昨秋、春と2季連続で県大会、関東大会を制し、2年ぶりの優勝を狙う浦和学院。選抜大会4試合を投げ抜き、4強入りの原動力となったエース左腕江口を軸とした投手陣、どこからでも得点が狙える強力打線。県内公式戦12連勝の地力には疑問を挟む余地もない。
選抜大会準決勝で東海大四(北海道)に敗れた4月1日、夏に向けた100日間の戦いが幕を開けた。24度目の夏を迎える森監督は「選抜大会では成長も失敗もあった。課題を残して戦いを終えたことは否めない。経験や感覚として残っているものはあるが、この1年間は夏に向けての準備にすぎない」と言い切る。
ナインが残してきた輝かしい戦績も、夏はそのまま重圧としてのしかかってくる。それを乗り越える準備が必要だった。森監督は「勝って当たり前と思われる。それだけの結果を残してきた。埼玉県勢初の夏の全国制覇という期待もされる。浦和学院の背負っている宿命は底知れないものがある」と視線を上げる。
夏の抽選会1週間前。指揮官は新チーム始動時から主将を務めてきた津田の任を解き、新主将に渡辺を指名した。森監督は「精神的な柱が渡辺なら、試合での技術的なリーダーは津田。最後の夏は自分のことに専念させたかった」と役割を分担した意図を明かした。
選抜大会優勝左腕の小島(現早大)を擁し、3連覇を狙った昨夏は、3回戦でまさかの敗退。「神宮で仙台育英、選抜では東海大四に負けたけど、一年の中で一番のインパクトは去年の夏」と森監督。渡辺も「負けた借りを返すのは夏」と燃えている。
テーマに掲げる“勝負根性”の集大成が試される最後の夏。「ことしの選手たちは丑(うし)年生まれだからなのか、おとなしい。最後の大会に入って闘牛のように覚醒してほしい」と森監督は期待を込める。立ち向かってくるライバルたちをなぎ払い、荒々しく頂点へ突き進む。
(埼玉新聞)