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浦学の大冒険(5)圧倒的練習量を短縮 自律促し野球欲増進

【写真】気合を入れてグラウンドに駆けだす主将の八谷(中央)ら浦和学院の選手たち=同校グラウンド

 県内の高校野球ファンにとってウラガクは、豊富な練習量で他校を圧倒するイメージがあるだろう。それが変わる。

 森大監督になり、練習時間を大幅に短縮。授業がある平日だと7、8時間実施していたが、その約半分にまで削減した。

 この改革の発端は、新監督がウラガクでの選手、コーチ時代に手を抜いて練習する選手などを見てきた経験から、「サボるなら短時間で質を高めた方がいいかもしれない」とメニューを見直した。

 練習時間が減った当初、選手たちは、寮生活での自由時間が増えたことで、スマートフォンでゲームや動画鑑賞などを楽しんだ。だが、練習に対する物足りなさが生まれた。選手それぞれが入浴や清掃など寮生活の仕事を早く終わらせて就寝までの空いた時間は、自主練習に取り組み始めた。

 各選手たちに練習時間が減ったことに関して聞くと、「集中できる」「時間を無駄にできない」「もっと野球がしたい」と飾り気のない笑顔で語る。

 ある日の夜、約20人が寮の周囲で素振りをしていた。その様子を目撃し、驚いたという新監督は「自主性を促して、いかに自分たちが課題を持って練習するかが大事」と自律する選手たちを温かく見守る。その半面、葛藤があるという。練習や公式戦で課題が見つかると、克服するために練習の量を増やしたいという思いが生じる。「もっと練習すれば、もっと強くなれると思うけど、どこかで割り切らないといけない」とメリハリを意識する。

 関東大会から「三本の矢」(体づくり、脳の活性化、メンタル強化)と打ち出して独自色を濃くした。そして、本格的な新生ウラガクの初披露となる選抜大会へ、新監督は「今までウラガクになかった取り組みなので、いい意味でも悪い意味でもどうなるか分からない。やってきたことを試してみたい」と臆する様子はない。気持ちは挑戦者だ。

 選抜出場が決まった1月28日。選手たちに新監督は「これからも新生ウラガクをつくっていきましょう」と力強く鼓舞した。親子で高校野球と過ごした日々の思いが詰まった監督室とグラウンドから、父の荷物は片付けられた。森士(おさむ)前監督の面影はなく、これからも新たな風が吹き続ける。(おわり)

(埼玉新聞)

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