【写真】7回表浦和学院2死満塁、2点適時打を放ち叫ぶ高松
第103回全国高校野球選手権埼玉大会第11日は25日、県営大宮球場で準決勝が行われ、昨秋の県大会覇者でBシードの昌平が初めて決勝に進出した。春季県大会王者で3年ぶりの甲子園出場を狙うAシード浦和学院は、2大会(3年)ぶり19度目の決勝へ駒を進めた。
夏の埼玉大会で2大会(3年)ぶりに4強入りした昌平は、川口に7-4で逆転勝ち。昌平は3-3の七回1死一、三塁から古賀のスクイズで勝ち越しに成功するなどこの回に3点を奪った。九回にも古賀の適時二塁打でダメ押しの1点を追加。投げてはエース右腕田村が、4失点しながら完投した。公立勢で唯一ベスト4に進んだ川口は五回に一度はリードしたが、守備の乱れも絡み昌平に逆転された。
Aシード浦和学院とCシード春日部共栄の名門対決は、浦和学院が6-1で逆転勝ちした。浦和学院は1-1の七回1死二、三塁から金田の2点適時打で勝ち越し。さらに、高松も2点適時打を放ち、この回だけで4点を加えた。九回にも試合をほぼ決定づける6点目。春日部共栄は一回に1点を先制したものの、相手の継投策を攻略できず、四回以降は1安打に抑えられた。
決勝は27日午前10時から、県営大宮球場で行われる。浦和学院は2大会(3年)ぶり14度目の優勝を目指し、昌平は創部43年目で初の栄冠と春夏通じて未踏の甲子園出場に挑戦。両校が対戦した春季県大会準決勝では延長十回の末、浦和学院が10-9でサヨナラ勝ちしている。
好機に集中 一挙4得点
埼玉高校野球界で長年にわたり、覇を競ってきた浦和学院と春日部共栄。2017年の第99回大会準決勝以来となる、私学の両雄による夏の直接対決は、浦和学院に軍配が上がった。
「初回に失点してチームに硬さがあった」と振り返る主将の吉田瑞。一回こそ、積極的にバットを振ってくる春日部共栄に先制を許した。だが、五回に金田の適時打で追い付くと、1-1で迎えた七回には一挙4点を勝ち越し。ここ一番での集中力と抜け目なさで、ライバルをしのいだ。
8番宮城から始まった七回の攻撃。森監督も「あそこのチャンスが大きかった」と勝因に挙げる。先頭の宮城が右前打で出塁し、八谷の犠打に失策が絡み無死一、二塁。相手守備の小さなほころびを逃さなかった。
1番吉田匠も犠打を決め、1死二、三塁として重圧を与えると、続く金田が「何とかヒットを打ってやろう」と甘いスライダーを中前に運び勝ち越しの2点適時打。さらに、2死満塁から高松が2点適時打を放った。
走塁でも見せた。九回1死二塁から藤井が大きな中飛を放つと、二塁走者の吉田瑞が「迷わず判断した」と一気に本塁突入。犠飛となり、ダメ押しの6点目を奪った。
早いタイミングでの継投も的確だった。森監督は「(捕手の)吉田瑞樹が『球が来ていません』と言ってくれたから、四回に継投を判断できた」と言う。監督と選手の意思疎通が取れたことで、先発宮城から2番手金田への好リリーフにつながり、春日部共栄打線を1失点に抑えられた。
3年ぶりの甲子園出場まであと一つ。金田は「あと1勝、全力でやる」と語り、吉田瑞は「ベンチだけではなく選手全員で一丸になって勝ちにいく」と意気込んだ。
「役割」徹し投打けん引 浦和学院
本職の遊撃手として先発し、1点リードされた四回からマウンドに上がった2年生金田が投打で活躍。チームを逆転勝利へと導いた。
2番手で九回まで70球を投げ込み、被安打1、自責点0の内容に「自分の持ち味である真っすぐを、キャッチャーの構えたコーナーに投げ切ることができた」と満足げ。森監督も「もうびっくり。今日は金田の投球に尽きる」と称賛する。
先発のエース宮城が一回に先制を許すと、二、三回も三塁を踏ませるピンチが続いた。「宮城が今日は苦しんでいたので、同級生である自分が何とか助けたかった」と金田。交代する時には「任せろ」と安心させた。
打者としても2安打3打点の活躍。1、2打席目はチャンスで打つことができなかったが、その後は「基本に忠実にセンター返しを心掛けた」。
決勝でも「自分の役割」を徹底する姿勢は変わらない。積極的な野球も。「攻める守備、攻める走塁で挑んでいく」と力を込めた。
3回に降板もバットで貢献 浦和学院
2年生エース宮城がこの日は3安打と打撃で活躍した。
先発でマウンドに立つも「持ち味のキレのあるストレートが決まらなかった」と、一回裏に先制点を許し三回で降板。中堅手に回り、「ピッチング以外で貢献したかった」と集中した。
