私の高校野球生活は、まさに“松坂フィーバー”真っただ中。松坂大輔擁する横浜高校に勝てない限り、全国制覇など不可能でした。
チームのスローガンは「もう一度松坂と」。
秋季関東大会準決勝で横浜高校に大敗を喫して以来、チームは松坂に勝つためだけに練習をしてきたと言っても過言ではありませんでした。
つらく苦しい練習の日々。県内では勝って当たり前と言われ、相当なプレッシャーがのし掛かっていたことを鮮明に記憶しています。結果として、その後の大会は横浜高校と対戦する前に負けてしまい、リベンジを果たせないまま高校野球生活を終えることとなりました。
今、当時のことを考えると、松坂にとらわれ過ぎて、目の前にある一番大切なものを完全に見失っていたのではないかと思います。しかし、それもまた、松坂大輔のすごみではなかったのかと痛感します。
松坂大輔がプロ野球の試合で活躍する姿を見るたびに、私の高校野球生活が鮮明に浮かび上がってきます。
(埼玉新聞)