(3日・山梨県小瀬スポーツ公園)
第6日は準決勝を行い、連覇を目指す浦和学院が高崎健康福祉大高崎(群馬1位)に11-7で快勝し、2年連続6度目の決勝進出を果たした。
一回に2点を先制された浦和学院は、二回までに追い付くと三回には長打2本に犠打や4四死球を絡め、一挙5点を奪った。四回にも木暮の左犠飛と山根の中前打で2点を追加。終盤は追い上げられたが佐藤、渡邊、山口のリレーで逃げ切った。
浦和学院は4日の決勝で2年連続3度目の頂点を懸け作新学院(栃木1位)と対戦する(10時・山梨県小瀬スポーツ公園)。
◇「練習通り」打撃にすごみ
浦和学院が連覇へ、力強く王手をかけた。ロースコアの接戦が予想されたものの、終わってみれば15安打11得点で高崎健康福祉大高崎に快勝。後半の追い上げも3投手の継投で逃げ切った。森監督は、「もう少し点を取れないかと思ったが、攻撃では大きな収穫があった」と好投手を打ち崩しての勝利にうなずいた。
夏の甲子園でも登板し、今大会も2試合で16回無失点中の好左腕三木をしたたかに攻略した。笹川、竹村の犠飛で二回までに2-2とすると、三回には佐藤の二塁打を皮切りに1死三塁から4連続四死球で2点。緑川の二ゴロ、とどめに竹村が直球を右中間へ運ぶ2点三塁打で一挙5点を勝ち越した。
四回にも木暮の犠飛と山根の中前打で2点を追加。この回まで9安打9得点で三木をマウンドから引きずり降ろした。
切れのある球を対角線に投げ込んでくる左腕に、右打者はベースに近づき過ぎずに懐を深く、左打者は逆に近づいて踏み込む。高めの直球には手を出さず、変化球は投手寄りに立ち、曲がりっぱなをたたく。まさに前日練習で徹底していた打撃を実戦でそのまま再現してみせた。
「練習の成果が出て、狙い球を捉えられていた」と主将の明石は涼しい顔だが、森監督は「練習通りできる選手がすごい」と、その対応力の高さに舌を巻く。
終盤は走塁ミスや失策などで、夏の甲子園で1勝挙げたメンバーが残る相手の猛追を食らった。明石は「(相手は)全員が諦めず、粘り強かった。これが甲子園で勝つチームなのかなと思うし、学ぶべき点が多い。自分たちの甘さが全て出た」と戒める。
連覇の懸かる決勝へ向け、反省材料を糧にできる素直さも、このチームの強さなのかもしれない。
◇投球に課題も打で貢献
浦和学院の佐藤が今大会で初先発し、5回5失点ながら要所を締め、打つ方では、4安打の固め打ちでチームを2年連続の決勝へと導いた。
背番号8が関東大会のマウンドに戻ってきた。
一回は単調な攻めから相手4番に直球を左翼席に運ばれる2ラン。四回に1点、五回には味方のまずい守備から3連続四死球で2点を失った。それでも、この日の最速は136キロを記録するなど球自体に切れは戻ってきた。それだけに佐藤も、「配球が課題。悪かった点を修正したい」と早くも次の登板を見据える。
一方の打撃は相変わらず。打点こそなかったが、3本の二塁打を含む4安打でチャンスメークした。「長打は意識せず、シャープに振ることを心掛けている」。配球を読みながら、狙った球をしっかりと仕留めるあたりは、さすがという言葉以外は見当たらない。
◇チャンス生かしチームに貢献
「緊張したけど、チームのためになってよかった」と試合後に笑顔を見せたのは、今大会初スタメンの山根。佐藤の登板で巡ってきたチャンスを、1年生がものにした。
二回は犠打を1球で決めて同点機を演出し、三回には押し出し死球。四回は2死一、二塁から、態勢をやや崩されながらもバットの先で拾い上げるように中前へ運び、チームに9点目が入った。
長打は狙わず、常に野手の間を抜く打球を心掛ける背番号17は、「決勝も試合に出たいし、優勝を経験してみたい」と大舞台へ、目を輝かせた。
◇頼もしさ増すリードオフマン
リードオフマン・竹村の効果的な打撃が光った。1-2の二回1死一、三塁から左翼へ同点犠飛を放つと見せ場は三回だ。
4連続四死球と二ゴロで3点を勝ち越した直後。2死二、三塁から、「甘い球は思い切り振る」。3球目、やや内角の直球を意気込み通りにはじき返すと右中間を破る三塁打となり、「(チームにとって)大きかった」と貴重な2点が加算された。
1年生ながら今夏からレギュラーを張り貫禄も出てきた。「打席ではランナーに出ること。守備では1つずつアウトにしたい」。落ち着いた口調が逆に頼もしく感じた。
(埼玉新聞)
◇浦和学院2年佐藤拓也投手
三回、先頭打者として打席に立った。「一回表に2点本塁打で先制された借りを自分のバットでかえしてやる」。初球は真ん中低めのカーブ。思いっきり振りぬくと打球は左中間を抜けて二塁打となり、この回に一挙5点を挙げる大量得点の口火を切った。
この日は5打数4安打と、打撃面からチームの勝利に貢献したものの、投手としての結果は五回までで被安打6。六回には1年の渡辺剛投手に交代となり、悔しい思いをした。「投げきりたかった」と悔しがった。
今春の選抜大会が終わってから県大会までの約半年間、スランプに陥った。「腕を振り切れるように」と県大会後、20~30メートルの遠投を練習に取り入れ、毎日、感覚をつかめるまで投げ続けた。繰り返すうちに気持ちも吹っ切れボールが走るようになった。万全ではないが復調しつつあるという。
