◇戻ってきた関東大会のマウンド
2時間44分の長いゲームを浦和学院が制し、2年連続の決勝進出を決めた。
「もっとロースコアになるかと思っていたが、大味な試合になってしまいましたね」と振り返った浦和学院の森士監督。6回まで毎回となる11得点に関しては、「収穫」と口にした。
そんな指揮官がこの準決勝で先発のマウンドに送ったのが背番号8の佐藤拓也(2年)。昨年1年生エースとして関東大会3試合を一人で投げ抜き優勝投手になった男だ。今春の選抜以降、調子を崩して本来のピッチングが出来なくなり、大事なゲームで登板できないでいた佐藤が、意を決したように関東準決勝のマウンドに上がった。
1回表。小石澤重人球審がプレーボールを宣告しても投球モーションに入らない佐藤。「自分の良いリズムで投げたいと思った」と一呼吸置いて、フッと息を吐いて第1球を投じた。球はスローカーブでストライクを取る。
これで少し楽になると、その後もポンポンとストライクを取れた。二者連続三振と最高の立ち上がり。しかし、3番の長坂拳弥(2年)にファースト強襲の内野安打を浴びると、4番の内田遼汰(2年)にはフルカウントからの6球目をレフトスタンドに運ばれた。少し苦笑いを浮かべた佐藤。投げる喜びと、不安が交錯しているようでもあった。
打線が『佐藤のために』と奮起し、3回には逆転に成功。打撃からリズムを作る佐藤も、3回と5回に二塁打を放つなど、好調な打線の波に乗った。
ただし、ピッチングでは5回に3四死球と崩れ、結局失点5でマウンドを降りた。「調子は悪くなかった」と話した佐藤。森監督もそれを認めながら、「配球的に間違えたかな」と崩れた要因を分析していた。佐藤の前に飛んだピッチャーゴロをファーストへあわや悪送球となる球を投じるなど、まだまだ不安要素は大きい。でも、準決勝のマウンドに立てたという事実がピッチャーとしての自信となれば、本当の復活に繋がるだろう。
一方、エースの三木敬太(2年)が崩れて、11失点の完敗に終わった健大高崎。ただ、あと1点取られればコールドという状況から攻守を見せ、8回には2点取って追い上げた攻撃は見事だった。
「夏はメンバー外だった選手も、あの雰囲気を体験できたのは大きい」と青柳博文監督は、甲子園の財産を実感していた。「粘りを見せられた」と収穫を口にした長坂主将。夏の甲子園初出場から、次のチームで関東ベスト4まで進出した。
http://www.hb-nippon.com/report/770hb-nippon-game2011/8703-20111103003
(高校野球ドットコム)