝つことが一番」と話す左腕が「夢」の決勝でチームを初の全国制覇に導く。

◇高田逆転2ラン 3試合連発

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【写真】1回裏浦和学院2死一塁、高田が中越えに3試合連続となる逆転2ランを放つ(埼玉新聞)

 今大会4試合目で初めて与えた先制点。直後の一回裏、2死一塁で4番高田は打席に入った。「取り返してやろうと思った」。敦賀気比のエース岸本が投じた初球111キロのスライダーを強振。大きな弧を描いた打球は左中間スタンドのフェンスを越えたところで跳ね上がった。

 3試合連続アーチとなる逆転2ラン。選抜大会で3試合連続は史上2人目の快挙。1大会3本塁打はPL学園(大阪)の清原和博(元西武)、星稜(石川)の松井秀喜(元ヤンキース)ら甲子園を沸かせた歴代スラッガーと肩を並べる記録となった。「たまたまです」。これまで同様の言葉を発したが、すごみは甲子園を席巻した。

 ビハインドをすぐさま取り返すあたり、4番の真骨頂。岸本の生命線であるスライダーを早々に崩したところにも価値がある。「直球で押して、スライダーが多い」と相手エースを見ていた。泳がず、引っ張らず、意識していた中堅への低い打球の延長に好結果が待っていた。

 昨秋の公式戦では1本も本塁打を打っていない。冬場のトレーニングで1日2000スイングを課し、1キロの竹バットを振り込んできた。その成果がこの大舞台で結実した。

 敦賀気比には前回の初戦で大勝している。そのため、組み合わせ抽選前から「浦和学院と対戦したい」とリベンジに燃えていたという。そんな相手に、「気持ちで負けないように」と自らを奮い立たせていた。

 四回には気持ちが表れた守備を見せる。三塁に飛んだ痛烈なゴロを体に当てて前に落とし、矢のような送球でしっかりとアウトを取った。

 注目打者として迎える決勝。あと1本出れば大会記録を更新することになる。期待は高まるが、「感動、勇気を与えられるプレーをしたい」と本人に気負いは全く見られない。

 甲子園という大舞台で羽ばたき、成長し続ける。信念の“フルスイング”を貫いた時、浦和学院とともに高田が金字塔を打ち立てる。

◇エースもり立て打っても2安打 捕手の西川

 浦和学院の捕手西川が小島との二人三脚で、前試合3本塁打の敦賀気比打線を1点に抑えた。

 前日に小島やコーチ陣と相手のビデオを見て対策を立てた。一回には直球が甘く入り適時打にされたが「点を取られてもコースを突いていこう。変化球をしっかり使っていこう」と二人で話し合い、傷を広げなかった。

 7番打者としても「振り遅れた」と言いながら右方向に今大会初の2安打を放ち貢献した。「焦りはなかった。取り返せる自信はあった」と攻守でエースをもり立てた。

◇流れを変える狙いの一振り 3番山根

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【写真】5回裏浦和学院1死一、三塁、山根が左前に適時打を放つ(埼玉新聞)

 浦和学院の3番山根が五回に貴重な追加点となる適時打を放った。1死一、三塁で打席に入ると、2ボール2ストライクからのスライダーを左前に運んだ。チームの狙い球だったスライダーに張り「狙って踏み込んで打った」と読みで勝った。一回に先制されたものの「まだ初回。9回も攻撃がある」と取り返す自信はあった。高田の2ランの後は攻撃陣が好機をつぶしていたが、「次の1点で流れが変わる。1点取りたいと思っていた」とエース小島を助ける貴重な3点目を挙げた。

 敦賀気比のエース岸本とは前回大会でも対戦し、スライダーで三振に打ち取られていた。それでも「苦手意識はなかった。敦賀気比は去年のリベンジで来る。チーム全体が負けない気持ちで臨んだ」と勝利への気迫を自身のバットで示した。

◇チームのため役割を全う マルチ安打の服部

 今大会2度目のマルチ安打を記録した9番服部。「下位から上位につなげたかった」。1番竹村からの上位打線は好打者ぞろい。五回には詰まりながらも内野安打で出塁し、山根の適時打で生還。切れ目のない打線を構築すべく、役割を全うした。

