(第4日、23日・水戸市民)
準決勝を行い、県大会5連覇で2年ぶりの栄冠を目指す浦和学院は日大三(東京2位)に6-4と競り勝ち、決勝進出を決めた。
浦和学院は一回、暴投で先制すると、さらに2死二、三塁で秋山が2点打を放ち3点を先行。四回にも暴投で加点し、蛭間が適時打を放った。五回には矢野の適時打で追加点を奪った。
投げては先発した右腕渡邉が6回2失点と試合をつくった。七回から継投した1年生右腕中上は2ランを浴びたが、リリーフした右腕近野が丁寧に低めへ変化球を集めて後続を切って取った。
最終日は24日、浦和学院-東海大相模(神奈川1位)のカードで決勝を行う(10時・水戸市民)。
真っ向勝負で中軸ぴしゃり 2年生右腕・渡邉と近藤
2年生右腕2人が強打の日大三に真っ向勝負。中軸には一本の安打も許さない快投で相手打線を意気消沈させた。先発した渡邉は力のある直球を武器に6回2失点と試合をつくった。「この打線を抑えられたら自信になる。慎重かつ大胆に攻められた」と大粒の汗を拭った。
七回には1年生右腕中上が初登板。だが2ランを浴び、打者2人で降板した。嫌なムードが漂う中、緊急リリーフした近野は満塁の窮地を招いたが、相手4番をチェンジアップで空振り三振、続く打者を中飛に打ち取った。近野は「コースに投げることを意識した」と大きくうなずいた。
左腕佐野もおり2年生投手陣は豊富だ。九回は佐野が締めたが、森監督は「佐野以外の投手でも勝てたという印象」と手応えを得ていた。
つなぐ意識、快音呼ぶ 今大会初の2桁安打
湿りがちだった打線がここ一番でつながった。浦和学院は強打を誇る日大三を相手に10安打と今大会初の2桁安打で、6得点を奪い逃げ切った。森監督は「相手のミスで点をもらったところから、さらに点へとつなげられた」と納得の様子で振り返った。
先攻の利を存分に生かした。一回、矢野の安打と敵失などで1死満塁と好機を築き、まずは暴投で先制点。さらに6番秋山が「思いっきり仕留められた」と内角低めの直球を左前へと運び、2点を追加。試合の入りで3点を挙げてペースを握った。
相手投手陣の制球の乱れにも惑わされなかった。低めの変化球には手を出さず、10四死球を選べたことで勝利を手繰り寄せた。「次の打者へつなぐ意識だった。ピッチャーの足元に強い打球を打つイメージ」とリードオフマン矢野。四回にも暴投と蛭間の適時打で加点し、五回には矢野の適時打で追加点を奪った。
今大会は、2年生投手を頼りに勝ち上がる展開が続いた。それだけに強打の日大三に対しては「打ち勝つ」をテーマとした。そのテーマの通り、2桁安打で6得点。打線に快音が戻ってきた。
森監督は「決勝という舞台で野球ができることに喜びを感じつつ、これまでの課題を克服していく」と決勝へ意気込む。成長著しい2年生投手陣とともに、自信を取り戻した強力打線が2年ぶりの頂点へと導く
当たり戻り2安打1打点 4番蛭間
関東大会に入ってから無安打だった主砲に当たりが戻ってきた。浦和学院の4番蛭間が四回の適時打を含む2安打と復調の兆しが見えた。「不調でヒットが出ず悔しかった。ベンチから頼むぞと声を掛けられ、なんとしても打ちたかった」とほっとした様子だ。
県大会までは4割を超える打率を残した強打者。体の開きを抑えつつ、右足をしっかりと踏み込むことを意識し、「次はもっと力みをなくしていきたい」と決勝へ照準を合わす。頼もしい打者の調子が上向きだ。
(埼玉新聞)
役割を果たし復活の決勝打 浦学・蛭間選手
準々決勝までの2試合で7打数1安打と調子が上がらなかった浦和学院の蛭間拓哉選手(2年)に「待望の一本」が飛び出した。
3点リードの四回表、2死一、二塁。変化球で2ストライクまで追い込まれ、ファウルで粘った後の4球目。「投手の足元を狙って打ち返そう」。低めの変化球に体勢を崩されながらも、狙い通り中前に運んだ。二塁走者が生還し、結果的に決勝点を生んだ一打に。「結果が出て良かった」と笑顔を見せた。
前の打席では2死満塁で打順が回ってきたが、遊飛に倒れていた。「甘い球だったのに体が開いてしまった」と、四回は右脚をしっかり踏み込むよう意識。反省を生かし、すぐさま修正してみせた。「チャンスで確実に1本出るのが4番」。役割を果たし、チームを関東制覇に導くつもりだ。
(朝日新聞埼玉版)
県大会の不振バネに 浦和学院3年・秋山拓海
一回表2死二、三塁の好機に、低めの内角直球が来た。「何も怖くなかった」。森士監督の指示通りに思いきり振ると打球は左前に飛び、走者2人が生還。この回で計3点を奪い、序盤に日大三を引き離した。
