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夢の舞台へ熱戦開幕 3年ぶり開会式 高校野球埼玉大会

【写真】開会式で力強く行進する参加146チームの選手たち=8日午前、さいたま市の県営大宮球場

 第104回全国高校野球選手権埼玉大会は8日、県営大宮球場で3年ぶりに開会式が行われて開幕した。147チーム(開会式参加は146チーム)が夢の甲子園出場を懸け、19日間にわたる熱戦の火ぶたが切られた。決勝は26日午前10時から同球場で行われ、優勝チームは全国高校野球選手権(8月6~22日・甲子園)に出場する。

 午前11時、球場のセンターゲートから春季県大会優勝の浦和学院を先頭に各チームが入場行進。熱い夏の開幕を告げた。県高校野球連盟の高橋直人会長は「3年ぶりの入場行進になりましたが、感動を覚える素晴らしい行進でした。いよいよ夏の大会の開幕です」とあいさつした。続いて、大野元裕知事が「自分と仲間を信じ、最後まで全力で目の前の一試合に力を注いでもらいたい」と選手たちを激励した。

 最後に選手代表でふじみ野の後藤航雅主将が力強く選手宣誓。「新型コロナウイルスにより私たちの生活は大きく変わりました。しかし、野球への情熱や仲間との絆は変わらずここにあります」と球児たちの思いを代弁した。

 開幕戦は三郷北が5-2で草加西に逆転勝利した。

 大会は第2日の9日から本格化し、8球場で1回戦18試合が行われる。入場料は一般500円、身分証明書提示の中高生200円。引率された少年野球、中学生チーム(引率者、保護者は有料)、障害者(障害者手帳を提示)と介添者1人、小学生以下は無料。

高校野球で明るい話題を 選手宣誓・ふじみ野の後藤主将

選手宣誓するふじみ野の後藤航雅主将

 選手宣誓を務めたふじみ野の後藤航雅主将は、「緊張したけどせりふを飛ばさずにできた」とほほ笑んだ。

 大役が決まってから山崎部長とエース町田の3人で約2週間かけて選手宣誓文を仕上げた。同校の職員室で発表するなど練習を重ねてきた。

 自らの思いを込めて考えた一文に「感動、希望、勇気」を挙げた。「コロナウイルスなど世界中で負のニュースが続いている。高校野球で世界に感動、希望、勇気を与えたい」と本番は大きな声で思いを表現した。

選手宣誓全文

 宣誓 私たちは3年ぶりにこの場所に集い、開会の時を迎えます。新型コロナウイルスにより、私たちの生活は大きく変わりました。しかし野球への情熱や仲間との絆は変わらず、ここにあります。現在、世界中の人々が先行きの見えない中で不安を抱えています。今こそ勇気、感動、希望を与えるスポーツの力が求められています。心身ともに健やかに、野球ができる喜び、これまで支えてくれた全ての人への感謝を胸に、プレーすることを誓います。

 令和4年7月8日 選手代表 埼玉県立ふじみ野高等学校 野球部主将 後藤航雅

開幕告げる2人 司会進行 辻さん(市浦和)、林さん(与野)

司会を担当した与野の林桃子さん(右)と市浦和の辻真成美さん

 与野3年生の林桃子さんと市浦和3年生の辻真成美さんが開会式で司会を務めた。

 大役を全うした辻さんは「最後は笑顔で楽しむことができた」と満面の笑みを見せ、林さんは「お客さんと選手の拍手が支えになった」と胸をなで下ろした。

 本番前は、プレッシャーを感じていたという。だが、辻さんは「明るく開会式をやってやろう」。林さんは「3年ぶりの開会式で大会の大事なスタートになる。楽しむことを意識した」と透き通った声で埼玉大会の開幕を告げた。

相棒と共に大役 場内アナウンス 川島さん(浦和北)、宮治さん(浦和学院)