 「自分が打った打たないではなく、チームのためになればいい」と縁の下の力持ち。二回には追加点を奪うべく、2死から絶好のスタートを切り、盗塁を成功させた。堅実なプレーに徹する服部が「絶対に勝ちます」と力強く語った。

◇木暮が2点適時打「つなぐこと考えた」

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【写真】5回裏浦和学院2死二、三塁、木暮の左翼線を破る二塁打で2点を追加する(埼玉新聞)

 5番木暮の一打が勝利を大きく引き寄せた。3-1の五回に「2点だけでは足りないと思った」と適時二塁打。「スライダーを張って、うまく打てた」。痛烈な打球を左翼線に放ち、竹村、山根の2人を本塁に迎え入れた。

 一回にも五回同様、敦賀気比・岸本のスライダーをはじき返しての左越え二塁打。「思った以上にキレがあった」と振り返った変化球に対応するあたり、打撃センスはたけている。「つなぐことだけを考えた」と力むことなく振れているようだ。

 強力クリーンアップの一角を担う。ここ3試合で5安打と好調。4番高田の後を打つだけに「あいつ(高田)は警戒され、自分で勝負になることもある」と心の準備は万端。個ではなく、線となる打撃陣は相手にとって脅威となる。

◇埼玉は愛媛に通算1勝4敗

 浦和学院と済美は甲子園では初の顔合わせ。埼玉と愛媛の対戦は、春夏合わせて6度目で決勝は初めてだ。

 これまでは愛媛が4勝1敗とリードしており、愛媛の4連勝中。選抜は2005年の第77回大会で1度だけ対戦し、この時は浦和学院が西条に敗れている。浦和学院は夏も2度愛媛勢とぶつかっているが、通算成績は0勝3敗と相性が悪い。

◇打線好調な浦和学院 済美は安楽の出来が鍵

 タイプの異なる2年生の好投手を擁するチーム同士の対戦となった。浦和学院の打線は好調を持続しており、済美はエース安楽の出来が試合を大きく左右しそうだ。

 浦和学院の左腕小島は33回を投げ失点はわずか2。内角への直球で相手を詰まらせる強気な投球が光る。打線も3回戦から3試合連続2桁安打と勢いがある。3本塁打の4番高田をはじめ、3番の山根がチーム最多の7打点、5番木暮も当たっている。

 済美は競り合いを制して勝ち上がってきており、ロースコアの展開に持ち込みたい。打線は4試合で17得点だが、勝負強い。準決勝で勝ち越し本塁打を放った山下、4番安楽の前に走者を出すことで好機は膨らむ。

 安楽は150キロを超える速球だけでなく、制球も安定している。ただ、全試合を一人で投げ抜き、投球数は663。3連投となり疲労が気がかりなだけに、早めの援護が不可欠だ。

◇「すごい」 学校歓喜 偉業へ予感と期待

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【写真】野球部が決勝進出を決めた瞬間、メガホンをたたいて歓喜に沸く“留守応援部隊”の生徒ら=2日、さいたま市緑区代山の浦和学院高校(埼玉新聞)

 浦和学院が投打で敦賀気比(福井)を圧倒し、初の決勝進出。さいたま市緑区代山の同校食堂では2日、部活の練習の合間に生徒や教職員約180人の“留守部隊”が大型テレビ画面前に集まり、メガホン片手に声援を送った。勝利を目の当たりにした生徒らは、「すごい」「すごい」と歓喜に沸いた。

 春夏の甲子園を通じて、なかなか越えられなかった8強の壁を突破し、そのままの勢いで初の決勝進出。一回表に先制の1点を許したが、その裏の4番高田涼太三塁手の逆転2ランが光った。女子バドミントン部3年の倉田幸奈さんは「すごい。すぐにホームランで逆転したのが良かった」と興奮気味。高田選手の少年野球チームと対戦したことがあるというソフトボール部3年の大竹和樹君は「小学校時代からセンス抜群で、ずば抜けていた。体勢が崩れても(中越えの)あそこまで飛ばすなんて本当にすごい」と誇らしげ。「あと3点欲しい」と期待した通りの試合展開に笑顔。

