社会人野球のシーズン到来を告げるJABA東京スポニチ大会が11~14日に行われた。新人選手にとっては社会人デビューの舞台。トヨタ自動車が初優勝した今大会で早くも活躍したルーキーや注目選手を取り上げる。
社会人で結果を 東京ガス・笹川晃平外野手
大学時代、ケガに泣かされた苦労人が社会人での活躍を期している。東洋大出身の笹川晃平外野手(22)。182センチ、86キロの恵まれた体格で、力強い打撃が持ち味だ。昨夏の都市対抗4強入りの強豪・東京ガスでは早くも4番に座り、初の公式戦となるスポニチ大会では適時打を放つなど勝利に貢献。菊池壮光監督も「気後れすることなく積極的に振っていく姿があった。今後が楽しみ」と期待を寄せる大型ルーキーだ。
埼玉・浦和学院高では3年夏の甲子園でベスト16入りし、東洋大に進んだ。1年春から主軸で出場したが、2年秋に左の股関節を手術。それ以降、結果が出せない時期が続き、チームも3年間は東都リーグの2部で過ごした。
1部に復帰した4年春は主将で4番として打席に立ち、プロ入りを目指して結果を求めたが、打率2割9厘。納得のいく数字が残せなかった。「2年間は社会人として自分を確立することがプロへの一歩になる」と思い直した。プロ志望届の提出をあきらめた秋は「冷静に状況判断できるようになった」と4割1分7厘の打率を残して首位打者を獲得。
東京ガスでは自由な雰囲気の中で野球に打ち込む。ノックと打撃練習が終われば、あとは自主練習。自分を甘えさせることもできる環境だが、「その中でどれだけ厳しくできるかが大事」と気を引き締める。10歳上の選手や、年下でも社会人経験の長い高卒の選手などさまざまな選手がいる中で「立ち振る舞いや考え方など学ぶことが多い」と尊敬のまなざしを送る。
初めて観戦した昨年の都市対抗。「社会人の本気の野球を見て、ここで結果を残したいと思った」。大谷翔平(日本ハム)や藤浪晋太郎(阪神)らと同世代。今もプロへの気持ちは強いが、「一段一段階段を上りながらやるのが自分らしい。進んだ道でしっかり結果を残したい」と力強く前を見据えた。
(毎日新聞東京版)