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浦学の大冒険(4)心理学で精神強化 ポジティブに攻撃野球

【写真】ポジティブな思考で練習に励む浦和学院の選手たち=同校グラウンド

 熱血漢で人心掌握に優れる父の森士(おさむ)前監督が築いた強豪校に、森大監督が放った最後の矢はメンタル強化だ。

 新監督の名刺には監督の肩書きとともに「心理カウンセラー」の文字が入る。同校コーチ時代に筑波大大学院で体育教員免許取得後、早大大学院で2年間心理学を専攻した。「子どもたちのメンタルをきちんと把握していないと、教えるときに子どもたちの心に刺さらない」。心療内科での研修や生徒に対する指導公論など、2年間で学んだ知識をチームに落とし込んだ。

 選手たちをポジティブな思考に向かわせるため、新監督は一つのテーマを掲げた。それは“超攻撃野球”だ。「監督だって失敗はある。選手も落ち込まず、失敗を恐れずに臨む姿勢がほしい。そこから失敗を通してどう打開していくか。これがすなわち、アグレッシブさ」と力説した。

 また、昨今の指導論もあるという。心理的に負荷をかけて逆境を超える心のトレーニングが、今までのスポーツの在り方だった。理不尽なことがあっても、気持ちを奮い立たせて力に変えていたが、それが通用しない時代。だからこそ、選手たちに自信を付けさせるために動いた。

 自己肯定感を高めさせるため、自分の強みを見つけさせた。野球のみならず、学業や私生活で新たなことに挑戦しようとする選手に対してむやみに止めに入らず、サポートした。4番打者の鍋倉は「失敗してもいいから挑戦しようと思えるようになった」と大好きなバッティングに汗を流す。練習後には自分の好きなことに費やせる時間も増えた。

 また、監督、コーチ陣も指導者としてやるべきことを意思統一した。監督が野球部の規則を破った選手を怒った場合、第三者のコーチ陣が選手のフォローに入り、なぜ怒られたか認識させる。そして、監督も選手に怒った理由を説き、改善策を一緒に考える指導方法だ。主将の八谷は「監督、コーチたちとの距離が近くて接しやすい」と実感する。

 メンタル強化には、自己肯定感を高めるだけではなく、もう一つ求めることがある。新監督は「規律があるチームでどう能動的に行動することができるか」と、ウラガクのイメージを変える大きな決断を下す。

(埼玉新聞)

浦学の大冒険(5)圧倒的練習量を短縮 自律促し野球欲増進

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