 4点差に突き放した五回以降は危なげない展開。九回の守備につくナインに「ゼロで抑えてほしい」と期待したサッカー部3年の松岡拓弥君の言葉はすぐに現実に。背番号15の久保選手と同じ小学校というバレーボール部3年の諸橋央樹君は「代走で登場した時はうれしかった。すごく勇気をもらった。決勝は大勝してほしい」とにっこり。女子バドミントン部3年の大木実咲さんは「絶対勝つと信じてた。私もバドミントンを頑張りたくなった」と仲間の活躍に刺激を受けた様子だった。

 初の全国制覇へ期待も高まる。剣道部2年の木澤澄子さんが「木暮選手に頑張ってほしい。一塁手としても打者としてもすごい」と話すと、同部3年の高瀬実季さんは「決勝は甲子園で熱い応援がしたい」と力を込めた。国語を担当する森美樹教諭(26)は「決勝まで連れていってくれてありがとうと言いたい。悔いのない全員野球で頑張って」と早くもエールを送った。

 創部以来、野球部を身近で見てきた同校広報渉外部長の増岡初味さんは「本当にうれしい。周囲の支えのおかげ」と感慨深げ。「小島君はインコースがさえてる」と決勝へ声を弾ませた。

 3日の決勝に向け、同校は新たにバス6台で生徒約190人を甲子園に送り込む。2日午後8時にさいたま市を出発し、3日早朝に到着する予定。同校に申し込んだ参加者だけで生徒600人を含む約千人がアルプス席から声援を送る。

◇森監督「目の前に集中」、上甲監督「戦略立てたい」

 春夏通じて初優勝を狙う浦和学院と、初出場優勝した2004年以来の頂点を目指す済美。決戦前日の両校の表情に迫った。

▽浦和学院

 兵庫県伊丹市内の宿舎に戻った選手たちは落ち着いた様子だった。

 済美の試合をビデオで研究したり、バットを振ったりして過ごした。森監督は「(準決勝の)試合はもう過去。目の前に集中して、イメージをつくっていきたい」と気を引き締めた。大会タイ記録の3試合連続本塁打を放っている高田は、150キロを超える直球で勝負する安楽について「マシンを近めに置いて、速い球の目慣らしをしてきた。真っすぐに負けずにフルスイングしたい」と意気込んだ。

▽済美

 神戸市内の宿舎に戻り、夕食を取った選手たちはいつもと変わらず、和やかな雰囲気だった。上甲監督は「なかなか攻略の糸口が見いだせないが、投手を見ながら戦略を立てたい」と語った。

 エースの安楽は4試合全てを一人で投げ抜いた。「肩、肘に張りはない。あとは下半身がついてくるか。ここまできたら勝ちたい」と闘志を燃やした。準決勝で上田が負傷。太田主将は「チームとしては痛手だが、戦力は変わらない。今まで通りにやりたい」と平常心を強調した。

◇勢い加速 夢つかめ

 浦和学院の勢いが、ぐんぐん加速している。

 今大会初のリードを許しても、全く焦りはなかった。直後に高田の一発で逆転、これまでの盤石ぶりを物語るかのような試合運びで敦賀気比に快勝した。初の決勝に駒を進めた森監督は「勝ち方は本当に出来過ぎ。その一言です。目の前のことを全力でやってきたので、決勝というのはあまり実感が沸かない」と笑顔が広がった。

 エース小島の好投は賛辞に値する。しかし最大の勝因は11安打5得点した打線。「入ってくるボールを捕まえて、出ていくボールを追い掛けない」と、森監督が試合前に語っていたように、右打者が相手のエース右腕岸本の決め球スライダーを完璧に攻略したことだ。

 5得点は全てスライダーを打った結果。高田の逆転2ランは初球の低めを真芯ではじき返し、五回の山根は、外角をうまく拾い上げる左前打。さらに続く木暮の2点二塁打は真ん中に入ってきた甘い球を確実に捉えた。

