【写真】小島(右)は最後の打者・高梨を二ゴロに仕留めて小さくガッツポーズ(日刊スポーツ)
今春センバツ優勝の浦和学院(埼玉)が、全員の18安打の猛攻で16-1と川越東に大勝し、2年連続12度目の夏の甲子園出場を決めた。準々決勝で完全試合を達成した左腕エース小島和哉投手(2年)は、強力打線を1失点で完投した。打っても2回に先制適時打を放つなど3打点と活躍した。
センバツV左腕の覚悟の表れだった。最後の打者を二ゴロに仕留めても、マウンドに立つ浦和学院・小島は表情一つ変えずに、試合終了のサイレンを聞いた。公式戦無敗記録を21へと伸ばした瞬間でもあった。
今春センバツの準決勝、決勝以来となる公式戦の連投だ。「よくなかった」と毎回走者を出す展開。それでもひるまず、右打者の内角をえぐる130キロ台のクロスファイアとスライダーで相手打線を手玉に取った。与えた四死球は5。強気で攻めた結果だった。9安打されながらも1失点で完投を遂げた。
「日本一投手」としての変化があった。今春まで徹底した内角攻めで打ち取るスタイル。しかしバッテリーを組む西川元気捕手(3年)によると、今大会は「内角のサインに首を振るようになった」と変化を口にする。マウンド上で首を振り、内角一辺倒にならないよう外角にも球を投げ分けることで、投球の幅を広げた。
準々決勝で完全試合を達成した。準決勝で完封、決勝で完投と勝てるエースに成長した。「投げれば負けないエースになりたい」。5月下旬に行った熊本遠征で決意を語ったように、勝利だけを求めた。この日は笑顔を封印した。試合前、川越東のビデオを見ながら選手だけでミーティングを行った。「勝っても笑わないでいよう」と話した。埼玉大会はあくまでも通過点。史上8校目の春夏連覇を見据えた誓いだった。
母美和子さん(52)が「何より試合が大好きな子」と言うように、もともとマウンド上での笑顔がトレードマークだった。だが日本一左腕として、2年生が背番号1をつける重みを感じ、変わった。「本気でまた全国で勝ちたいんで」と春までの笑顔は、勝負師としてのまなざしに変わった。
試合後、選手全員で球場に隣接する氷川神社に向かった。必勝祈願と優勝報告のためだ。小島は「まだ左打者のインコースの精度が低いのでそこが修正点です」と課題を挙げた。次に笑うのは8月22日の甲子園決勝。春夏連覇の中心で最高の笑顔を見せる。
◆浦和学院 1978年(昭53)創立の私立校。野球部は79年創部。部員は84人。生徒数2383人(女子1130人)。甲子園は春9度、夏は12度目。今春センバツ優勝。主なOBは巨人の清水隆行2軍打撃コーチ、DeNA木塚敦志投手コーチ、広島大竹寛ら。所在地は埼玉県さいたま市緑区代山172。小沢友紀雄校長。
◆Vへの足跡◆
2回戦8-1志木
3回戦9-1川越初雁
4回戦5-1春日部
5回戦4-1蕨
準々決勝6-0埼玉平成
準決勝1-0聖望学園
決勝16-1川越東
(日刊スポーツ)