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浦和学院vs春日部共栄 3年生引退試合、夏開幕前ライバル激突 30年続く伝統の一戦

【写真】試合後に健闘をたたえ合い、記念撮影する春日部共栄と浦和学院の選手たち=24日午後、さいたま市岩槻区の岩槻川通球場

 開幕を前にライバル同士が熱戦を繰り広げた。春日部共栄高と浦和学院高の野球部による3年生の引退試合が24日、さいたま市岩槻区の岩槻川通球場で行われた。春日部共栄が1-0で接戦を制し、試合後、監督たちは「ナイスゲームだった」と大きな拍手でたたえた。両校の3年生の中には涙を流す者もいた。

好試合

 同試合は約30年前から実施される伝統の一戦。当初は夏の大会前に両校のグラウンドを利用してBチームの試合などを行っていたが、「ベンチに入れない3年生にとっては本当に良い思い出になる」と、春日部共栄の本多利治監督(66)は引退試合として開催するようになった経緯を語る。

 出場したのは、けがや故障などの理由で、現段階では夏の大会メンバーから外れている選手たち。ただ、過去にはこの試合での活躍を機にメンバー入りを果たし、甲子園に出場した選手もいるだけに、熱気にあふれた。本部席の監督たちは「今のは良いプレーだ」と感嘆の声を上げながら好試合を見守った。

集大成

 引退目前の3年生の執念か、難しい打球が次々に捕球されていく。本多監督と共に30年近く引退試合を観戦してきた浦和学院の森士前監督(60)は「彼らにとって集大成のゲーム。(競争の激しい)学校を選んでくれて、それでも成果を披露する場がある。公式戦と同じ」と語った。

 全力プレーに応援も熱を帯びた。この日は両校の野球部員、保護者ら約400人が駆け付けた。五回終了後のグラウンド整備の際には両校のスタンドが、ゆずの「栄光の架橋」を合唱するなど、一体感ある大迫力の声援を送った。

 スタンドで試合を見守った森田博昭さん(54)は自身も春日部共栄野球部の出身で3人の息子も本多監督の教え子。この日は三男・丈斗選手(17)が出場し「思い切り振ってこいと送り出した。自分の子どもが応援されて試合に出ているのは感慨深くて感謝しかない」と相手校である浦和学院に敬意を示した。

恩返し

 六回の左前適時打で殊勲の1点を挙げた春日部共栄の内山孝太郎選手(18)は「小さい頃から支えてくれた家族への恩返しの気持ちを見せられて良かった」と笑顔を咲かせ、浦和学院の井坂煌生選手(18)は「負けてしまったが、一人一人が努力してきたことを全て出せた試合だった。誰一人後悔はない」と充実感をにじませた。

 試合後のセレモニーでは、本年度での引退を発表している本多監督と、試合前日の23日に還暦を迎えた森前監督に、浦和学院の選手から花束が贈られた。

 今夏、両校がともに勝ち進めば準々決勝で激突する。浦和学院の三井雄心主将(18)が「ありがとうございました。夏、また試合しましょう」と花束を手渡すと本多監督は力強くうなずき、互いの健闘を誓い合った。

(埼玉新聞)

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