 普段のシート打撃やフリー打撃から打つ数を少なくし、狙った球を逃さない練習を徹底、実践してきた。主将の山根は「狙いはスライダーだった。一球で仕留めるつもりで集中してました」と、してやったりの表情だ。

 初出場した1992年の第64回大会の4強を力強く超え、部の歴史を塗り変えた。

 当時、就任1年目で27歳だった森監督は「あの時は怖さも分からないまま、勢いだけであそこまで勝ち進み、(準決勝の舞台に)立てただけで満足していた」と振り返る。あれから21年、今大会では出場最多監督となり、「いろいろな面で長い道のりだった。怖さもよく分かったし、少しずつ身にしながら、今までと同じ気持ちで試合に挑めた」と、見事につかみ取った決勝切符の喜びをかみ締めた。

 悲願の日本一まであと一つ。この日の勝利で公式戦400勝を達成した森監督。実は1月、今大会準決勝で勝利し、いつもの通路でインタビューを受けている初夢を見たという。「まさにこの光景だった。『本当かよ』って半信半疑だったのを鮮明に覚えているよ」。甲子園で勝ち上がる夢を見たのは、後にも先にもこの時が初めてで、取材の最中にハッと目が覚めたという。果たして夢の続きは…。

◇浦学ナインのひと言

(1)小島和哉投手
「夢みたい。きょうは勝てたことが一番うれしい。」

(2)西川元気捕手
「2安打だったけど振り遅れた。あしたは修正したい。」

(3)木暮騎士一塁手
「流れを持ってこられるよう打席に立ちたい。」

(4)贄隼斗二塁手
「課題を克服したい。そしてチームが勝つことが一番。」

(5)高田涼太三塁手
「支えてもらった人たちに感謝してプレーする。」

(6)竹村春樹遊撃手
「1打席目からチャンスをつくれるようにしたい。」

(7)服部将光左翼手
「チームが勝つためにできることを常に全力でやる。」

(8)山根佑太中堅手
「きょうはチーム全体が負けない気持ちで臨んだ。」

(9)斎藤良介右翼手
「チームに貢献できるよう自分の役割を果たしたい。」

(10)山口瑠偉投手
「真っすぐと変化球の緩急で勝負したい。」

(11)涌本亮太投手
「ここまで来たからには、あと一つ勝つのみ。」

(12)田畑瑛仁捕手
「打席に立てたら1球で仕留めたい。」

(13)伊藤祐貴投手
「決勝は絶対に点差が離れない。集中を切らさずやる。」

(14)川井俊希遊撃手
「今まで通り一戦必勝で戦う。とにかく大声を出す。」

(15)久保和輝中堅手
「決勝で出たらミスなくチームの勝ちに貢献したい。」

(16)渡邊剛右翼手
「あしたは決勝と思わず初戦という気持ちでやりたい。」

(17)前田優作左翼手
「決勝で代打なら思い切り迷わずに振っていきたい。」

(18)酒井恭遊撃手
「目指してきた全国制覇のチャンスがあり、うれしい。」

(埼玉新聞)

■準決勝(4月2日)

敦賀気比
100000000=1
20003000x=5
浦和学院

【浦】小島-西川
【敦】岸本-喜多

▽本塁打 高田(浦)
▽二塁打 木暮2、西川(浦)喜多、山田(敦)

【浦和学院】
⑥ 竹 村4-1-0
④  贄 3-0-0
⑧ 山 根4-1-1
⑤ 高 田3-1-2
③ 木 暮4-2-2
⑨ 斎 藤3-0-0
H 渡 邊1-1-0
R9久 保0-0-0
② 西 川4-2-0
① 小 島3-1-0
⑦ 服 部4-2-0

(打数-安打-打点)

<投球成績>
小島 9回、115球、被安打5、3奪三振、与四死球3、失点1、自責点1

安 打:浦11、敦5
失 策:浦0、敦1
三 振:浦2、敦3
四死球:浦2、敦3
犠 打:浦1、敦0
盗 塁:浦1、敦0
併 殺:浦1、敦0
残 塁:浦7、敦6

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