145チームが出場した埼玉大会は、浦和学院の2年ぶり15回目の優勝で幕を閉じた。熱戦が続いた今大会を振り返る。
浦和学院は今大会の全7試合で66得点をあげる一方、失点は5点と、投打がかみ合っていた。コールド勝ちは4回。全試合で先制し、一度もリードを許さない盤石の試合運びだった。
足を絡めながらつなぐ打撃で先制をめざす「超速攻」を標榜(ひょうぼう)し、1点を丁寧に積み重ねる姿勢が浸透していた。チームを引っ張ってきた小林や喜屋武、月山らに1年生の西田や石田らが加わり、打線は厚みを増した。体調不良だった2年生の好打者三井が大会途中から復帰できたのも、大きかった。
投手陣では、エース伊藤が肩を痛めるアクシデントはあったが、鈴木や渡辺、細沢らがカバーし、その穴を埋めた。
大会中、OBで元プロ野球選手の三浦貴コーチががんのため、45歳で亡くなった。三浦さんは亡くなる直前まで指導にあたっていた。主将の江口は決勝後、「天国で見ている三浦先生のために絶対勝とうと思っていました」と話した。
川越東が快進撃
準優勝の花咲徳栄は、準々決勝までの5試合をいずれも無失点のコールドゲームで勝ち上がった。決勝進出は4年ぶり。あと一歩、及ばなかった。
昨秋と今春の県大会で優勝し、初の甲子園出場をめざした昌平は、チーム打率が4割を超えるなど打線は好調だったが、準決勝で花咲徳栄に競り負けた。
川越東はノーシードから4強まで勝ち上がった。エース名取が力投し、山村学園や春日部共栄などの強豪校を破る快進撃だった。
昨夏16強止まりだった公立勢は今大会、春日部東が8強に食い込んだ。
今大会は組み合わせの関係で序盤から好カードが続いた。川口市立や西武台などの有力校は初戦で強豪校に敗れた。昨夏の大会を制した聖望学園もシードの大宮南に惜敗し、初戦で姿を消した。
2年生投手光る
大宮東の冨士や昌平の佐藤立、上尾の飯島や藤村ら実力のある2年生投手の力投も印象的だった。
今年から声出し応援が4年ぶりに解禁され、エール交換などの風物詩が戻った。選手たちは口々に「応援が力になった」と話していた。SNSで流行した「盛り上がり」コールを県内でも多くのチームが採用し、一種のブームになっていた。
大会期間中、県内は晴天に恵まれ、予定通り全日程を終えた。
浦和学院、20選手のひとこと
(朝日新聞埼玉版)