1-1で迎えた七回表の攻撃。先頭の打席に入り、低く入ったカーブを右前にたたき込み出塁。ここから勢いに乗ったチームは4点を挙げ、試合を決めた。
宮城は「3年生に助けられてばかりだが、自分にできることをしっかりやりたい。それが結果として甲子園につながればうれしい」と笑顔を見せた。
鉄壁守備にほころび 隙突かれ崩れる 春日部共栄
一回に4番石崎の左前打で先制したものの、同点に追い付かれ、1-1で迎えた七回表。ここで今大会無失策を誇る春日部共栄の鉄壁守備に、ほころびが出る。きっかけは一つの失策だった。
無死一塁から浦和学院の八谷のバントを捕手の石崎が一塁へ悪送球。犠打で1死二、三塁とすると、金田に逆転の中前打を浴び2失点。さらに追加点を許し、この回4点を奪われた。「ランナーを意識して送球を焦った。判断が遅れた」と石崎は下を向く。
「力負け」。本多監督は試合後、同じ言葉を3度も口にした。「攻撃よりも守備。守備から(リズムをつくり)攻撃へ。強豪校は一つの隙を突いてくる。これが夏の大会」。悔しさをかみ殺すように振り返る。
夏に向けてチームは守備力の強化に取り組んできた。守備からリズムをつくり主導権を握って勝つ。「強豪校に勝てるとしたらロースコア。ミスした方が負ける」と増田主将。しかし、この日は「みんなでミスをカバーできなかった」。
打線は中盤以降、浦和学院の2番手金田の前に1安打と沈黙。エース高橋の9回147球の力投に応えられなかった。
今春は県大会準々決勝で花咲徳栄に1-12の五回コールド負け。屈辱を糧に臨み、決勝までは届かなかったが、「楽しくできた。悔いはなかった」と高橋は充実感を込めた。
(埼玉新聞)
浦和学院が決勝進出、春日部共栄に逆転勝ち 金田優太が投打でけん引
浦和学院が、春日部共栄に逆転勝ちを収めた。18年の記念大会南埼玉大会で優勝して以来3年ぶりの決勝進出を決めた。
金田優太内野手(2年)が、2番手として6イニングを無失点に抑え、さらに同点打と勝ち越し打をマークした。森士監督(57)は「びっくり。金田の好投に尽きる」と話した。
1点を追う5回2死二塁、金田が中前適時打を放ち同点に追いついた。
1-1で迎えた7回、打線が相手の先発高橋をとらえた。1死二、三塁で金田が再び中前適時打を放ち、2点を勝ち越した。なおも2死満塁で高松陸内野手(3年)が中前適時打で続き、さらに2点を追加した。
宮城誇南(こなん)投手(2年)が今大会3試合目の先発。初回に1点を先制されたが、2回は1死三塁のピンチを連続三振で切り抜けた。3回を被安打5、1失点で4回からは中堅手へ回った。2番手は遊撃手でスタメン出場の金田。持ち味の制球力で6回を被安打1の無失点、3奪三振と流れを引き寄せた。
甲子園まで、あと1勝。決勝戦に向けて、森監督は「コロナの時代で、高校野球をやらせていただけることに感謝。去年の先輩たちの思いを受けた中で、せっかくやらせてもらえるので、悔いの残らないように、思い切りのいい試合をやらせたい」と話した。
浦和学院3大会ぶり決勝、監督が2年生集めゲキ「思い切ってやれ」
浦和学院が、チケット4500枚が前夜に完売した注目の一戦を制し、18年の記念大会南埼玉大会で優勝して以来3大会ぶりの決勝進出を決めた。
森士監督(57)は、学校出発前に2年生だけを集め「思い切ってやれ。ミスしたら、使った監督が悪い。俺のせいにしろ」と伝えた。
実際に、2年生の2番打者、金田優太内野手が勝ち越し打を含む5打数2安打3打点。さらに、2番手として登板し6イニングを被安打1の無失点に抑えた。二刀流で活躍した金田は「思い切ってプレーしようと思っていた。決勝も、自分の役割を果たしたい」と話した。
(日刊スポーツ)
勝ち越し打、1安打継投 浦和学院・金田優太選手
四回裏、浦和学院のマウンドに、遊撃の守備から金田優太選手(2年)が回った。「3年生の夏を終わらせるわけにはいかない」というプレッシャーがあったが、「常に攻めていく気持ちで」いこうと決めていたという金田選手。直球でコースを丁寧に突く投球で、九回まで春日部共栄打線を1安打に封じた。
打撃も好調だった。3打席目で中方向に安打、4打席目も中方向に勝ち越しの2点適時打を放った。「長打が持ち味ではない自分は、2番打者として力のある3年生につなぎたい」という言葉通り、この後、4番の吉田瑞樹選手(3年)に二塁打、6番の高松陸選手(同)からも2点適時打が飛び出した。
6イニングを投げたのは初めてというが、森士監督もたたえる好投。金田選手は「次もチャンスでしぶといバッティングを見せたい。投手としても今日のようなピッチングができたら」と話した。
