【写真】優勝が決まりマウンドへ駆け寄る浦和学院ナイン=3日、甲子園球場(サンスポ)
五回に一気に逆転した浦和学院(埼玉)が18安打17得点で済美(愛媛)に快勝し、9度目の挑戦で初優勝を果たした。埼玉県勢の優勝は第40回大会の大宮工以来45年ぶり。
浦和学院が4試合連続の2桁安打で17点を奪い、大会ナンバーワン右腕の済美・安楽を打ち砕いた。1点を追う五回、2連打で無死二、三塁として8番・小島が左前に同点打。さらに二死満塁と好機を広げると、山根の中前打を中堅手が後逸。2者が生還して3-1と逆転した。
なおも二死二、三塁から4番・高田が左越え2点二塁打。木暮と斎藤も適時打で続き、この回一挙7点を奪う猛攻で逆転に成功した。六回にも足を絡めた攻撃で二死満塁とし、木暮の中前2点打で9-1とリードを広げて安楽をKO。八回にも3番手・太田を攻め立てて8点を追加し、17-1とした。
先発左腕の小島は8安打を許すも失点を二回の1点のみに抑える好投。味方の大量得点にも助けられ、9回をしっかりと投げ抜いた。
済美は初出場優勝した2004年以来9年ぶり2度目の制覇を目指したが、3連投となったエース安楽にいつもの球威はなく、疲れが見え始めた五回につかまり力尽きた。打線も二回二死二塁から8番・金子の左前適時打で先制したが、その後の援護ができなかった。安楽は6回を投げて12安打2奪三振9失点だった。
◇浦和学院・森監督、悲願Vに「嬉しいの一言」
【写真】優勝を決め、喜ぶ浦和学院ナイン=3日午後、阪神甲子園球場(サンスポ)
浦和学院を悲願の初優勝に導いた森士監督は試合後、「嬉しいの一言。選手たちがよくやってくれた」と喜びを語った。
好投手、安楽を攻略しての17得点の快勝に「安楽君が熱投、連投の中、点を取るのは難しいと思っていたが中盤、疲れがみえた所にうまく点が取れた」と振り返った。
1失点完投した2年生左腕の小島に「甲子園の舞台で本当に成長してくれた」と褒めると、「立ち上がりこそ不安げで、2年生なのかな…、緊張している雰囲気があったが、仲間が点を取ってくれたおかげで、終盤は思いっきり彼のピッチングができたと思う」と頼もしい左腕の快投に目を細めた。
◇浦和学院エース小島「楽に投げることができた」
【写真】優勝を決め、喜ぶ浦和学院・小島(右)、西川(2)=3日午後、阪神甲子園球場(サンスポ)
9回1失点の好投で悲願の初優勝に貢献した浦和学院の2年生エース左腕、小島は試合後、「先輩たちがたくさん打ってくれたので、自分は楽に投げることができた」と上級生の援護に感謝した。
小島は8安打を浴びながらも要所を締めて1失点完投。「自分が粘れば先輩たちが打ってくれると思っていた。ランナーが出ても頑張って投げた」と粘投に胸を張った。
安楽との2年生エース対決を制し、打線も爆発して圧勝。春夏連覇に期待がかかるが、「夏も優勝できるようにしっかり練習してきます」と笑顔をみせた。
◇浦和学院、食堂で生徒ら大歓声
【写真】大量得点に歓声を上げる浦和学院の生徒ら=3日午後、さいたま市(サンスポ)
圧勝だ。大量得点で初優勝を飾った浦和学院(さいたま市緑区)の食堂では3日、部活動で登校した生徒や教職員約100人が大型スクリーンの前で応援。優勝を決めると「おめでとう」と歓声を上げ、喜び合った。
打線が沈黙した試合前半は声援も控えめだったが、連打で逆転して以降、一気に盛り上がった。得点を重ねる度に「よっしゃー」と大歓声が上がり、仲間とメガホンをたたき合った。
アメフット部で2年の丸山諒也さん(16)は「野球部を見習い、気を引き締めて部活を頑張りたい」と話した。
試合後、テレビ放送に合わせ校歌を歌い上げると、拍手で選手たちをたたえた。3年の高橋啓之さん(17)は「力をもらえた。夏も優勝してほしい」と期待を込めた。
初代野球部監督を務めた栗野拓哉教諭(57)は「(35年前の)創部からしばらくは、市民大会で優勝がやっとだった。ここまで強くなるとは」と感慨深げだった。
