【写真】質問に答える森さん(右)と原監督
浦和学院高(埼玉)を全国制覇に導いた森士(おさむ)前監督の講演会が1月19日、千曲市で行われた。森さんは、小中学生の野球少年たちに甲子園を目指す心構えなどについて語った。
千曲ボーイズの主催で、千曲の原知久監督が森さんと親交があり、OB選手が浦和学院に進んだ縁もあり実現。小中学生の選手や保護者、指導者ら約280人が聴講した。
森さんは21年まで監督として30年にわたって浦和学院で指揮を執り、この間、春夏通算22回甲子園に出場し、13年センバツでは小島和哉(ロッテ)を擁し全国制覇を果たすなど「浦学」を全国屈指の強豪に育てた。
前半は森さんが、チームづくりや甲子園への道のりについて話した。森さんは甲子園に行ける4つの条件として、「良い選手が集まる」「良い指導者がいる」「良い環境がある」「チームワークがいい」を挙げ、「池田高校の蔦監督に教わったこと。中でもチームワークを一番大事にしている」とした。
また甲子園で49試合を戦った森さんは、いわゆる「甲子園の魔物」について、浜風やスタンドが白っぽくなる夏服、地元チームへの熱烈な応援などを挙げて、その対策も紹介した。
13年春に悲願の全国制覇を果たしたが、その契機になったのは、2年前に発生した東日本大震災でのボランティアと言う。被災地に「『ネバーギブアップ』と書かれた大横断幕があった。生きることを諦めていないことを学び、失ってからでなく『あることに感謝』しないいけない」と、チームの姿勢が変わった。
後半は、森さんと原監督が、来場者の質問に答えるトークショー形式で進行。「どうしたら甲子園に行けるか?」の質問に森さんは、「ポパイのようにこれをやれば行ける、ものはない。去年甲子園に行ったから同じことをやれば行けるものでもなく、相手を越えていかないといけない」と答えた。
印象深かった主将について森さんは、「監督2年目の主将が夏の大会の直前に『監督は優しすぎます』と言ってきて、『選手たちが締まらなかったら、僕を殴ってください』とお願いしてきた」とエピソードを語った。夏の大会は県準優勝に終わり、引退したその主将は「次に甲子園に行くまで俺はキャプテンを降りない」とチームを支え続け、翌年の甲子園出場につながったという。
対戦して嫌なチームについても森さんは「自立した選手が多いチーム」と応じた。
高校で伸びる選手の特徴に聞かれた森さんは「心身ともに柔軟性のある人」と答え、「大事なのは素直さ。やってみようとする勇気や吸収力を持ち、身体的にも柔軟性は大切」とした。
また中学までに身に着けてほしい技術に森さんは「一番は正しいスローイング。悪い癖は高校ではなかなか直らない」と、特に小学生期に身に着けさせる重要性を指導者に説いた。
(nines WEB)