(朝日新聞埼玉版)
二刀流で躍動 浦和学院2年・金田優太選手
浦和学院の金田優太選手(2年)が「二刀流」で躍動した。バットでは、1点を追う五回2死二塁で同点の中前適時打を放つと、七回1死二、三塁でも勝ち越しの2点中前打をマーク。「今大会はチームにあまり貢献できてないので、取り返したかった。基本に忠実な打撃ができた」と充実の表情を浮かべた。
投げては四回から2番手でマウンドに上がると、130キロ台の切れのある直球を軸に、90キロ台の変化球を織り交ぜて打者を翻弄(ほんろう)。本職は野手ながら、準々決勝までの5試合で計45得点の相手打線を6イニングで1安打に封じ、森士(おさむ)監督(57)も「もうびっくり」と笑顔で快投をたたえた。
2018年以来の甲子園まであと1勝。金田選手は「決勝でも好機でしぶとい打撃を心掛けたい。いつでも投げられるよう準備もしておく」と大一番での活躍を期した。
(東京新聞埼玉版)
試合結果
全国選手権埼玉大会・準決勝(7/25・県営大宮)
TEAM | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | H | E |
浦和学院 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 4 | 0 | 1 | 6 | 9 | 0 |
春日部共栄 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 6 | 0 |
【浦】 | 宮城、金田-吉田瑞 |
【春】 | 高橋-石崎 |
二 | 吉田瑞2(浦)島崎(春) |
打撃成績
浦和学院 | ||||
位置 | 選手名 | 打数 | 安打 | 打点 |
④6 | 吉田匠 | 3 | 0 | 0 |
⑥1 | 金田 | 5 | 2 | 3 |
⑦ | 松嶋 | 5 | 0 | 0 |
② | 吉田瑞 | 4 | 2 | 0 |
⑨ | 藤井 | 2 | 0 | 1 |
③5 | 高松 | 5 | 1 | 2 |
⑧ | 石田 | 2 | 0 | 0 |
3 | 松田 | 1 | 0 | 0 |
H3 | 三奈木 | 1 | 0 | 0 |
①8 | 宮城 | 4 | 3 | 0 |
⑤4 | 八谷 | 2 | 1 | 0 |
計 | 34 | 9 | 6 | |
春日部共栄 | ||||
位置 | 選手名 | 打数 | 安打 | 打点 |
⑥ | 増田 | 4 | 1 | 0 |
④ | 長谷川 | 2 | 0 | 0 |
⑤ | 山口 | 4 | 1 | 0 |
② | 石崎 | 4 | 2 | 1 |
③ | 吉村 | 4 | 0 | 0 |
⑦ | 島崎 | 3 | 1 | 0 |
H | 村田 | 1 | 0 | 0 |
⑨ | 飯塚 | 3 | 1 | 0 |
⑧ | 川合 | 1 | 0 | 0 |
H | 滑川 | 1 | 0 | 0 |
① | 高橋 | 3 | 0 | 0 |
計 | 30 | 6 | 1 |
投手成績
浦和学院 | |||||||
選手名 | 回 | 安打 | 三振 | 四球 | 死球 | 失点 | 自責 |
宮城 | 3 | 5 | 3 | 0 | 0 | 1 | 1 |
金田 | 6 | 1 | 3 | 1 | 1 | 0 | 0 |
計 | 9 | 6 | 6 | 1 | 1 | 1 | 1 |
春日部共栄 | |||||||
選手名 | 回 | 安打 | 三振 | 四球 | 死球 | 失点 | 自責 |
高橋 | 9 | 9 | 4 | 3 | 1 | 6 | 3 |
計 | 9 | 9 | 4 | 3 | 1 | 6 | 3 |
チーム成績
TEAM | 攻撃 | 守備 | |||||
三振 | 四死球 | 犠打 | 盗塁 | 残塁 | 失策 | 併殺 | |
浦和学院 | 4 | 4 | 4 | 1 | 9 | 0 | 0 |
春日部共栄 | 6 | 2 | 3 | 2 | 7 | 2 | 0 |
浦和学院が終盤に均衡を破り、春日部共栄を突き放した。浦和学院は1-1で迎えた七回1死二、三塁から、金田の2点適時打で勝ち越し。その後、2死満塁とすると、高松のタイムリーでさらに2点追加した。投げては、宮城、金田の継投で1失点に抑えた。春日部共栄は一回に先制したものの、7残塁と好機にあと一本が出なかった。