「負けず嫌いの」濱田優太君(3年)が、反撃の口火を切った。4点を追う5回表。先頭打者で1球見送ったあと、セーフティーバントを試み、三塁方向へ転がした。一塁へヘッドスライディングして、内野安打にした。
監督からサインは出ていなかった。50メートル6秒ちょうどの走力を生かし、展開を変えるために「すきをついた」という。チームはここから、敵失や三塁打などで一気に4点を挙げた。
5回裏、二塁手としての守備が光る。1点を許し、なお1死満塁のピンチ。「おれのとこに飛んでこい。アウトにしてやる」。ゴロをさばき、走者にタッチして冷静に一塁へ送球。併殺を取ってピンチを切り抜けた。6回表には同点の中前打も放った。
逆転勝利に、0-7で負けた昨秋の関東大会の東海大相模戦を引き合いに出した。「あの時はずるずる負けちゃって。先行されてそのまま負けたくなかった」
納得の表情を見せて、決勝に進む。
(朝日新聞埼玉版)