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浦学7年ぶり8強、和歌山東に快勝 好球必打で2桁安打

【写真】和歌山東に勝利し駆けだす浦和学院ナイン

 第94回選抜高校野球大会第6日は24日、兵庫県西宮市の甲子園球場で1回戦1試合と2回戦2試合が行われ、第2試合の2回戦に登場した浦和学院は、初出場の和歌山東に7-0で快勝し、7年ぶりに8強入りした。

 浦和学院は、打線がつながり本塁打1本を含む12安打7得点で2試合連続2桁安打を記録。投げては宮城、浅田、金田の継投で2試合連続完封勝利とした。

 一回1死二、三塁から相手投手の暴投で三塁走者小林が生還して先制。さらに4番鍋倉の適時中前打で追加点を奪った。二回に1点を加えると、五回には3番金田が右翼スタンドに放った大会第2号の本塁打と8番宮城の適時右前打でこの回2得点。七、八回も1点ずつ加点して突き放した。

 初戦を2安打13奪三振で完封した先発のエース宮城は、切れ味抜群の直球と鋭く曲がるスライダーを巧みに操り、許した安打は六回の単打二つのみ。7回2安打10奪三振2四球で試合を組み立てると八回には2番手の浅田、九回には3番手の金田がともに3人で抑えた。

 浦和学院は大会第9日の27日、準々決勝で九州国際大付(福岡)と4強入りを懸けて対戦する(8時半開始予定)。

好球必打で2桁安打 ハイライト

1回裏浦和学院1死三塁、鍋倉が中前に適時打を放つ。捕手瀬村

 アルプススタンドから聞こえる軽快なブラスバンドにも負けないくらい、ウラガク打線が快音を響かせた。浦和学院は12安打7得点をマークし、2試合連続の2桁安打で快勝した。

 和歌山東戦でのテーマは、右横手投げの攻略。相手のエース麻田を想定し、1回戦後の練習では、社会人野球で投手だった森監督が打撃投手となり、選手たちに浮き球をたたく意識付けと、投手視点からの配球を教えるなどして「好球必打」を徹底。試合早々からその意識を体現した。

 1-0の一回、1死三塁で鍋倉が「外角のストライクゾーンを広くしてセンター返し」と外角低めの球を中前打にはじき返し、打線に勢いをつけた。3-0の五回には、先頭打者の金田が内角に入ってきたストレートを右翼席まで運び、大会第2号のソロ本塁打を決めた。その後も打線はつながり得点を重ねた。

 24日の大会第6日までの計18試合で本塁打はたったの2本。1回戦の大分舞鶴戦で放った高山の2ランと、この日の金田のソロのみ。いずれも浦和学院の選手が記録したものだ。

 この冬に取り組んだ長打力向上の取り組みが実を結んでいる。森監督は「三浦コーチや他のスタッフが切磋琢磨してくれたおかげです」と新生・浦和学院を支えるコーチ陣の働きも大きい。

 次は、昨秋の九州大会を制した九州国際大付と対戦。森監督は「この2勝は全員がつないだ勝利。次が勝負」と大一番を見据えた。

金田、大舞台で公式戦初アーチ

5回裏浦和学院無死、金田が右越えに本塁打を放つ

 「まさか打てるとは思わなかった」。3番金田が、公式戦で初めてとなるホームランを甲子園で記録した。

 貴重な一発を放ったのは3-0の五回、第3打席。2打席まで無安打の金田。打席に入る前に2番伊丹からの「金田の時はインコースに来ているぞ」というアドバイスで狙い球を絞った。

 1ボールからの2球目。内角に入ってきた甘い直球を引っ張った。右翼方向に飛んだ打球は、アーチを描きながら浜風を切り裂くように、ぐんぐんと伸びてスタンドイン。大会第2号のホームランとなった。冷静な面持ちでダイヤモンドを回ったが、「何も考えられず、ただうれしかった」と内面では喜びをかみ締めていた。

 九回には3番手として登板。139キロの直球とチェンジアップを有効に使って3人で抑え、「昨年夏ぶりのマウンドだったけど、気負うことなくできた」と手応えを感じた。

 次戦に向けては「チャンスで凡退したから、得点圏でランナーを返すバッティングをしたい」と大舞台で3番打者の役割を全うする。

高い修正力発揮 7回を10奪三振 エース宮城

 エース宮城がまたも甲子園で躍動した。7回2安打10奪三振無失点で勝利を呼び寄せた。

 「調子が良くなく、マウンドで修正した。テンポ、リズムを意識して打たせて取ろうと思った」と高い修正力を発揮した。序盤は走者がいなくてもセットポジションだったが、回を重ねるごとにフォームを調整。三回途中からノーワインドアップに変えて和歌山東打線を完璧に抑えた。

 「どんどん力を入れて調子を上げていきたい」。今大会屈指の左腕へと成長曲線を描く。

4番が2戦連続打点 鍋倉

 4番の鍋倉が2試合連続で打点を挙げた。1-0の一回1死三塁から「1点じゃ足りない」と強い気持ちで中前適時打を放った。

 昨秋の関東大会から4番を務めるが、延長十回、2-9で敗れた準決勝の山梨学院戦で4打数無安打。「投手戦になって助けることができなかった」と悔しい思いをした。この冬は、打撃練習に注力し、4番としての働きに磨きをかけた。

