◇浦和学院、2年ぶり夢を再び 成長を遂げ、10度目の春 |
白球に懸ける情熱、興奮渦巻くアルプス―。ことしも高校球児たちの春がやってきた。第87回選抜高校野球大会は21日、甲子園球場で開幕。一昨年の王者で2年ぶり10度目の出場となる浦和学院は、第3日の第3試合で史上3校目の春連覇を狙う龍谷大平安(京都)と対戦する。
初の全国制覇を達成した第85回大会から2年。新チームの挑戦はどん底からのスタートだった。3連覇を狙った昨夏の埼玉県大会でまさかの3回戦敗退。数時間後には学校に戻り、半ば放心状態で体を動かし続けた。
引退後もグラウンドに足を運び続けた先輩たちに支えられ、苦しい夏場の練習を乗り越えた選手たちに伝統の勝負根性が芽生えた。昨秋は県大会で3年ぶりの頂点に立つと、関東大会でも2年ぶり5度目の栄冠を獲得。各地域の王者が集う明治神宮大会決勝まで駆け上がり、試合を重ねるごとに成長を遂げた。
周囲の期待を底力に変え、紫紺の優勝旗を再び埼玉に。悔しさにまみれた夏の始動から雪辱の秋を経て、10度目の春に満開の桜を咲かせる。
◇選抜高校野球、きょう開幕 |
第87回選抜高校野球大会は21日に甲子園球場で開幕し、出場32校による12日間(準々決勝翌日の休養日を含む)の熱戦がスタートする。開会式は午前9時に始まる。
20日は開会式リハーサルが行われ、入場行進曲のディズニー映画「アナと雪の女王」の主題歌「レット・イット・ゴー~ありのままで~」に合わせ、史上3校目の連覇に挑む龍谷大平安(京都)を先頭に、準優勝した履正社(大阪)の西村卓浩主将が続いた。その後は糸満(沖縄)から東海大四(北海道)まで出場校が南から北の順に行進。敦賀気比(福井)の篠原涼主将が選手宣誓の予行演習をした。
開会式の司会は本田徳子さん(熊本一高)と田中佐季さん(佐賀清和高)が担当し、足立歌音さん(東京・帝京大高)が君が代を独唱する。
開会式後の第1試合は九州学院(熊本)と八戸学院光星(青森)が対戦する。
◇実戦形式で調整 シートノックで守備確認 |
開幕を翌日に控えたチームは20日、午後3時から兵庫県伊丹市の伊丹スポーツセンターで約2時間の練習を実施。バントゲームやシートノック、シート打撃などの実戦形式で調整した。
シートノックでは森監督から外野陣の緩慢な守備を指摘され、二塁ベース後方で選手たちがミーティングを行う場面も。中堅手の幸喜は「風に対応できてない部分があった。甲子園では一球一球考えながら守りたい」と反省点を挙げた。
午前中は開会式のリハーサルに参加。記録員でベンチ入りする小宮がプラカードを持って先頭を歩き、主将の津田らメンバー18人が入場行進の予行演習を行った。小宮は「甲子園のグラウンドを歩いて鳥肌が立った。本番は気を引き締めて行進したい」と満面の笑みを浮かべた。
◇「初戦大きなポイント」森監督と原田監督対談 |
大会第3日の第3試合で対戦する浦和学院の森士監督と、龍谷大平安の原田英彦監督が20日、甲子園球場で対談し、抱負を語った。
―お互いのチームの印象は。
浦和学院・森監督(以下森)「明るく元気なカラーがすごく似ている。伝統のフルスイングが一冬越えて成長してきているのではないか。能力の高い好チーム。」
龍谷大平安・原田監督(以下原田)「組織で向かってくるチーム。気合の入った元気な子が多い。」
―警戒する選手は。
森「(エース左腕)高橋君の存在が際立つが、彼におんぶにだっこというチームづくりはされていないはず。ただ高橋君を投打ともに乗せないことが大事になる。」
原田「1番から9番まで気を抜けない打線。プレーボールからゲームセットまで気が抜けない。」
―どのような試合展開になりそうか。
森「正直予想がつかないが、九回が終わるまでがっぷり四つで戦えるよう、勝機を逃さない準備をするのみ。」
原田「中盤までの失点を少なくすること。」
―試合への意気込み。
森「近年は初戦が大きなポイント。怖さは十分分かっている。初回から集中して心身ともに力を発揮し、見ている方々の印象に残る試合ができればいい。」
原田「終わってみて何が何やらとならないように、落ち着いて最高の舞台で最高のパフォーマンスを発揮してほしい。」
◇森士監督、「根気」の指導で20度目 |
監督就任24年目で自身20度目の甲子園に挑む。昨秋がちょうど70度目の県大会で、秋春夏の合計優勝回数は32回に上る。激戦区・埼玉で勝ち続ける要因を「根気」と表現する。「不可能を可能にしようと努力すること」の継続に他ならない。
妥協することを何よりも許さず、熱心に選手と向き合う。高校、大学時代と控えに甘んじ、「プレーヤーとして満足を得る成果を出せなかった意地」が原点だ。「だからこそ全ての生徒に求められる」と控え選手にも高いレベルを要求する。
