【写真】第105回埼玉大会を振り返る浦和学院前監督でNPO法人の理事長を務める森士氏=28日午前、県営大宮
2021年夏まで浦和学院野球部の監督として30年間指揮を執り、現在はスポーツを通じた地域振興を図るNPO法人ファイアーレッズメディカルスポーツクラブで理事長を務める森士(おさむ)氏が、第105回全国高校野球選手権記念埼玉大会を観戦。長年、高校野球に携わってきた観点から大会を振り返った。
決勝の感想は。
どちらに勝敗が転んでもおかしくない好ゲームだった。両チーム、今年は打線で投手を援護するというチームだった。驚いたのは、じゃんけんに勝った浦和学院が先攻を取ったこと。終わってみれば、それが功を奏し、先行逃げ切りという戦略が優位に働いた。
花咲徳栄は前半、経験値の高い岩井監督が試合巧者ぶりを発揮してよい形の攻めをしていた。だが、浦和学院が常に先行し、四回の4点、六回の2点で一気に勝機をつかんだ。おのおのの選手が全ての力を使い果たした戦いだった。
大会を通じて印象に残った試合は。
市川越-西武台のヤマがしのぎを削っていた。川越東が山村学園、春日部共栄を破り、獨協埼玉や春日部東とも常にロー(スコア)ゲームを勝ってきた激戦ゾーンは印象的だった。今大会はよい投手を擁するチームが多く、その子たちのいるチームがどんな戦い方をするのか楽しみだったが、なかなか思い通りにはいかなかったように感じた。
実力が拮抗しているように感じたが。
コロナ明けのチームづくりの難しさが垣間見える大会だった。高校野球は2年4カ月しかない。その中で下級生の頃からの積み重ねができなかったのは大きい。また、タイブレーク制の導入が波乱を生んでいる。(今春から十回からの導入となり)タイブレークの試合が増えていく中、9回の戦い方を1イニングに凝縮しなければならない。これからは、対応策を考え、その練習をしなければいけない。
来年からは新規格のバットが導入される。
これが来年からの課題。長打率は減る。その分、守備力や走塁など打力だけではない項目も重要なテーマになる。空中戦が減るから楽しみ方の価値観も変わる。野球は考えるスポーツだから、見ている人には機動力や駆け引き、一球一球の間にある『間』を楽しんでもらいたい。
大会を観戦してみて。
(近年)花咲徳栄の1強時代が続いてるように感じていたが、そこに待ったをかけた浦和学院と昌平を合わせた三つが今の埼玉の高校野球を引っ張っている感じなのかな。3校を中心に、今後も混戦が続いていくのではないか。2年の好投手が多く存在しているので、この秋からの戦いにも注目していきたい。
(埼玉新聞)
三浦コーチが亡くなったのはショックです。現役の頃からみてました。あの頃の浦学は4番に石井義キャッチャー小川最強でした。1つ上には木塚、久保田がいました。ちょうど20年前たまたま名古屋ドームに行った時打者に変更した三浦選手がホームラン打ちました。今でもハッキリ覚えてます。