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浦和学院vs甲府工 高校野球ドットコムレポート

 浦和学院が12安打で10得点、2本塁打も絡めて7回コールドの完勝。2年連続の関東ベスト4を決めた。

 「防戦一方になってしまった。キツかった」と完敗のゲームを振り返った甲府工の石合不二夫監督。エースの三浦慎道(2年)が捕まり、浦和学院の攻撃ばかりが目立ったゲームだったが、そうなるポイントは2度の“入り”だった。

 まずは1回表。マウンドに上がった三浦慎は7球の投球練習を開始する。その中盤に変化球を投げたところ、完全にすっぽ抜けて、キャッチャーの小野勝司(2年)が思わず立ちあがった。

 「試合が始まる前のキャッチボールから、変化球が抜けていた」と主将でもある小野。不安を抱えた状況で試合に入らざるえなかった。その不安が的中する。

 浦和学院の1番竹村春樹(1年)に初球をレフト前に運ばれると、2番の林龍也(2年)には四球。1死を取ったが、4番笹川晃平(2年)に先制タイムリーを浴びた。

 試合開始からわずか5分。

 あっという間に先制を許した三浦慎は、2死から連続死球でもう1点を失った。試合前に不安と感じていた変化球が抜けてのもの。石合監督が話した「防戦一方」の始まりでもあった。

 2回以降何とか粘っていた三浦慎だが、5回に浦和学院の3番佐藤拓也(2年)に一発を浴びる。さらに5番の石橋司にこの試合3つ目の死球を与えた所で、三浦慎をあきらめた甲府工陣営。変化球に不安を抱えて試合に入ったエースにとっては無念の降板だった。

 代わった高野翔(1年)が6番に明石飛真(2年)を打ち取るが、これが6回への伏線ともなる。

 5回裏、2死2、3塁から1番三枝拓夢(2年)がレフトへタイムリーを放ち、ようやく1点を返した甲府工。打った三枝が思わずガッツポーズを見せたことが、ここまで苦しんでいた試合展開を物語っていた。

 5回が終わり、グランド整備。その後の6回表、試合の第2の“入り”が訪れた。

 浦和学院の先頭は7番木暮騎士(1年)。1ボール1ストライクからの3球目、内角へきた直球をレフトへ弾き返した。打球はスタンドへ一直線で入り、点差は再び3に広がった。

 やっとの思いで1点を返した甲府工にとっては、リ・スタートの6回にすぐに突き放される形に。ダメージは大きく、それ以降も浦和学院打線を止めることができない。

 2番林崎にタイムリー三塁打を浴び差が5点となると、3番佐藤にはベンチからの指示で敬遠策を取った。「ここで(佐藤に)打たれると、試合を決められる」と心境を語った小野主将。しかし2死から5番石橋、6番明石に連続タイムリーを浴びた高野。敬遠策も、結果的には裏目に出てしまった。

 7回は3番手の伊藤力也(2年)がコールドを決定づける2点を失い、その裏は三者凡退で9イニングを戦えなかった甲府工。

 小野主将は「1回戦を勝って油断が出た。力を出し切れなかった」と悔しさを噛みしめながら話した。

 一方で勝った浦和学院の明石主将は、「(高野投手への代わりっぱなだった)5回の打席で、内角の球を詰まった。6回は木暮がそれをうまく打ってくれた」と伏線の意味を話した。

 さらに、「グランド整備の直後で、相手にも油断が出ると思っていた。自分達は、夏の大会の花咲徳栄戦で6回に失点して負けてしまっていたので」と6回表の攻撃が重要だったことを強調した。

 大差になったが、1回と6回の二つの“入り”でしっかりと点を取ったことが、このゲームの大きなポイントになった。

(高校野球ドットコム)

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