県大会2回戦の対聖望学園。1点を追う九回表に2点を奪い、辛くも逆転勝ちした。「試合には勝ったが(内容は)負けたようなもの。県大会では打席で腰が開いてしまい、全く打てなかった」
県大会後、腰の開きを抑える練習を繰り返した。その成果もあり、関東大会では2回戦、準々決勝ともに二塁打を放つなど打撃が好調だ。好機に打順が回ってきても自信が持てるようになった。
森監督は「よく打った。あの3点は大きかった」とねぎらった。秋山は「決勝まで進んだが、自分たちはまだ弱い。決勝でもチームの全てを出し切りたい」と気を引き締めた。
(毎日新聞埼玉版)
試合結果 |
準決勝 5月23日(水戸市民球場) | ||||||||||||
TEAM | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | H | E |
浦和学院 | 3 | 0 | 0 | 2 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 6 | 10 | 1 |
日大三 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 2 | 0 | 0 | 4 | 9 | 3 |
【浦】 | 渡邉、中上、近野、佐野-秋山 |
【日】 | 櫻井、柿澤、八木-津原 |
本 | 津原(日) |
二 | 山本(浦)大西(日) |
浦和学院打撃成績 | ||||
位置 | 選手名 | 打数 | 安打 | 打点 |
⑤ | 矢野 | 5 | 2 | 1 |
③ | 杉山 | 3 | 0 | 0 |
④ | 家盛 | 3 | 1 | 0 |
⑨ | 蛭間 | 4 | 2 | 1 |
⑧ | 山本 | 4 | 2 | 0 |
② | 秋山 | 4 | 1 | 2 |
⑦ | 本田 | 4 | 1 | 0 |
① | 渡邉 | 2 | 0 | 0 |
H | 阿部 | 0 | 0 | 0 |
1 | 中上 | 0 | 0 | 0 |
1 | 近野 | 0 | 0 | 0 |
H | 中前 | 0 | 0 | 0 |
1 | 佐野 | 0 | 0 | 0 |
⑥ | 森川 | 4 | 1 | 0 |
計 | 33 | 10 | 4 | |
日大三打撃成績 | ||||
位置 | 選手名 | 打数 | 安打 | 打点 |
⑤ | 井上 | 5 | 3 | 0 |
④ | 長谷川 | 0 | 0 | 0 |
H4 | 大西 | 4 | 2 | 1 |
①9 | 櫻井 | 2 | 0 | 1 |
③ | 金成 | 4 | 0 | 0 |
⑥ | 日置 | 4 | 0 | 0 |
⑨7 | 比留間 | 4 | 2 | 0 |
⑦ | 大塚 | 2 | 0 | 0 |
1 | 柿澤 | 0 | 0 | 0 |
H8 | 柳澤 | 1 | 0 | 0 |
② | 津原 | 4 | 2 | 2 |
⑧1 | 八木 | 3 | 0 | 0 |
H | 溝口 | 1 | 0 | 0 |
計 | 34 | 9 | 4 |
投手成績 | |||||||
TEAM | 選手名 | 回 | 被安打 | 奪三振 | 四死球 | 失点 | 自責 |
浦和学院 | 渡邉 | 6 | 5 | 3 | 0 | 2 | 2 |
中上 | 0/3 | 1 | 0 | 1 | 2 | 2 | |
近野 | 2 | 3 | 3 | 1 | 0 | 0 | |
佐野 | 1 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | |
日大三 | 櫻井 | 4 | 5 | 4 | 5 | 5 | 2 |
柿澤 | 4 | 5 | 0 | 4 | 1 | 1 | |
八木 | 1 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 |
TEAM | 三振 | 四死球 | 犠打 | 盗塁 | 失策 | 併殺 | 残塁 |
浦和学院 | 5 | 10 | 4 | 0 | 1 | 2 | 14 |
日大三 | 8 | 2 | 2 | 0 | 3 | 1 | 7 |
打線が復調した浦和学院が10安打を放って、日大三に打ち勝った。浦和学院打線はつなぐ意識が徹底されていた。一回、暴投で先制点を挙げると、なおも2死二、三塁で秋山が左前へ2点打を放ち、3点を先行。四回にも暴投で加点後、蛭間が適時打。五回は矢野が適時打を放った。投げては先発した右腕渡邉が6回2失点と試合をつくった。七回1死満塁のピンチはリリーフした右腕近野が後続を抑え追加点を与えず。九回は左腕佐野が三者凡退に切って取り逃げ切った。