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浦和学院が4強 選抜連続出場確実に 秋季高校野球関東大会

 高校野球の第64回秋季関東大会第4日は1日、山梨県小瀬スポーツ公園野球場で準々決勝2試合が行われ、浦和学院は甲府工(山梨)に10-1で七回コールド勝ちしベスト4に進出。来春の第84回選抜大会への2年連続出場が確実となった。

 浦和学院は一回に笹川の適時打などで2点を先制。五回に佐藤の右越えソロ、六回にも木暮のソロなど打者一巡の猛攻で5点を追加した。

 浦和学院は3日の準決勝で、高崎健康福祉大高崎(群馬)と対戦する(同球場・10時)。

◇ピンチしのぎ強打点火

 先制、中押し。悪い流れを継投で断ち切り、後半に猛打爆発で仕上げる―。浦和学院が理想的な形で甲府工に圧勝し4強入り。2年連続の選抜大会出場を確実にした。森監督も「まずは目標としていた位置。ここを突破できて非常に良かった」と安堵の笑みを浮かべた。

 本塁打2本を含む長打4本で、12安打10得点と、強打に目が行きがちだが、勝利を手繰り寄せたのは執念の継投だった。

 3-0の五回。先発山口が安打と四球などで2死二、三塁を招き、左前打で1点を返された。地元山梨の声援をバックに盛り上がる甲府工ベンチ。動揺を隠せない1年生右腕は、続く2番打者に2ボールとした。

 ここで森監督が動く。「四球で3、4番に回すと一気に流れを持っていかれる」と左横の1年生渡邊にスイッチ。「絶対に抑える自信があった」。背番号11は3ボールとなるも慌てずに1ストライクを取ると、左打者の内角に食い込む、左横手投げ独特の直球で詰まらせ一ゴロに切って取った。勝負どころを察知していた選手たちは、この日一番の笑顔を見せた。

 相手の反撃を鎮火させると、再び強打に点火した。六回、先頭木暮のソロを合図に、打者10人を送り込み一挙5点。七回にも林崎の三塁打で2点を追加した。渡邊は「ポイントを抑えられたからこそ、10点も取れたと思う」と誇らしげだ。

 選抜出場を確実としても、選手たちに気の緩みは一切ない。「ここは通過点に過ぎない」と捕手林崎。主将の明石も「目の前のことをしっかりできないと次はない」と引き締める。甲子園への思いは一時封印。ナインが今、頭に描いているのは関東連覇だけだ。

◇3安打3打点の活躍 林崎

 浦和学院の扇の要がこの日バットでも1年生投手陣を強力に援護。2番を担う捕手林崎が2本の三塁打を含む3安打3打点の大活躍だ。

 三塁打はいずれも追い込まれてからの内角スライダーを引っ張り、右中間を真っ二つした会心の当たり。六回の1本目で4点差にし、七回は弱った相手にとどめを刺す2点打。「1年生が頑張っていたから、決められた」。いかにも女房役らしいコメントだ。

 後に打つ佐藤、笹川の3、4番が強打者のため、常につなぐ意識で打席に立つ。そんな2番打者に森監督も「足はあるし、機敏。柔軟性もあり色々な意味でキーマン」と全幅の信頼を寄せる。「自分の経験を精一杯伝えたい」。1年生ながら昨年の関東大会でマスクを被っていた背番号2は、1年間ですっかりたくましくなった。

◇勢い取り戻す 効果的な一発

 六回に飛び出した木暮の一発でチームは再び息を吹き返した。先頭打者として「コンパクトに振る」とバットを短く持ち強くたたくと、打球は左翼席に飛び込むソロホーマー。2点差とされ、ピンチをしのいだ直後だっただけに、実に効果的な本塁打となった。

 県大会では15打数2安打と不振だったが、崩していたフォームに修正を重ね、1回戦は1安打2打点。そして、この日は本塁打を放ち、「まだまだだけど、だんだん良くなっている」。調子とともに自信も取り戻してきた背番号5が、恐怖の7番打者になる。

(埼玉新聞)

◇投球楽しみ監督とハイタッチ

 5回裏、2死一、三塁。2点差に迫られ、森士監督は渡辺剛(たける)君(1年)を呼んだ。「いくぞ」。先発の山口瑠偉君(同)と代わってマウンドに立った。

 初回から投球練習を始め、1点返された時に「出番がくる」と思っていたという。備えは万全だった。しかし、マウンドに立つと、地元・甲府工の大応援団を前に緊張し、大舞台の雰囲気に圧倒された。