埼玉新聞は、浦和学院の最寄り駅のJR東川口駅前などで号外1万部を配った。
(サンスポ)
◇浦和学院、高い総合力=2年生好投手目立つ
【写真】表彰式後に記念撮影する浦和学院の小島(前列左から3人目)と済美の安楽(同4人目)ら両校選手=3日、甲子園(時事通信)
第85回選抜高校野球大会は浦和学院の初優勝で幕を閉じた。総合力の高さが際立ち、隙のない野球で頂点に立った。安定感抜群のエース小島が持ち味の厳しい内角攻めで好投。打線も決勝では大会屈指の本格派右腕、済美の安楽を攻略した。
決勝で力尽きたが、安楽は前評判通りの豪腕ぶりを披露。初戦で延長十三回、232球を投げ抜き、最速152キロの快速球で沸かせた。その安楽と優勝投手の左腕小島をはじめ、投手で2年生の逸材が目立った。
8強入りした聖光学院の左腕石井、初戦で敗退したものの力強い速球を投げる大和広陵の立田、4強入りの原動力になった高知の酒井は、夏から来年への成長が楽しみ。4番を打つ安楽と立田は既にチームの大黒柱だ。
史上初の3季連続優勝を狙った大阪桐蔭は森友ら主力のけがに泣き、3回戦で敗退。東北勢初優勝の期待がかかった仙台育英も8強にとどまった。ただ、史上初めて5校が出場した東北勢は、ともに春夏を通じ初勝利を挙げた盛岡大付と山形中央を含め4校が初戦突破と健闘が光った。
大阪桐蔭との激闘を制した県岐阜商の戦いぶりも印象深い。21世紀枠同士が争った遠軽-いわき海星は史上最短試合に迫る1時間16分。きびきびとした好ゲームだった。
◇浦和学院の小島、計3失点で優勝投手
浦和学院の2年生左腕、小島が同じ学年の注目右腕、安楽に投げ勝った。今大会5試合に登板し、わずか3失点で優勝投手になった。
決勝の大舞台は立ち上がりから不安定。二回に先制点を奪われたが、その後は粘り強かった。五回2死二塁では済美の4番を打つ安楽と対決。空振り三振に仕留め、「気持ちで立ち向かった」と胸を張った。8安打されながら1失点で完投。「チームが勝ったので(自己採点は)100点でもいいかな」。笑顔がはじけた。
◇名将も脱帽
選抜で2度の優勝、夏も準優勝を経験している済美の名将、上甲監督が浦和学院に脱帽した。五回2死からの手痛い失策に付け込まれ、瞬く間に大量失点。「ミスを逃さない集中力はすごい。(昨年の)甲子園経験者もいるし、相手に一日の長があった」と振り返った。
宇和島東(愛媛)時代を含め、自身3度目の春制覇はならなかった。思わぬ大差に「スタミナも精神面も足りなかった。敗因を分析します」。65歳のベテラン監督は、夏をにらんだ。
(時事通信)
◇広島・大竹母校浦和学院V「うれしい」
広島大竹寛投手(29)が3日、第85回選抜高校野球大会で初優勝を飾った母校浦和学院ナインの快挙を祝福した。
試合開始直後に練習が開始。その間も、得点経過を周囲に聞いたり落ち着かない様子だった。「ずっと、全国制覇を目指して練習していましたから。僕は何も力になれていないですけど、後輩の優勝はOBとしてうれしいです」と喜びを語った。
(日刊スポーツ)
■決勝(4月3日)
済美
010000000=1
00007208x=17
浦和学院
【済】安楽、山口、太田-金子
【浦】小島-西川
▽三塁打 竹村(浦)
▽二塁打 藤原、盛田(済)西川2、高田、木暮、贄(浦)
【浦和学院】
⑥竹 村6-2-2 .304
④ 贄 4-2-1 .286
⑧山 根5-3-3 .500
⑤高 田4-2-2 .438
③木 暮4-2-3 .350
⑨斎 藤4-2-2 .188
②西 川5-4-3 .429
①小 島5-1-1 .200
⑦服 部3-0-0 .417
(打数-安打-打点-打率)
<投球成績>
小島 9回、128球、被安打8、7奪三振、与四死球2、失点1、自責点1
安 打:浦18、済8
失 策:浦0、済2
三 振:浦2、済7
四死球:浦7、済2
犠 打:浦2、済2
盗 塁:浦4、済0
併 殺:浦1、済0
残 塁:浦8、済8