◇最高の夏へ熱戦開幕 誇り胸に156チーム行進
【写真】156チームの球児が元気よく行進した=9日、県営大宮球場
第96回全国高校野球選手権埼玉大会は9日、県営大宮球場で156チームが参加して開会式が行われ開幕。夢の甲子園出場を懸け、19日間にわたる熱戦の火ぶたが切って落とされた。開幕戦は山村国際が花咲徳栄を2-1で下した。決勝は27日午前10時から同球場で行われ、優勝チームは全国高校野球選手権(8月9日から15日間)に出場する。
午前11時、開幕を待ちわびた約1万2千人の観客がスタンドを埋める中、高らかに開式が告げられ、入場行進がスタートした。昨年優勝の浦和学院を先頭に出場チームが組み合わせ番号順に登場。あいにくの曇り空の下、選ばれし2948人の選手が元気のよい掛け声と行進で緑の芝と土のグラウンドを踏みしめた。
式では、浦和学院の土屋竜主将が優勝旗を返還。安斉敏雄県高野連会長が「今は平等に156分の1のチャンスがある。それを夢で終わらせるか、現実にするかは選手、応援にかかっている」と激励した。上田清司知事は祝辞で「自分たちを信じ、仲間を信じ、力を発揮してほしい。皆さんに栄光があること、深紅の大優勝旗を勝ち取れることを期待する」とあいさつした。
最後に選手を代表して所沢北の新井祥太主将が選手宣誓し、「高校球児としての矜持(きょうじ)を胸に、全力投球、全力疾走、全力プレーで最後は笑顔でありがとうと言える最高の夏にすることを誓います」と選手たちの思いを代弁した。
10日は10球場で1回戦の27試合が行われる。入場料金は一般500円(中高生は200円)、引率された少年野球・中学生チーム(引率者・保護者有料)、障害者(障害者手帳の提示)と介添者1人、小学生以下は無料。
◇浦学、優勝旗返還 集大成「もう一度取る」
2008年に達成して以来、2度目となる3連覇の偉業に挑む浦和学院が先頭で登場。主将の土屋が162センチの体を大きく見せるように胸を張って、優勝旗を返還した。
全員が心を一つに、いよいよ戦闘態勢だ。
2年生エースから引っ張っていく立場として、晴れ舞台に戻ってきた小島は「試合をしていく中で、大きくなっていかないといけないチーム。全試合無失点に抑えて自分が甲子園に連れて行く」と、精神的なたくましさを感じさせる3度目の行進を披露した。
3年生は下級生の頃から試合に出ている選手が少なく、初の行進となった選手も多かった。沖縄出身の外野手酒本は「最高の夏にしたい」。春季大会は記録員だったが、結果を残して背番号13を勝ち取った内野手清野も「みんなと長く野球がしたい」と力を込めた。
“優勝旗”と言えば、昨年の秋季関東大会、今春の選抜大会はチームを代表して小島が返還。春季関東大会はチーム全員で返しに行けたが、初戦で敗れた。集大成の夏へ、土屋は「(優勝旗を)もう一度、取りにいく」。
◇所沢北・新井主将 燃える情熱を代弁 選手宣誓
高校球児としての矜持(きょうじ)を胸に―。
曇天を切り裂くように力強い口調で選手宣誓を読み上げた所沢北の新井祥太主将。「名前を呼ばれて走りだした時、注目を浴びて期待されているのがうれしかった」と、狙って引き当てた大役を思う存分楽しんだ。
抽選会の10日後には自ら考案した原稿が完成。『矜持』は昨夏の壮行会で新井ら下級生から先輩たちへ贈った言葉。心を育て、技を磨き、体を鍛える。中野監督がよく口にする「心技体」も盛り込んだ。前日の練習後には仲間の前で行進からの流れを想定した最終チェックで万全を期した。
球児たちの燃えたぎる情熱を代弁し、「イントネーションがおかしい部分があったので99点」と自己採点。それでも「一生に一度できるかどうかの貴重な経験」と胸を張る。笑顔で終える夏へ。「去年は涙で終わってしまった。精いっぱい力を出して上尾に勝ちたい」と力を込めた。
<選手宣誓全文>
宣誓、私たちは苦楽を共にした仲間、常に見守り、支えてくださった方々のおかげで、今この素晴らしい舞台に立つことができています。心を育て、技を磨き、体を鍛えることの大切さを教えてくれた野球に感謝し、高校球児としての矜持(きょうじ)を胸に、全力投球、全力疾走、全力プレーで、最後は笑顔でありがとうと言える最高の夏にすることを誓います。
(埼玉新聞)