「人生のメンバー外になるな」と人間教育にも全力を注ぐ。教え子の結婚式に招かれた際、自身の言葉がスライドに映し出された。「高校野球での経験を生きざまに変えてみせろ」。真剣に接しているからこそ、その言葉が心に焼き付く。
監督歴の中で県大会のいずれも優勝できなかったチームが2季あるが、どちらも夏の決勝まで勝ち進んでいる。「親から預かった大切な子どもたち。手を抜いた年は一度もない」。記録には残らない指導者としての偉業が一番の自慢だ。
◇攻/切れ目ない強力打線 |
切れ目のない強力打線はどこからでも得点が狙える。11四死球と選球眼が光る諏訪、俊足と器用さを兼ね備えた台の1、2番には昨秋以上の活躍を期待。津田、山崎滉、幸喜のクリーンアップはチームの伝統である勝負強さを体現している。
パンチ力のある6番高橋、打率4割超の7番荒木と下位打線も充実。捕手西野の打撃復調も好材料だ。代打も打撃センスに優れる小沢、長打が期待できる梶山が控える。冬場は走塁練習にも重きを置き、次の塁を狙う意識が高まった。
◇投/制球力持ち味の江口 |
エース左腕江口はテンポのいい投球と四角を突く制球力が持ち味。直球とチェンジアップの緩急で凡打の山を築き、関東大会では2試合連続完封でチームに大きく貢献した。タイプの違う左腕小倉は直球の球威で押す力投派。冬場の走り込みで課題の制球も安定した。冷静な投球を心掛け、江口の負担を軽減したい。
県大会決勝で先発した右腕今村は身長180センチの体格を生かした力強い投球が魅力で、スライダーのキレも抜群。秋は出番のなかった右腕榊原も高い潜在能力を秘める。
◇守/安定感抜群の二遊間 |
昨秋は公式戦14試合で7失策と守備は危なげない。中でも内野陣の安定感はチームの特長に挙がるほど。台、津田の二遊間は守備範囲が広く、一塁手山崎滉を含めた3人は前チームから主力を務めた実績がある。三塁手諏訪は慌てずに打球を処理したい。
課題の外野守備も冬場の取り組みで安定感が増した。選抜大会出場を確実にした関東大会準々決勝の東海大甲府戦では、捕手西野を筆頭に、内外野とも好守を連発。大一番で見せた強さを甲子園でも発揮できるか。
(埼玉新聞)
◇開幕直前 浦学、気を引き締め |
第87回選抜高校野球大会の開会式のリハーサルが20日、兵庫県西宮市の甲子園球場であり、浦和学院の選手たちは、21日の開幕を前に、気を引き締めた表情で行進した。
プラカードを持った小宮賢人(けんと)選手(3年)を先頭に選手たちが入場。1年生のとき、夏にレギュラーとして甲子園を経験した津田翔希(しょうき)主将(同)は「気持ちが高まった。経験者としてみんなをひっぱっていきたい」と話した。
リハーサル後には、伊丹スポーツセンター(同県伊丹市)内の野球場に移動し、ゲームやバッティング練習をして本番に備えた。23日の第3試合で、昨春の甲子園優勝校龍谷大平安(京都)と対戦する。
(東京新聞埼玉版)
◇気持ち高めて 浦学、センバツ開会式リハ |
選抜高校野球大会に出場する浦和学院は20日の開会式リハーサルに参加。選手たちは入場行進の練習に取り組み、本番に向けて気持ちを高めていた。リハーサルを終えて、球場から駆け足で出てきた選手たちは、緊張がほぐれたのか、談笑する様子も見られた。
大会は21日に開幕し、午前9時から開会式がある。
(読売新聞埼玉版)
◇「気を引き締め本番に」行進先導 記録員の小宮さん |
浦和学院の選手らは20日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場であった開幕式リハーサルに臨んだ。同校の記録員としてベンチ入りする小宮賢人さん(3年)は行進の際、先頭でプラカードを持つ。「甲子園は憧れの舞台。気を引き締めて本番に臨みたい」と語った。
小宮さんは試合のスコア付けだけでなく、主将と同様に選手の生活指導も担当する。チームメートからの信頼は厚く、森士監督から同校の「顔」として行進の先導役を任された。
リハーサル後は「広いグラウンドに鳥肌がたった」と興奮した様子。メンバー入りできなかったが、「プレーはできない分、大きな声で選手たちを後押しする」と力を込めた。
開幕は21日。浦和学院の初戦は第3日第3試合(23日午後2時から)。昨年優勝校の龍谷大平安(京都)と激突する。
(毎日新聞埼玉版)
◇グラウンドの土 踏みしめて笑顔 開会式リハ |
浦和学院の選手たちは20日、阪神甲子園球場であった開会式のリハーサルに参加した。開幕直前の緊張感がただよう中、整った隊列でグラウンドを行進し、23日の初戦に向け、気持ちを高めていた。
発熱で16日の甲子園練習は休んだ小倉匡祐投手(3年)はこの日、初めて甲子園の土を踏みしめた。「熱も下がり、バリバリ練習ができている。リハーサルだけど、甲子園らしさを感じることができた」と笑顔だった。
(朝日新聞埼玉版)