点差が5点に広がった直後の7回裏。浦和学院の先頭打者は、2安打を放っている木暮騎士(きぐれないと)選手(2年)だった。
「2打席目はストレートを狙って打った。次は変化球を投げてくる」
狙いは的中した。振り抜いた打球は中前に転がり3安打目となった。しかし、チームは全体では打線がつながらず、9安打放ったものの、春日部東の熊谷健太郎投手(3年)に完封を許した。
選抜高校野球大会では背番号「5」で、1・2回戦に先発出場した。ところが大会中に足をけがし先発を外れ、県大会では、同学年の山根佑太選手に先発を譲り、背番号「15」で控えに回った。
それだけにこの日の先発メンバー入りで奮起し、周囲の期待に応えた。一方、代打で出場して1安打を放った山根選手も「ライバル」と気を引き締める。
浦和学院の森士(おさむ)監督は「夏に戦えるよう選手一人ひとりが奮起し、自分でチャンスをつかんでほしい」とメッセージを送る。
試合後、木暮選手は「悔しいの一言です。夏には借りを返したい」と意気込んだ。赤くなった目は、夏を見据えていた。
(朝日新聞埼玉版)