◇2年分の思い打球に 森戸佑樹二塁手
一球一球、気合を入れてフルスイング。森戸のフリー打撃は見ていると、爽快な気分になる。バットを高く構え、そこから刀を振り下ろすように最短距離で捉える。インパクトの位置を前にしたことで、持ち味の飛距離がさらにアップ。「差し込まれるケースが減った」。手応えを深め、笑顔も広がる。
昨年は、秋季県大会からベンチ入りしたが、打席に立ったのは明治神宮大会で代打に出た1度きり。結果は、愛工大名電(愛知)・濱田に遊ゴロに打ち取られた。それでも、「気持ちが落ち着いてなかった。甲子園では配球を読んで、持ち味を発揮したい」と、全国屈指の左腕との対戦を糧にして練習を重ねてきた。
前回大会は手伝いとしてチームに帯同。試合ではボールボーイを務め、「素晴らしい球場。絶対に来年は立ってやる」と心に誓った。あれから一年。「一発で仕留めてチームに流れを持ってきたい」。右の代打が豪快な打球に思いをぶつける。
◇期待大の非凡な右腕 伊藤祐貴投手
【写真】森監督の期待も大きく、甲子園での登板を狙う伊藤祐貴(埼玉新聞)
森監督の伊藤に対する期待の表れを象徴する一場面がある。連覇を懸けた昨秋の関東大会決勝・作新学院(栃木)戦の先発マウンドに指揮官は予告通り公式戦初登板となる大型右腕を抜てきした。
打撃の非凡さも買われ一塁手など、さまざまなポジションを練習するが、「打席よりもマウンドに立ちたい気持ちの方が強い」。憧れの甲子園では、投手として出番を狙う。
185センチ、84キロがプレートに構えると威圧感は相当なもの。縦に割れるカーブは落差があるが、特に自信を持つのは直球だ。ゆったりとしたフォームからリリースの瞬間に中指と人さし指を強く切るイメージで投げ込むことで、球にスピンが掛かり直球のキレは増した。
広島から全国制覇するために浦和学院へ入学した。大舞台を見据え、「闘争心を持って堂々と投げたいし、森先生の期待にも応えたい。楽しみです」。普段は心優しき16歳も、この時ばかりは勝負師の目へと変わった。
(埼玉新聞)