「1年生が頑張ってくれているのだから、負けていられない」。決勝を前に、投手としての奮戦を改めて誓った。
(読売新聞埼玉版)
◇一挙5点 猛攻の口火切る 浦和学院2年・佐藤拓也投手
同点で迎えた三回裏、初球のカーブを捉えた打球が左中間に抜けていく。先頭打者として放った二塁打が、この回一挙5点の猛攻の口火となった。
「投手という立場にこだわりはない。自分にできることをする」という気持ちで臨んだこの日の試合。それが二塁打3本を含む4安打の大活躍につながった。
春の選抜大会以降、ピッチングは調子を落としており、登板は秋季県大会3回戦以来。「だいぶ良くなってきた」と森士監督が評価するとおり、切れのある直球で5奪三振。しかし、立ち上がりに本塁打を浴び、五回表には押し出しで2点を与えるなど苦しんだ。それでも「味方が打ってくれていたから、焦りはなかった」。
六回に後輩にマウンドを譲ったが、悲嘆はなく「球は走っていた。次は緩急が課題」と冷静だ。復調のエースが見据えるのは連続優勝と、さらにその先だ。
(東京新聞埼玉版)
◇降板も打撃で活躍--浦和学院・佐藤拓也投手(2年)
4試合ぶりに任された先発のマウンドで、甘く入った直球を狙われ、2点を先取された。直後の一回裏、打席に入り深く息を吸った。「とられた分は打撃で返してやる」。前日の練習通り、力を抜いて狙っていた変化球をとらえると、中前安打につながった。
昨年は投手として関東大会で優勝し、センバツのマウンドも経験したが、今季は不調に苦しんだ。先発を務めたのは県大会の1戦だけ。エースナンバーも関東大会から後輩に譲った。この試合でも制球が乱れ5回で中堅の守備に回った。しかし「自分が勝利に貢献できなければ」と言い聞かせ、その後も二塁打2本を放ち5打数4安打と、打者として大活躍した。
「投手として活躍したい。でも今は打者としての自分の役割をしっかり務めて、(初戦敗退した)春のセンバツの屈辱を晴らしたい」と笑顔で前を向いた。
◇攻撃の収穫は多く--浦和学院・森士監督
思ったより点が取れた。失点していない相手投手からヒットを打てて、攻撃の収穫は多かった。佐藤は悪くなかったが、配球の間違いはあった。
◇連覇意識せず挑む--浦和学院・明石飛真主将
打撃は前日の練習通り、相手投手を攻略できたが、終盤は集中力が切れミスが多かった。相手は粘り強く勉強になった。決勝は連覇を意識せず、悪い部分を修正し全力で臨みたい。
(毎日新聞埼玉版)
◇仲間との対決 反撃の一打 笹川選手
2点を追う浦和学院1回裏、1死一、三塁の好機に4番笹川晃平君(2年)に打順が回ってきた。マウンド上には健大高崎の先発・三木敬太君(2年)。「晃平」「三木」と呼び合うライバル同士。練習試合では何度か対戦したが、公式戦では初の対決だった。
「あいつは強気だから次こそ勝負してくるはず」。ボール球を2球見送った後、バットのグリップを握りしめた。3球目は内角へのスライダー。三木君の決め球を右翼にはじき返した。「ストライクを取りに来る変化球を狙っていました」。これが犠飛となって三塁走者が生還、反撃の口火を切る一打となった。
2人は中学3年からの知り合い。ボーイズリーグ北関東選抜チームに選ばれ、遠征合宿で同室となったのがきっかけで意気投合した。
この日、三木君は9失点して5回に交代。一方、笹川君はリリーフした相手投手からも適時打を放つなどして選抜大会出場の可能性を高め、明暗が分かれた。県が違う三木君と対戦できる公式戦は少ない。「再戦は甲子園でできたらいいですね」
(朝日新聞埼玉版)
■準決勝(10月3日)
健大高崎
200120020=7
11521100x=11
浦和学院
【健】三木、生井、倉本-長坂
【浦】佐藤、渡邊剛、山口-林崎
▽本塁打 内田(健)
▽三塁打 竹村(浦)
▽二塁打 佐藤3、笹川(浦)
【投手成績】
佐 藤 5回、被安打6、5奪三振、与四死球3、自責点5
渡邊剛 3回、被安打4、0奪三振、与四死球1、自責点0
山 口 1回、被安打1、0奪三振、与四死球0、自責点0
【打撃成績】
⑥ 竹 村4-1-3
② 林 崎5-2-0
①8佐 藤5-4-0
⑨ 笹 川1-1-2
⑧7石 橋4-2-0
③ 明 石3-1-0
⑤ 木 暮0-0-2
⑦ 山 根1-1-2
1 渡邊剛1-1-0
H 伊 藤1-0-0
1 山 口0-0-0
④ 緑 川5-2-2
(打数-安打-打点)
安 打:浦15、健11
四死球:浦10、健4
三 振:浦2、健5
盗 塁:浦0、健1
犠 打:浦6、健0
併 殺:浦0、健1
失 策:浦1、健0
残 塁:浦11、健8
浦和学院が、15安打11得点と効率良く加点し、高崎健康福祉大高崎に快勝した。
一回に2点を先制された浦和学院は笹川、竹村の犠飛で2回までに追い付き、三回には1死三塁から4連続四死球で2点を勝ち越し。さらに内野ゴロと竹村の2点三塁打で、この回一挙5点を奪った。四回にも木暮の左犠飛と山根の中前打で2点を追加し、突き放した。
先発佐藤は2ランを含む5回5失点ながら要所は締めた。六回からは渡邊、山口のリレーで序盤の大量リードを守った。