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県警に「野球部」あり 対外試合・防犯教室…部署越え地域交流

 県警に昨年1月に発足した軟式野球チーム「埼玉県警察野球部(SPBC)」が、野球を通じた地域交流を深めている。県内の大学や社会人野球部などと試合するかたわら、3月には熊谷市の少年野球チームを相手に野球教室に加えて防犯教室も開催。組織内交流を目的にスタートしたチームは、「本業」でも活躍を見せ始めている。

 チームづくりを提案したのは県警捜査1課の警部補佐々木成三(なるみ)さん(38)。中学まで野球をやっていた経験から、野球を通して部署の垣根を越えた交流を進めようと考えたからだ。

 「階級で呼ぶのはやめよう」。階級が重視される警察組織でも、野球をするときは全員「さん」付けで呼ぶ。刑事部、生活安全部、交通部と、それぞれの所属もばらばらだ。佐々木さんら発足メンバーが、当直勤務などの際に若手警察官に声をかけて、徐々にメンバーを集め、現在は約50人を数える。対外試合の戦績は4勝2敗で、23日からは官公庁の野球大会にも出場する。メンバーには浦和学院や、龍谷大平安、横浜高校といった甲子園常連校の野球部出身者もいる。

 発足1年を過ぎた頃、佐々木さんの知人で少年野球チーム「熊谷ドリームス」の監督、高橋雅彦さん(50)から、小学生への野球指導を依頼され、3月15日に教室を初めて開催。メンバーらが強豪校仕込みの技術や練習方法を伝授した。

 さらに、練習後には「おまわりさん」の立場に戻り、小学生には防犯教室を、引率の保護者には非行防止教室を開催。チームのマネジャーとして参加した女性警察官が、知らない人についていかないことの大切さなどをレクチャー。保護者には、佐々木さんが自ら非行少年に接した経験などを踏まえて、何か一つのことに打ち込む経験の重要さを説いた。

 野球教室に参加した安部智裕君(12)は「警察官の人と一緒に野球ができるとは思わなかった。すごく良い思い出になりました」と満足そうに話した。

 今後も野球教室などを開く予定だという県警チーム。監督で捜査1課管理官の木村宏志さん(51)は「警察官を募集するための交流試合なども行っている。県警野球部を広く知ってもらえれば」と話した。

(朝日新聞埼玉版)

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