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<高校野球アイ>浦和学院の強さ支える左腕、小島投手

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【写真】関東大会で力投する浦和学院の小島(朝日新聞)

 今春の選抜大会で優勝した浦和学院(埼玉)が、春の関東大会も制した。公式戦の連勝は14に伸びた。

 選抜の決勝で済美(愛媛)の剛腕・安楽を打ち崩した打線に目がいきがちだが、注目すべきはその失点の少なさだ。

 選抜の5試合でわずか2失点。エース左腕の小島は42回を投げて、防御率0・62。1998年の松坂(横浜=0・80)や2008年の東浜(沖縄尚学=0・64)ら優勝投手の先輩たちを上回る好成績だった。

 「風邪気味でせきとたんが止まらなかった」という関東大会でも2試合に完投し、2失点。140キロを超える速球はないが、打者の胸元を正確につく制球力が持ち味。2回戦で完封負けした日大三(東京)の各打者は「球の出どころが見にくかった」と口をそろえた。

 現チームになってから、浦和学院が公式戦で負けたのは昨秋の県大会決勝と明治神宮大会の2度。いずれも小島は先発していない。つまり、小島が先発した試合は無敗なのだ。

 それでも左腕はおごることなく、課題を口にする。「変化球の精度を上げたい。直球に頼っていては夏は勝てない」。勉強でも学年トップクラスという2年生。ピンチでも表情を崩すことはない。

 そんなポーカーフェースのエースが、東海大望洋(千葉)との準決勝で2失点完投したときだけは、「ホッとしました」と舌を出し、森監督をチラリと見やった。「今朝、少し寝坊しちゃって。負けたら、何て怒られたか」

 厳しい指導で知られる監督だけに、プレッシャーは相当だっただろう。しかも、そんな日に限って調子は悪かった。それでも抑えたのだから、ハートの強さは本物だ。勝ち続けていることに森監督は「不安はある」と言うが、左腕の存在がある限り、夏も安定した戦いができそうだ。

     ◇

  山口史朗(やまぐち・しろう) 2005年入社の31歳。東京本社でプロ野球巨人、西武を担当し、12年から大阪本社で高校野球担当に。

 【心に残る高校野球の場面】2011年夏、2回戦の八幡商(滋賀)-帝京(東東京)。3点を追う八幡商が9回に1点を返し、なお1死満塁で5番遠藤が右越えに逆転満塁本塁打。好機が広がるにつれて拍手、声援が増していく独特の雰囲気に、甲子園に潜む「魔物」の存在を感じた。

(朝日新聞)

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