【写真】関東大会で優勝し、表彰式で優勝旗を受け取る浦和学院・高田主将(スポーツ報知)
今春センバツを制した浦和学院(推薦・埼玉1位)が前橋育英(群馬1位)を破り、3年ぶり4度目の優勝を果たした。2点差に迫られた直後の8回2死三塁で、高田涼太主将(3年)が左翼線へダメ押しの適時二塁打をマーク。チームの公式戦連勝を14とした。昨冬に主将の座を奪われたが、今大会から復帰。センバツタイ記録の3戦連続本塁打を放った男が、春夏連覇へチームを引っ張っていく。
気迫の一打だった。2点差に迫られた8回裏2死三塁。高田は「(直前に)1点取られたので取り返すという気持ちでした」と燃えていた。カウント1ボール1ストライクから116キロのカーブをはじき返した。勝利を決定づける適時二塁打を放っても、二塁塁上では表情を崩さなかった。
活躍しても決しておごることはない。センバツでは大会タイ記録となる3試合連続本塁打も「たまたまです」と、チームの勝利が第一。その裏には昨冬に主将を剥奪された悔しさがある。
昨秋、仲間からの推薦で主将となった。責任感が強すぎるために空回りすることもあった。寮の掃除やプレーでのミスには「何で出来ないんだ」と強い口調で叱咤(しった)。雰囲気が悪くなり、チームの明るさが消えた。「野球は1人でできない。脱皮させないと」(森士監督=48)と、1度は主将を外された。センバツで主将を務めたのは山根佑太外野手(3年)。高田は猛省し、センバツ優勝の翌日も午前5時に起床して黙々とバットを振った。
チームへの貢献が認められ、埼玉県大会3回戦の狭山ケ丘戦後に主将に戻すと予告された。正式に発表されたのは大会開幕前夜の17日だった。「主将だからというのは考えない。とにかく自分が見本になる」と平常心でいることを誓う。
森監督は「高田が主将に戻ったという感じ。山根が代行を務めてくれていた。リーダーがいなかったが、キャプテンシーが出てきている」と目を細める。春の公式戦は14連勝。主将が復活し、夏に深紅の優勝旗を獲得するための死角は見えない。
(日刊スポーツ)
◇浦学V!今年無傷の14連勝で決めた
関東大会決勝は、今春のセンバツで初優勝した浦和学院(推薦・埼玉1位)が前橋育英(群馬1位)を4-1で下し、3年ぶり4度目の優勝を果たした。同校はセンバツ以降の公式戦14連勝。2013年負けなしのまま夏の埼玉大会、そして昨年の大阪桐蔭に続く史上8校目の春夏連覇に挑む。
盤石だ。センバツ、春の埼玉県大会、そして、この大会の頂点まで14戦無敗でたどり着いた。優勝旗を手にした浦和学院・高田涼太主将(3年)は、真っすぐ前を見据えている。「目標は夏の甲子園での全国制覇なので、それに向けての通過点です」。しっかりとした口調で言い切った。
ワンチャンスで見せる驚異的な集中力が、強さの秘けつ。チーム初安打が出た5回だ。1死二、三塁の好機に服部将光(3年)が中前へ2点適時打を放つなど、あっさり3点を先制。終盤の8回2死三塁からは、センバツ史上2人目の3試合連続弾を放った主将が左翼線二塁打でダメ押し。投げては背番号10の右腕・山口瑠偉(3年)が1失点で完投した。
センバツでは主将を交代していた高田が、この大会から復帰。昨秋の段階ではリーダーシップに物足りなさを感じていたという指揮官も、今は違う。「冷静さに欠け、空回りすることもあったが、今はたくましさを少しずつ感じている」。リーダー不在で出発した新チームは、春の全国初制覇を経て、より強い信頼で結ばれるようになっていた。
今年の公式戦に土が付かずに夏へと突入する。視界に入るのは当然、史上8校目の春夏連覇だ。「苦しい試合でも粘れたのは成長。センバツで勝った経験が生きている」と森監督。不動のメンバーで戦うことで強くなってきた浦和学院。勢いはまったく衰えていなかった。
(スポーツ報知)