◇強豪破り投打に成長 |
選抜大会への最終関門となる関東大会の組み合わせは厳しいものだった。だが、この大会でチームは県大会からより成長した姿を見せることになる。
◇エースが好投 |
1回戦からいきなり神奈川2位の桐光学園。続く準々決勝では山梨1位の東海大甲府との対戦だった。ともに甲子園出場経験のある強豪校だけに厳しい試合が予想され、実際そうなった。
しかし、ここで獅子奮迅の活躍を見せたのが、エース江口だった。全国でも名だたるチームを相手に、連日の2試合連続完封。県大会での完封は1試合だけの左腕が、ここぞで好投し、選抜大会出場を確実にした。
特に桐光学園戦は二回に奪った虎の子の1点を守り切る僅差の勝利となった。追われる側の重圧を感じながらも、「一人一人打ち取ることだけを意識して投げた。特にテンポを意識した」と、抜群のテンポと制球力で試合を支配した。
テンポに関しては、県大会でも決して悪くはなかったが、関東大会では際だって良くなっていた。2安打無四球。試合時間はわずか1時間29分だった。
桐光学園戦で自分のリズムをつかんだ江口は、初戦で15安打10得点と爆発した東海大甲府打線相手にしても、打たせて取るスタイルに徹し、被安打6で投げ切った。初戦に比べるとピンチは多かったが、バックの安定した守備でもり立てた。
◇強打でカバー |
準決勝以降は、打線が試合を決めた。準決勝の高崎健康福祉大高崎(群馬)戦は、7番荒木がサイクル安打を放つなど14安打で10得点。木更津総合(千葉)との決勝でも9安打10得点と爆発した。
準決勝では六回に5得点、決勝は三回に6得点とビッグイニングをつくった。好機で打線がつながり一気の集中力で大量点を奪うスタイルは、2年前に選抜大会を制したチームに通じるものがある。
もともと選手たちに力があったことは間違いないが、3年生の小島が打撃投手を務め、鍛えていたことも大きい。「関東に入って、勝ち進むごとに打球が強くなって驚いた」と小島。初戦は3安打だったが、準々決勝も10安打放っており、試合を重ねるごとに本領発揮した。
4日間で4試合の過密日程の中、前半戦は投手陣が引っ張り、後半戦は疲労のある投手陣を強打でカバーした。2年ぶりの関東大会制覇は、投打の相乗効果を生み出す、全員野球の完成形に近づいていた。
(埼玉新聞)