今春の第85回記念選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)は、浦和学院(埼玉)の初優勝で幕を閉じた。この春を含め、埼玉県勢最多の甲子園通算27勝(19敗)を挙げている強豪が、春夏通算20回目の挑戦で頂点に立った。
チームを率いる森士(おさむ)監督(48)は、現役時代は投手だったが、故障に泣き、大成しなかった。苦難が糧になったのだろう。27歳で監督になると、指導者として頭角を現し、浦和学院を甲子園常連校にしてみせた。
公式ガイドブックの取材で浦和学院を訪れた際、田中昌彦コーチ(51)に監督の指導についてうかがった。「とにかくよく選手を見ている」という。技術よりも練習に臨む姿勢や生活態度を重視し、レギュラーでも背番号を剥奪することもある。野球選手ではなく人間を育てるという監督の信念がうかがえた。
26日から春の高校野球。一冬越し、信州の球児たちも成長したはず。素晴らしいプレーを期待したい。
(毎日新聞長野版)