 「伊丹、金田が打ってくれるから高山につなぐことを考えている」。信頼できる仲間がいるからこそ、鍋倉はフルスイングで勝負する。

(埼玉新聞)

浦学「超攻撃」光る 12安打、零封快勝

 第94回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)第6日の24日、浦和学院は和歌山東(和歌山)との2回戦に臨み、7-0で快勝した。投打がかみ合い、金田の大会第2号ソロを含む12安打で零封。ベスト4をかけた準々決勝は大会第9日第1試合(27日午前8時半開始予定)で九州国際大付(福岡)と戦う。

 試合は序盤から浦和学院ペースだった。初回、先頭打者の小林、2番伊丹の連打などと鍋倉の中前適時打で計2点を先制。鍋倉は「1点じゃまだ足りないと思った。センター返しを意識して、(次打者の)高山に回すことを第一に考えた」と話す。

 五回の攻撃では金田が大会第2号ソロ。「狙い球を振り抜こうと打席に入った。打った瞬間で手応えは良かった」と、内角甘めに入った直球をフルスイング、飛球はライトスタンドへ。試合後「まさか打てると思っていなかったが、たまたまうまく引っかかった。(ダイヤモンドを)回っている時はうれしい気持ちが大きかった」と、自身にとって公式戦初となる本塁打を笑顔で振り返った。

 終盤の七回、八回にも足を使った攻撃で小刻みに加点。二塁打3本を含む12安打で快勝した。

 投げては3投手が零封リレー。完封した初戦に続き先発したエース左腕・宮城は、序盤は調子が上がらずマウンドで修正を重ねたという。「直球は良くなかったが、変化球でしっかりストライクを取れた。テンポとリズムを意識し、打たせて取る気持ちが強かった」。7イニング78球を投げ、奪三振10、被安打2で試合を作った。八回以降は浅田、金田が1イニングずつ投げ、いずれも3者凡退の無安打無失点で抑えた。

 「超攻撃型野球」を掲げ、初戦から大幅に打順を変更、先発メンバーも替えて臨んだ2回戦。森監督は「打線がしっかりつながり、宮城以外の投手もしっかり投げてくれ、関係者が一丸となった理想の試合展開ができた」と選手をたたえ、準々決勝に向けて「次が勝負だと皆で言っている。しっかり準備したい」と意気込んだ。

体全体使い「覇気」

 「甲子園のスタンドで一番目立ってやろう」。野球部の奥虎太郎さん(3年)は応援団長として、体全体を使った大きな振りでアルプススタンドを盛り上げた。中2で見た2018年夏の甲子園準々決勝・大阪桐蔭戦に憧れ、鹿児島市の実家を離れて進学。ベンチ入りはかなわなかったが「甲子園で緊張する選手を後押ししたい」と、声援を送れない中、手の振りで応援をリードする。「グラウンドに覇気が伝わるように。ここから届く応援がメンバーの力になれば」

次は「初戦の分まで」浦和学院・日高智陽外野手(3年)

 一塁コーチとしてグラウンドに立った。相手守備の動きに目を配り、走者に話しかけて鼓舞する。五回裏には高山の走塁が暴投を招き、二塁へ。七回裏にも盗塁を成功させ、いずれも追加点につなげた。

 北本市出身で中学時代は全国大会を経験、浦和学院の「全員野球」に憧れて進学した。長身、強肩で外野の守備に自信がある。21年秋の新チームでベンチ入りしたが、県大会は出場機会に恵まれず、関東大会ではメンバーから外れた。打撃で結果が出ず「外野手争いで下級生に負けてしまい悔しかった」。冬は打撃を一から見直し、練習試合で成長をアピールした。

 センバツ直前に手にした背番号18。初戦は7番右翼手で先発メンバーに起用された。二回裏、意気込んだ甲子園の初打席。内角の球を振った弾みに右の人さし指に裂傷を負った。

 この日は試合開始直前、森大監督から一塁コーチを指示された。チームの快進撃に、次は自身もと復活を誓う。「初戦の分まで、ここぞというところで打って勝利に貢献したい」

「好球必打」奏功 浦和学院・森大監督

 好球必打で対策した成果が出た。強化した機動力で足を使った攻撃もできた。チーム内の切磋琢磨(せっさたくま)で相乗効果が出ている。宮城が良く、浅田、金田も投げた。いいゲームだった。

しっかり勝てた 浦和学院・八谷晟歩主将

 (和歌山東対策として練習で右横手の打撃投手をした)監督の力も借りてしっかり勝ち切れた。(8強一番乗りに)レベルの高い相手に勝つための練習をしてきた。その成果を発揮したい。

また一から挑む 和歌山東・米原寿秀監督

 バッティングをさせてもらえなかった。ベスト8の目標を達成できなかったので、また一からやり直し。甲子園で2試合できたことは財産になると思う。全国レベルを体感できて本当に良かった。