 「勝負を楽しめ」。捕手の林崎龍也君(2年)に声をかけられると、表情が緩んだ。「大丈夫」。自己暗示をかけた。左打者の内角を左の横手投げで攻める。内角直球で一塁ゴロに打ち取り、ベンチの前で森監督とハイタッチした。

 森監督から「ひょうひょうとしている」と言われている渡辺君。

 「今日は楽しく投げられた」と振り返ったが、「ライバルの山口と、次の対戦相手には負けたくない」と話す表情は厳しかった。

(朝日新聞埼玉版)

◇悔しさ忘れず“上”へ--浦和学院・林崎龍也捕手(2年)

 五回裏、1点を与えなお2死一、三塁のピンチの場面で、マウンドに上がった左腕、渡辺剛投手(1年)に駆け寄り声を掛けた。「最高のパフォーマンスをして、真剣勝負を楽しめ」。渡辺投手の顔がほころんだ。要求した通り、インコースの直球で左打者を打ち取りピンチをしのいだ。

 今春のセンバツをベンチで経験し、強気のリードで1年生投手陣を引っ張ってきた。この日も、マウンドに何度も駆けつけた。「1年生投手が多いから。ちょっとおかしいなと思えば、すぐに声を掛ける」と話す。ピンチを切り抜けた渡辺投手も「だいぶ気持ちがほぐれた」と感謝した。

 チームが4強を決め、打っては3安打3打点の活躍にも笑顔はない。センバツでの初戦敗退の悔しさを忘れていないからだ。「甲子園で勝てなかったのは、(昨年の)関東大会で優勝した甘えや侮りがあったから。経験した自分が伝えていく」と、“上”を見据えた。

◇継投がポイント--浦和学院・森士監督

 前半は終始硬く、もう少し点を取れても良かった。五回の継投がポイント。目標の4強に届き良かった。一戦必勝で頂点を目指そうと準備してきた。

◇次も落ち着いて--浦和学院・明石飛真主将

 一回に先制でき良かった。五回裏の相手打者を抑えられたことで次の5得点につながった。次の試合でも自分たちの野球を落ち着いてやりたい。

(毎日新聞埼玉版)

◇浦和学院・佐藤、今年はバットで貢献

 「3番・中堅」で先発した浦和学院の佐藤が非凡な打撃センスを発揮した。五回に高校通算9号となるソロを右翼席に運んだ。昨年はエースとして優勝の立役者となったが、今年はバットでチームに貢献。今大会はまだ登板していないが「投げたい気持ちはあります。いつでもいけるように準備しています」と準決勝以降の登板に意欲を見せた。

(デイリースポーツ)

■準々決勝(11月1日)

浦和学院
2000152=10
0000100=1
甲府工

(7回コールド)

【浦】山口、渡邊剛-林崎
【甲】三浦慎、高野、伊藤-小野

▽本塁打 佐藤、木暮(浦)
▽三塁打 林崎2(浦)

【投手成績】
山 口 4回2/3、被安打3、3奪三振、与四死球1、失点1、自責点1
渡邊剛 2回1/3、被安打1、0奪三振、与四死球0、失点0、自責点0

【打撃成績】
⑥ 竹 村3-1-0
② 林 崎4-3-3
⑧ 佐 藤4-1-1
⑨ 笹 川5-1-1
⑦ 石 橋3-2-1
③ 明 石3-1-1
⑤ 木 暮3-1-2
① 山 口2-0-0
1 渡邊剛1-1-0
④ 緑 川2-1-0

(打数-安打-打点)

安 打:浦12、甲4
三 振:浦1、甲3
四死球:浦7、甲1
犠 打:浦3、甲2
盗 塁:浦0、甲0
失 策:浦1、甲1
併 殺:浦0、甲1
残 塁:浦9、甲5

 浦和学院が2本塁打を含む長打4本、計12安打を放ち、甲府工に7回コールド勝ちした。

 浦和学院は一回、笹川の適時打と押し出し死球で2点を先制。五回には佐藤の右越えソロで追加点を挙げた。六回は、先頭の木暮が左翼席へのソロを皮切りに、林崎の三塁打や石橋、明石の連続適時打など、打者10人の猛攻で一挙5点を奪い試合を決めた。

 先発山口は5回途中まで1失点。リリーフした渡邊も2死一、三塁のピンチを一ゴロに抑え、流れを渡さなかった。

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