場内アナウンスを担当した浦和北の川島りかさん(左)と浦和学院の宮治希実さん

 浦和学院3年生の宮治希実さんと浦和北3年生の川島りかさんは、入場行進中、参加チーム名を読み上げるなど場内アナウンスを担当した。

 チームで唯一の3年生マネジャーである2人。似た者同士だからこそ、「相棒と一緒だから重要な役職ができる」と宮治さん。本番では、ともに緊張した様子はなく入場してくる各チームの名前をはっきり読み上げた。川島さんは「1年生から大会の場内アナウンスをやってきた成果を出すことができた」と充実感をにじませた。

来年度統合の児玉、児玉白楊「伝統背負い最後の夏へ」

連合チームで最後の夏を迎える児玉と児玉白楊の選手たち

 来年度に統合を控え、現校名で最後の夏に挑む児玉と児玉白楊の選手が、開会式で県営大宮の芝を一歩一歩踏み締めた。両校の野球部員数は児玉4人、児玉白楊5人。部員不足のため、熊谷農・深谷との連合チームを編成する。両校は、特色と伝統を支えた”愛される学校”だっただけに、地域住民からは惜しむ声が絶えない。児玉白楊の山崎規雄監督は「人数は少ないが、野球好きな生徒たちが本気で取り組んできた」と選手らの努力をたたえ、初戦に向けて気を引き締めた。

 児玉白楊は1899年創立。農工業に特化した学科を軸に地域産業を支えてきた。児玉は体育コースを有し、数多くのスポーツ選手を輩出してきた。1972年には8強に進出し、同校OBの芳野勇部長が監督を務めていた1998年には、新井亮司捕手(元阪神)を擁し16強入りを果たした。

 徒歩15分ほどの距離にある2校は、20年秋から連合チームとして大会に出場し、21年秋には1勝を挙げたが、夏は未勝利。待望の夏1勝に向けて毎日のように合同練習を重ねてきた。

 6月末の合同練習でも、晴れ晴れとした表情で白球を追っていた。積極的な声出しで、4校のチームメートをまとめる児玉白楊3年の茂木歩夢選手は「最後の野球部として光栄に思う」と123年、紡がれてきた母校の歴史を胸に刻む。

 自校の野球部員が1人という時期を経験したこともある児玉主将の蛭田勇成選手は「きついこともあったけれど、成長を実感している」と振り返る。真下広嗣監督の協力を得ながら筋力トレーニングに励み、入学時から15キロアップ。たくましさが増した体で今夏は長打を狙う。

 初戦の2回戦は10日、レジスタ大宮第3試合の宮代戦。今大会は3年ぶりに有観客での開催だ。選手らの家族には両校の卒業生も多い。OBを含む親戚一同が応援に来るという児玉白楊主将の武井幸輝選手は「寂しいけれど記念にもなる。せめて1勝をして、よい思い出に」と思いを込めた。選手らは気合十分で、記憶に残る大会へと出陣する。

「感謝の気持ちでいっぱい」永年勤続賞に大内部長(杉戸)、西山元監督(浦和北)

永年勤続賞の表彰を受けた浦和北の西山忠氏(左)と杉戸の大内洋八州氏

 県高野連が高校野球に長年尽力した役員を表彰する「永年勤続賞」に、杉戸の大内洋八州部長(60)と浦和北の西山忠・元監督(61)が選ばれた。

 大内部長は、幸手商で女子ソフトボール部の顧問を経験した後、岩槻商で高校野球の指導に携わり、庄和や杉戸の監督を経て、現在は再任用教員として杉戸で選手を見守る。役員として高校野球に携わることで、多くの選手と関わる機会を得たと語り、「感謝の気持ちでいっぱい。(続けられたのは)子どもたちのおかげ」と振り返った。

 浦和北の西山元監督は「地元で野球をやってきて、育てていただいた恩返しをしたかった」と話した。自身も大宮のOBであり、役員として16年間高校野球に関わってきた。「体が動く限り続けたい」と今後も大好きな高校野球を支えていく。

(埼玉新聞)

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