力を出し切れず 和歌山東・此上平羅主将

 自分たちの野球を出し切れなかったというのが率直な思い。全国レベルの投手になると、自分たちの打撃ができなかった。もう一度この舞台に帰ってきて、目標のベスト8を達成したい。

(毎日新聞埼玉版)

鍛えた長打力 公式戦初アーチ 金田優太選手

 五回裏、浦和学院の先頭打者・金田優太選手(3年)は2球目の内角の直球を思い切り、振り抜いた。ライナー性の打球は、右翼スタンドに吸い込まれた。公式戦で初本塁打。「まさか、打てるとは思っていなかった」と語った。

 試合の前日。右サイドハンドの相手エース・麻田一誠投手(3年)の対策で、現役時代は投手だった森大監督自らが打撃投手を務めたという。森監督は試合後「(練習で)打たれたので、本番も打ってくれるんじゃないかと思っていた」と笑顔で振り返った。

 チームの得点源の3番打者の金田選手。この冬は、長打力をテーマに鍛えた。木製バットで打球を飛ばす感覚を養い、フリー打撃ではフェンスを越えることが増えた。食事量を増やして秋から身長を3センチ、体重も10キロほど増やし、パワーも付いた。

 大会前に語っていた目標は「長打力とミート力を兼ね備えた打撃をすること」。初戦の大分舞鶴戦は3安打1打点、この日も本塁打を含めて2安打2打点。狙い通りのバッティングで、自信を深めている。

 九回には遊撃からマウンドに。落ち着いた投球で三者凡退に退け、試合を諦めた。「変に気負うことなく、自分の投球ができたかな」。チームも攻守がかみ合い、8強一番乗りを決めた。

(朝日新聞埼玉版)

打撃投手務めた森監督 相手エースを想定した対策奏功

 1回戦を上回る12安打7得点で快勝した浦和学院。右横手投げの相手エースを想定し、練習では現役時代に同じ右のサイド投手だった森大(だい)監督が打撃投手を務め、徹底した対策を取って臨んだ試合だった。

 森監督は「『自分だったらこう攻める』というのを選手たちに話し、低めの変化球の見極めと、浮いた球をしっかりたたく対策をした成果が出た」と振り返った。貴重な中押し点となった金田優太選手の本塁打に話が及ぶと、「僕も金田君には打たれたので」と笑顔を見せた。

 五回に得点につながる安打を放った八谷晟歩(はちやせいほ)主将(3年)も「監督が本気で投げてくれたおかげで、全員で相手投手を打ち崩す練習ができた」と感謝を口にした。準々決勝に向けては「相手のレベルが高くなっても、勝ちきれるようにやってきた」と自信をのぞかせた。

(東京新聞埼玉版)

試合結果

選抜大会・2回戦(3/24・甲子園)

TEAM 1 2 3 4 5 6 7 8 9 H E
和歌山東 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 2 1
浦和学院 2 1 0 0 2 0 1 1 x 7 12 1
【浦】 宮城、浅田、金田-高山
【和】 麻田、田村-瀬村、高野
金田(浦)
伊丹、大内、小林(浦)

打撃成績

 浦和学院
位置 選手名 打数 安打 打点
小林 4 3 0
伊丹 4 1 0
⑥1 金田 4 2 2
鍋倉 5 1 1
高山 4 2 0
八谷 2 1 0
喜屋武 3 0 0
宮城 3 1 1
H 藤野 1 0 0
R 三宅 0 0 0
1 浅田 0 0 0
4 大勝 0 0 0
④6 大内 4 1 0
34 12 4
 和歌山東
位置 選手名 打数 安打 打点
山田 3 0 0
森岡 4 0 0
野別 3 0 0
此上 2 0 0
中川 3 0 0
尾花 3 0 0
4 銅屋 0 0 0
瀬村 3 1 0
R 平川 0 0 0
2 高野 0 0 0
麻田 1 0 0
1 田村 2 1 0
④6 橋本 2 0 0
26 2 0

投手成績

 浦和学院
選手名 安打 三振 四球 死球 失点 自責
宮城 7 2 10 2 0 0 0
浅田 1 0 0 0 0 0 0
金田 1 0 1 0 0 0 0
9 2 11 2 0 0 0
 和歌山東
選手名 安打 三振 四球 死球 失点 自責
麻田 4 1/3 9 1 1 0 5 5
田村 3 2/3 3 1 2 1 2 2
8 12 2 3 1 7 7

チーム成績

TEAM 攻撃 守備
三振 四死球 犠打 盗塁 残塁 失策 併殺
浦和学院 2 4 1 2 9 1 2
和歌山東 11 2 1 0 2 1 1

浦和学院が試合序盤から投打で和歌山東を圧倒した。一回、1死二、三塁から暴投で先制すると、鍋倉の適時中前打でさらに1点を加点。二回に1点を奪い、五回には金田の右越えソロ本塁打などで2得点。七、八回にも1点ずつ加えて相手を突き放した。先発の宮城は7回2安打10奪三振の好投。浅田、金田の継投で和歌山東打線を完封した。

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